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「質問力」はビジネスやプライベートなど様々なシーンで問われる能力です。適切な質問ができれば、相手との関係を深め、多くの情報を引き出し、商談や会議を有利に進めることができます。
この記事では、質問力の基本から実践的な鍛え方まで、具体例を交えながら解説します。
質問力とは
質問力とは、不明点や疑問点などを問いかける能力です。基本的に相手がいることを前提とする能力なので、コミュニケーション能力のひとつといえます。質問力が高いと、さまざまなビジネスシーンで役立ちます。
例えば、
- 商談などで絶妙に質問し、相手から聞きたい情報を収集できる。
- セミナーなどの質疑応答で的確な質問ができるため、質の高い情報を引き出すことができる。
- 後輩や部下に指示するのではなくて、的確な質問をしながら、本人のやる気や気づきを促すことができる。
質問力を習得するメリット
質問力が高いと、さまざまなメリットがあります。
メリット①:相手に関心を持っていることを示せる
「質問する」という行為は、相手に関心を持っていることを示すことにつながります。 「自分に関心を持ってくれているんだな」と、相手から好意を抱いてもらいやすくなります。
ただ一方で、ただ質問をすればよいというわけではなくて、気を付けなければならないポイントがあります。 どうでもよい、価値のない質問をし続けると、逆効果になってしまうということです。 「それぐらい調べてくださいよ」みたいな質問をしたり、しつこく聞くと「めんどくさい」と思われてしまう可能性があります。
適度に自分の意見や感想、体験なども織り交ぜつつ、バランスを考えながら質問をしていきましょう。
メリット②:相手とスムーズに人間関係を築くことができる
会話はキャッチボールです。 質問力が高いと、相手との信頼関係をスムーズに構築することができます。効果的に相手から話を引き出すことができるので、相手について深く理解できるようになり、互いの心の距離感もぐっと近づくことができます。
メリット③:相手からより多くの情報を収集できる
ビジネス上の商談で、いろいろな切り口から相手の興味関心を引き出し、情報を収集していく優秀な営業の方っていますよね。
また、コーチングやメンタリングの場面では、対話を通じながら相手の気づいていなかった悩みや強みを引き出していくことが求められます。 このように、質問力が高いと、質問者と回答者の双方にメリットのある、質の高い情報をより多く引き出すことができます。
質問力が高い人の5つの特徴
質問力が高い人には、共通する特徴があります。これらの特徴を意識することで、あなた自身の質問力も向上させることができます。
- 相手の話を遮らず、前提を確認する
- 目的を意識した質問ができる
- 表面的な回答で終わらせない
- 相手が答えやすい聞き方をする
- 会話全体の流れを意識している
質問の種類
2種類の質問を状況によって使い分けていくことが大事です。
クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」の二者択一で相手が明確に答えられる質問や、回答の範囲が限られている質問です。例えば、「最近何かはまっていることはありますか?」といったものです。
メリットは、相手が答えやすく、会話のきっかけを作りやすい点です。初対面の人との会話をスタートさせる際や、事実確認をする際に有効です。ただし、多用すると尋問のような雰囲気になってしまうため、次に紹介するオープンクエスチョンと組み合わせて使うことが大切です。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、回答の範囲を限定せず、相手に自由に答えてもらう質問です。例えば、「最近〇〇にはまっているんですね。それはなぜですか?」といった、明確な答えのない、人によって異なる回答が返ってくるものです。
「どう思いますか?」「何が原因だと考えていますか?」といった質問によって、相手の価値観や思考プロセスを理解することができます。ただし、相手が答えるのに時間がかかる場合もあるため、関係性がある程度構築されてから使うとよいでしょう。
確認質問
確認質問とは、相手の発言内容を正しく理解できているかを確かめる質問です。「つまり、こういうことですか?」「〇〇という理解で合っていますか?」といった形で使います。
特にビジネスの場面では、認識のズレが後々大きな問題につながることがあります。確認質問を適切に入れることで、相手との共通理解を確実にし、信頼関係を強化することができます。また、相手に「しっかり聞いてくれている」という安心感を与える効果もあります。
深掘り質問
深掘り質問とは、相手の回答に対してさらに詳しく聞いていく質問です。「それはなぜですか?」「もう少し詳しく教えてもらえますか?」「他にはどんな要因がありそうですか?」といった形で使います。
営業やコンサルティングの場面で特に重要な質問タイプで、相手自身も気づいていなかった問題の本質を浮き彫りにすることができます。また、相手の思考を深めることで、より良い解決策の発見につながります。
仮説検証型の質問
仮説検証型の質問とは、こちらが立てた仮説が正しいかどうかを確認する質問です。「もしかして、〇〇ということでしょうか?」「△△という課題をお持ちではないですか?」といった形で使います。
事前に相手の状況を分析し、仮説を立てた上で質問することで、限られた時間の中で重要な情報を引き出すことができます。ただし、仮説が外れた場合には素直に軌道修正し、相手の話に耳を傾ける柔軟性が求められます。
視点転換の質問
視点転換の質問とは、相手に異なる角度から物事を考えてもらう質問です。「もし予算が無制限だったら、どうしますか?」「お客様の立場で考えると、どう見えますか?」「5年後から振り返ったとき、今の選択はどう映ると思いますか?」といった形で使います。
相手が行き詰まっているときや、従来の方法では解決できない課題に直面しているときに特に有効です。視点を変えることで、これまで見えていなかった可能性や選択肢が見えてくることがあります。
