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20代のうちに意識すべき「人生の課題の先延ばし癖」改善策

20代のうちに意識すべき「人生の課題の先延ばし癖」改善策

目次

とある若手社会人のモヤモヤをご紹介します。

社会人5年目、27歳。
仕事は大体のことをこなせるようになり、次の昇進に向けた試験勉強が定期的にある。
今の職場に不満はなく、人間関係も良好。
周りからは、「まだ20代か!自由でいいな」「今のうちにいろいろ楽しんでおけ」という声をよくもらう。
自分も「20代は自由な年代だ」という考えのもと、会社帰りにいつものメンバーとの飲み会を楽しんだり、休日はとことんNetflixを見たり、昼まで寝て午後は大学の頃の友人と飲みに出かけたりと、自由な生活を謳歌している。
彼女もいるけど、まだ家庭を持った自分の姿は想像できていない。

一方で、あと3年で20代も終わる。
30代に入った自分を想像した時に、「このままでいいのか?」という若干の焦りも感じ始めている。
「30歳前に転職かな」「30代に入ったらなんか副業とかやりたいな」「株に手をつけてみるか?」など、漠然と考えてみたりもするけど、先延ばしにしがち

無意識のうちに、先延ばししていませんか?

多くの人が抱く「20代は自由」という考え

皆さんは、「いつかやる予定のもの」「いつか挑戦したいこと」はありますか?
いつかはこんな業界に転職してみたい、こんな場所に住んでみたい、こういう働き方をしてみたい、こんなことを学んでみたい...。

1つでも思い浮かんだ方に質問です。
それの実現に向けて、今具体的に何か行動を起こしていますか?

よく、「20代のうちは何でもできる」という声を聞きます。
確かに20代は、30代以降と比較すると、時間もお金も自分のために自由に使えるという印象があります。
大学生に至っては、「人生の夏休み」と言われるほど。
これだけ自由を感じることができる年代は、おそらく20代だけでしょう。

後悔のない人生を歩むために

自由な印象が強い20代。
ついつい楽な方に流れたくなる気持ちもよく分かります。
しかし、「人生の課題」を先延ばしにし続けていると、40~50代で「あの時、真剣に向き合って行動しておけばよかった...」と後悔することになりかねません。
満足度の高い人生を歩むためには、先々のことを考え、20代のうちから動き始めておく必要があります。

先延ばしにする人の3タイプ

人生の課題を先延ばしにしてしまいがちな人には、どのような特徴があるのでしょうか。
大きく3つのタイプがあります。

  • タイプ①:「今じゃなくていい」
  • タイプ②:「今は考えたくない」
  • タイプ③:「今は考えられない」

タイプ①:「今じゃなくていい」

20代で先延ばしにする人で一番多いタイプです。
"今"考える必要性を感じていない」という人です。
例えば、「まだ自分は20代。先は長いし、30代になってから考れば十分」といったことを考えています。

タイプ②:「今は考えたくない」

次に多いタイプです。
20代の自由をとにかく謳歌しておきたい」という人です。
例えば、「20代のうちに、いろいろ楽しんでおきたい」「今後のキャリアなんて、重苦しいことは考えたくない」「体力も時間もお金もあるうちに、今しか堪能できない自由を満喫してから、これからのことを考えたい」といったことを考えています。

タイプ③:「今は考えられない」タイプ

最後は、「先が見えてから考えたい」というタイプです。
人生の課題を全く考えていないわけではないが、今は考える準備が自分には整っていない」という人です。
例えば、「自分にはまだ人生経験が浅く、どうせキャリアについて考えたところで、大したものは思いつかない」「30代になったらもっと経験を積んでいて、見える世界も変わっているはず。そうなったら『自分はどんなキャリアを歩むか』本腰を入れて考えたい」といったことを考えています。

先延ばしすることの落とし穴

確かに、いずれのタイプにも、先延ばしにする"まっとうな理由"があります。
しかし、それぞれのタイプに待ち受ける将来を考えると、大きな落とし穴があります。

「今じゃなくていい」タイプが陥る落とし穴

20代では、多くの人が1~2社目というキャリアでしょう。
"まだまだ修行の身"ということで、これからの自分の人生を考えるのは、30代になってからでも十分だと思われているかもしれません。
確かに「自分の人生をかけたキャリア」は、目の前に迫ってきている課題ではないため、後回しにしてしまう人が多い事実にも、うなずけます。

しかし、30代というタイミングは、「すべての状況が、今までどおりというわけではない」ということも覚えておく必要があります。
例えば、家庭ができて20代ほどお金を自由に使えなくなった、ポジションが上がって時間的な余裕もなくなってしまった、ということも十分にありえます。
そうすると、「時間もお金も自由だった20代のうちに、もっと真剣に考え、備えておけばよかった」と後悔するかもしれません。

