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現代は、テクノロジーの進化によって、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあることから、VUCA時代と呼ばれています。
さらに、新型コロナウイルスの流行という想定外の出来事により、多くの業界や企業が打撃を受けました。
このような状況の中、自分自身のキャリアや将来についても、先行きが見えず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そのような時代にもぜひ「軸」として持っておいていただきたい「自分の未来を描く力」についてご紹介します。
自分は人生の主人公である
自分の未来を描く力のある人の1番の特徴は、「自分は、自分の人生の主人公である」という認識を強く持っていることです。
この感覚は、無意識に持っている場合と、明確に自分の中で言語化し持っている場合があります。
私自身が、「自分は人生の主人公である」という意識を強く持ったのは、高校時代の時でした。
進学校に入学し、周囲の同級生たちがみな優秀なことに自信をなくしてしまい、いわゆる「アイデンティティ・クライシス」の状態に陥っていました。
その時に支えてくれたのが、さだまさしさんの「主人公」という曲でした。
"小さな物語でも 自分の人生の中では 誰もが主人公"
という歌詞を聴いて、「他人は他人。自分は自分」という感覚が、腹にストンと落ちました。
「自分の人生は、自分でしか責任が取れない。自信をなくそうがなくすまいが、自分がしっかりとしないとだめなんだな」と、強く感じたのです。
自己肯定感を育む
その出来事は、後々の私の人生にも強い影響を与えてきました。
完璧な人など、どこにもいない。
今の自分に残念な部分があったとしても、それを受け入れて生きていく。
自分の可能性を信じる。
「自己肯定感」というものですね。
自分の人生に責任を持つことに加え、未来を描く上で重要な要素です。
自己肯定感は、チャレンジと成功の積み重ねによって育まれていきます。
まずはちょっと無理かなぁというレベルのものに背伸びをしてチャレンジしてみてください。
それを1つ乗り切ることができると「いける」という感覚をつかめます。
このサイクルを繰り返していくと、健全な自己肯定感を持つことができます。
弱い部分を含め自分を知る
自分の未来を描く力のある人の特徴として、「自分をよく知っている」ことも挙げられます。
「弱い部分を含め」よく知っていることが特に重要です。
心の弱みなど、弱い自分と向き合うのは、すごく辛いことですが、それすらも克服することができると、自分の未来を本当に信じることができるようになります。
また、新しい世界に飛び込んだり、新しい環境に身を置きチャレンジすることは、自分の知らない自分を発見するうえで、とても有効です。
今まで当たり前のように思ってきたものが、自分の強みであったり、弱みであったりすることに気づきます。
例えば私は最近で言うと、Voicyという音声メディアで週に1回お話をしているのですが、Voicyを始めてみてから自分自身のことで2つの発見がありました。
1つは、自分の口癖です。
録音した内容を聴き返すと、「まあ」という言葉をたびたび挟んでしまっていたのです。
一度リスナーの方からも指摘されてしまったのですが、そうするとまた言わないようにしようと努力をすることができました。
2つ目の発見は、自分は一人で話し続けることが苦手だということです。
私は、誰かと話す中でアイデアがインスパイアされたり、自分の価値が出て行く傾向があるのだと気づくことができました。
今のベストを尽くす
あれこれ未来に対して思い悩むよりも、まずはとりあえず何か始めて行動するということも大事です。
どんな小さなことでも良いので、今できること、今目の前にあることにベストを尽くしてチャレンジしてみましょう。
その結果、「今度はもっとこうなれたら嬉しいな」「もっとこうしたいな」など、ちょっと先のことを考えるようになります。
そのようなことを積み重ねていくと、未来に対しての方向性も見えてくるようになります。
まとめ
未来を描く力がある人は、「まず自分の人生は自分の責任にある」という自覚が明確にあります。
そのうえで、自分の可能性を信じ、弱みを含め自分を知り克服する努力をしながら、今できることにベストを尽くしてチャレンジし、「今度はもっとこうありたいみたいな」と考える。
その積み重ねにより、自分の未来が描かれていくのではないかと思います。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。