質問は、状況と目的に応じて使い分けが大事
質問は、相手との距離感も考えながらすることが重要です。 例えば、初対面の人との人間関係を築いていく際には、いきなり踏み込んだ質問というのは、相手に警戒心を抱かせたり、「ぶしつけな人だな」と思われる可能性があるため避けた方がよいでしょう。
初対面の場合は、クローズドクエスチョンで簡単に相手が答えられるところから始め、徐々にオープンクエスチョンに展開しながら聞き出していくといった流れがおすすめです。 深い質問は、相手との距離感が近くなってから徐々にしていきましょう。
良い質問と悪い質問
シーンにもよりますが、質問には「良いもの」と「悪いもの」があります。
良い質問とは
相手の意見や体験など、相手に聞かなければ分からない問いです。 他にも、相手が「なるほどね。それは考えていなかったなあ」と相手も気づいていなかった考えを引き出すような質問も該当します。
悪い質問とは
Googleで検索したら分かるような、単なる知識を問うものです。 例えば、クライアントに提案に行った際に、事前に情報収集したら分かるような「どんな事業をされているんですか?」といった質問は、悪い質問に当たります。
クライアントも「いやいや、そのくらいはご自分で調べてきてくださいよ」となり、相手からの信頼もマイナス評価になるでしょう。
質問力を鍛える方法
質問力を高めるために、ぜひ日常で取り組んでいただきたいことを3つご紹介します。
方法①:質問力が高い人を観察し、まねる
どのようなシーンで、どのような質問が適切なのか、常に考えるようにしてみましょう。
客観的に「こういう質問をしたら、こういう反応が返ってくるんだな」と学ぶために、自分以外の人同士が話しているのを観察してみることをおすすめします。
そして、周囲や著名人で「この人は質問力が高いな。質問をした後の相手の反応も良いし、話を引き出すのが上手い」と思う人がいたら、ぜひまねてみてください。
どのように質問をしているか観察し、自身の会話でも取り入れてみるうちに、質問力も上達していきます。
方法②:相手からの質問を振り返ってみる
自分がされた質問に対して、客観的に「良い質問だな」「悪い質問だな」と、質問自体を振り返っていくこともおすすめです。
「なぜあの質問は答えやすかったのか。聞かれて嬉しかったのか」「なぜあの質問は答えにつまったのか。不愉快に感じたのか」など、理由を考えてみてください。
前者の場合は、自分の興味関心の強い出来事なのでもっと聞いてほしかったから、後者の場合は、質問自体が悪かったから、相手との距離感がまだ近づいてないのに踏み込んだ質問をされたからなど、いろいろな理由が考えられるでしょう。
そして、「じゃあ逆に自分は相手にどういう質問をしていこうか」というところまで考えてみるようにしてみてください。
方法③:いろいろな質問の切り口をもつ
ぱっと相手に具体的な質問ができるようになるため、5W1Hなど質問の切り口も持っておくことをおすすめします。
<5W1H>
- Who(誰が)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
また、ビジネスシーンであれば、「ビジネス・フレームワーク」を押さえ、質問に組み込んでみるという方法もおすすめです。
そうすることで、相手から重要な情報を漏れなく聞ける可能性が高くなるからです。
ビジネス・フレームワークには様々なものがあり、代表的なものでいえば、顧客ニーズや競合の動きなどを分析する際に用いる「3C分析」や、自社を取り巻く環境を把握するための「PEST分析」、業界全体の分析を行う際に用いる「5つの力分析」などがあります。
一方で、こうしたビジネス・フレームワークは、「知識としては知っているけど、なかなか実際のビジネスの現場で活用できない...」といった悩みもよく聞きます。
使いこなせるようになるには、ある程度トレーニングが必要であり、効率的に習得したいという方には、外部の機関を上手く利用する方法をおすすめします。
例えば、国内最大のビジネススクール・グロービス経営大学院の『マーケティング・経営戦略基礎』という講座では、ケーススタディ(=ある企業が実際に直面した状況を忠実に再現した教材のこと)を元に、実践的なビジネス・フレームワークの使い方を学んでいきます。
(▼講座の詳細はこちら)
『マーケティング・経営戦略基礎』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにて『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
「クリティカル・シンキング」で質問力を向上させる
質問力をさらに高めるために役立つのが、「クリティカル・シンキング」です。クリティカル・シンキング(批判的思考)とは、物事を鵜呑みにせず、前提や論点を整理しながら本質を見極める思考法です。
例えば、「売上が下がっている」という問題に対して、表面的に捉えるのではなく、「そもそも売上とは何で構成されているのか」「どの要素が変化したのか」と前提を分解して考えることで、本質を突く質問につながります。このような思考習慣が身につけば、相手の発言に対しても「それは本当にそうなのか」「他の見方はないか」といった深い質問ができるようになります。
クリティカル・シンキングについてさらに詳しく知りたい方はこちら
まとめ
コミュニケーション能力の1つである質問力は、様々なビジネスシーンで求められます。
質問力を高めるには、質問の種類を理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの基本に加えて、確認質問、深掘り質問、仮説検証型の質問、視点転換の質問など、様々な質問タイプを身につけることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
まずは、自分の質問力はどのくらいなのか、日常のどういうシーンでの質問力が一番弱いのかを振り返ってみて、そこにフォーカスし何から強化していくべきかを考えていきましょう。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。