20代はある意味、人生において「自分と向き合い、投資できる」大切な期間です。
30代以降で実現したい理想像がある、もしくは、こんな人生は歩みたくないというものがあれば(例えば、将来お金に困る生活はしたくないなど)、目の前の課題のみならず、先々のことも考えて、20代のうちからスキル習得といった自己投資や経験を積み、行動し始めておくことがベストです。

「今は考えたくない」タイプが陥る落とし穴

「今は20代をとにかく謳歌しておきたい」という考えの背景には、「先行き不透明な時代への不安」もあるかもしれません。
「環境変化が激しすぎるから、今このタイミングで、これからの人生の課題を考えたところで時間のムダでしょ?」そう考えている方も少なくないのではないでしょうか。
この場合、心のどこかで「少なくとも、いつかは自分のキャリアについて真剣に向き合わなければ」という気持ちがあるはずです。

しかし、先延ばしにしていた分、いざ30代になったときのプレッシャーや焦りは、想像以上に大きくなります
20代では深く考えてこなかったため、向き合い方が分からず、そのままずるずると先延ばしを継続する可能性も出てきます。
ビジネス上のキャリアという面では、年齢を重ねると他者から期待される能力や経験値もどんどんと上がってきます。
いわゆる「市場価値」というものです。
市場価値は、相対評価によって決まります。
先延ばしにしたまま、30代、40代を漠然と過ごしていると、市場価値は低くなっていきます
その結果、キャリアの選択肢が狭まり、不本意な働き方を強いられるかもしれません。

「今は考えられない」タイプが陥る落とし穴

周りにいる先輩方や、著名人などの話を聞いて、「やはり経験を重ねてこそ、自分の人生観やキャリアに対する考え方は磨かれるはずだ。早とちりはしたくない」という保守的な考えが、根底にはあるのかもしれません。
ある意味では、正しい考えといえます。
しかし、一体どれくらい経験を積んだら、自分のキャリアを明確にするために十分と言えるのでしょうか?
自分の人生観が磨かれるためには、あと何年、具体的にどのような経験を積む必要があるのでしょうか?
10代や20代でも、すでにしっかりと自分の人生観を持っている人は多くいます。
このタイプの方の場合、自分の今後のキャリアというものを大きく捉えすぎている側面があります。
29歳から30歳になったとたん、何かが劇的に変わるというわけではありません。
30代に入っても「まだ経験が...」と無意識にストッパーをかけたり、また先延ばしをして、自分の今後の人生に目を向けることを避け続けることになってしまう可能性があります。

先延ばし癖の改善方法

自分の人生に向き合うことを先延ばしにするデメリットについてみてきました。
ここからは、タイプ別の先延ばし癖を改善するための方法をご紹介します。

「今じゃなくていい」タイプ向け改善方法

まずはざっくりとで構わないので、「30代、40代、50代...」と年代ごとの人生設計を考えてみましょう
ここでは、一番遠い年代のところから考え始めるのがおすすめです。
具体的でなくて大丈夫です。

例えば、

  • 60代では自然豊かな場所に家族と住み、家族との時間を大切にしつつ、仕事面ではこんな分野で活躍していたい。
  • そのために、50代ではこんな経験を積んでおきたい。
  • そこに向けて、40代では複数の会社でこんな人脈を獲得し、会社名でなく自分の名前で仕事がとれるようになっておきたい。
  • さらにその準備として、30代ではこんな会社に転職して、こんなスキルを身につけておきたい。

こういった感じで、大まかに「自分がどういう状態になっているのが理想か」を考えてみましょう。
一番近い30代まで考えたら、30代だけはもう少し具体的に考えてみてください
そして、理想に向けてスムーズに30代のスタートを切るためには、20代のうちから準備しておくべきことはないか洗い出してみましょう。

例えば、今の会社のキャリアの延長線上に理想の姿がないのであれば、転職を検討する必要があります。
そうすると、どのような業界や企業で経験を積むのがベストなのか、情報収集をしておくべきですよね。
その方面で活躍している人のセミナーに行ったり、本を読んだりする。
似た仕事をしている人が周りにいたら話を聞いてみる。
様々なアクションが考えられます。

また、スキル面で今の自分と理想の姿にギャップがあるならば、当然能力開発をする必要があります。
まずは概要を知るために、本や動画で学んでみる。
その後、本格的に習得できるスクールを探し、通ってみる。

直近の視界を少しでもクリアにすることで、「自分の今後のキャリア」のために、「今」何をすべきかに目を向けられるようになります。

「今は考えたくない」タイプ向け改善方法

少し重い話になりますが、「人生は有限」という意識をしっかりと持ちましょう。
例えば、今あなたが27歳で、人生を90歳までとします。
残された時間は何時間でしょうか?

1日は24時間、1年は365日、90歳まであと63年。
24時間 × 365日 × 63年 = 55万1,880時間

あなたが死ぬまでに残された時間は、あと55万1,880時間です。
さらに、若くて体力もあり、家庭や仕事上の責任も比較的少なく、自由に動ける期間は限られています
それを漠然と過ごすか、将来への投資に向けて行動するかによって、その後の人生は大きく変わってきます。
「明日死ぬと思って今日を生きろ」という厳しいことは言いません。
ですが、こうやって時間に落としてみると、「今できること」を先延ばしにするだけ、残された時間はどんどん減っていく、という当然のことを改めて認識することができると思います。
もちろん、20代にしかない自由を謳歌することも、人生を豊かにするうえで非常に大切です。
しかしそれだけでは、30代に突入したとき、自分の今後を考える糸口がまったく見つけられない状況に陥ってしまう可能性があります。

1週間のうち、30分だけでもOKです。
「今後、自分はどんなキャリアを歩みたいのか?」

「自分の命を使って、どんなことをしたいのか?」

スマホの電源を切って、世間とのつながりをシャットダウンし、コーヒー片手にじっくり考える時間を意識的に持つことで、30代への備えをすることができるでしょう。

「今は考えられない」タイプ向け改善方法

キャリアの観点で、「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という重要な考え方があります。
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア論で、キャリアの8割は計画的なものではなく、思いがけない縁など、予想しない偶発的な出来事によって決定されるというものです。

実際に活躍している人にインタビューすると、「偶然です」「ご縁です」といった言葉が出てきます。
しかし、彼らが本当に何も考えずにチャンスを引き寄せたかというとそうではありません。

やはりそこには共通してみられる行動があります。
それは、オープンマインドで何事にも好奇心を持ち、様々なことにアンテナをはり、自分がワクワクする方向や興味のある方向に向かってしっかりと行動し続けていたという特徴です。

30代になったとたん、いきなり人生の目標を見つけることは、ほぼ不可能です。
偉大な業績を成し遂げた人も、突然神様からの啓示によって自分の志を見つけたという人はいません。
まずは「こんなことができるようになりたいな」「こんな働き方ができるようになりたいな」という小さい方向性を見つけて、行動してみましょう。
それらを実現していく過程で、自然と「自分は今後どのように生きていきたいか」が徐々に明確になり、「思いがけない縁」を引き寄せていきます。

20代のうちに、キャリアの選択肢を拡げるための行動をしておこう

思いがけない縁がキャリア形成につながった、身近な例を1つご紹介します。
私が勤務しているグロービス経営大学院のMBAプログラムの学生で、初めてファイナンスを学び、その奥深い魅力に憑りつかれ、ファイナンスの道に方向転換された方がいます。
受講前には想像すらしていなかったキャリアです。
これも一つの「縁」です。

MBAは、経営を体系的に学び、疑似体験する場です。
実務ではまったく繋がりのなかった仕事や人との縁が生まれる場なので、人生の選択肢が増えるという結果にもうなずけます。
実際に、2020年のグロービス経営大学院の卒業生向けキャリアアンケートでは、以下のような回答が得られています。

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思い通りにならない想定外の時代で、人生の選択肢を広げ、さらには理想の人生に近づいているという結果です。

MBAはあくまで一例です。
MBAに限らず、20代のうちから自分の世界を拡げるための行動をし、様々な縁を取り込んでいくことが、30代以降の人生を豊かにする鍵なのではないでしょうか。

まとめ

20代はある意味何をしても許される、自由に使えるお金や時間、体力がある貴重な時期です。
しかし、この「自由」な20代のうちに、今後の人生やキャリアについて考えることを先延ばしにしてしまうと、30代以降の自分に過度のプレッシャーをかけることにつながります。
まずは一歩、今日から10分だけでも大丈夫です。
「自分はどう生きていきたいのか?」ノートに書きだしてみることから始めてみませんか?

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著者情報

鈴木 麻希(グロービス経営大学院 東京校 スタッフ)

鈴木 麻希(グロービス経営大学院 東京校 スタッフ)

早稲田大学文学部フランス語フランス文学コース卒業。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。EC事業を行うベンチャー企業にて自社商品の輸出業務、オンライン・オフラインのマーケティング全般を担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院の学生募集企画にて、受講生の個別相談やセミナー等の運営、営業施策の立案などを行う。また、グロービス経営大学院のVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務める。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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