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コミュニケーションとは、一言でいうと「対人間での情報共有や意思の疎通」のことであり、仕事やプライベートなどあらゆる場面で必要とされます。
本記事では、コミュニケーションをとるメリットと、円滑に進めるためにコツについて解説します。
コミュニケーションをとる必要性
そもそも、なぜ私たちはコミュニケーションをとる必要があるのでしょうか?
ここでは、本質的な2つの理由をご紹介します。
①:他者との協力なしでは生きていけない
人は本質的に「社会的な生物」であり、高度なコミュニケーションが人類の発展を支えてきました。
集団での力は大きい一方で、一人でできることは少なく、私たちは他者とのコミュニケーションを避けて生きていくことはできません。
現代で社会生活を送っている以上、何らかの形で人とつながって信頼関係を築き、協力し合う必要があります。
②:高次の幸福を得るためには、他者の存在が不可欠
人間の基本的な欲求を階層化した「マズローの欲求5段階説」という、心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論があります。
- ①生理的欲求:生命活動を維持する上で不可欠な欲求(食欲、呼吸、睡眠など)
- ②安全の欲求:安全・安心な環境で暮らしたい
- ③社会的欲求:集団に所属したい、他者に受け入れられたい
- ④承認欲求:他者に認められたい、高く評価されたい
- ⑤自己実現の欲求:自分にしかできないことを成し遂げたい
①から順に欲求として現れ、①が満たされると②の欲求が現れ、②の欲求が満たされると③の欲求が現れ...といったように、低次の欲求が満たされると高次の欲求が現れるという理論です。
③④は、他者の存在があってこそ成り立つものであり、満たされていない状態だと孤独や社会的な不安を感じやすくなります。
現代の日本において多くの人が①②の欲求を満たされていると考えると、私たちが幸福感や充足感を得るためには、他者とのコミュニケーションと信頼関係の構築が必須となります。
コミュニケーションをとるメリット
ビジネス含め、コミュニケーションをとることには、様々なメリットがあります。
メリット①:信頼関係の構築と、精神的な充足感の獲得
コミュニケーションを通して、私たちはお互いの価値観や考えを知り、信頼関係を築いていくことができます。
プライベートやビジネス上での人間関係が良好であると、「マズローの欲求5段階説」の社会的欲求が満たされ、精神的な充足感や安心感を得ることができます。
メリット②:仕事の効率化と、生産性の向上
仕事の多くは、様々な関係者と情報交換や意思疎通を図って協力し合あったり、相手に働きかけアクションを促したりしながら進める必要があります。コミュニケーション能力が高いと、このプロセスがスムーズかつ効果的に進むため、成果を上げやすくなります。
さらに、仕事で成果を上げ会社に貢献していることを実感すると、承認欲求や自己実現欲求といった、高次の欲求を満たすことにつながります。
コミュニケーション能力を構成する4つのスキル
コミュニケーションを伝える手段は「言語」「非言語」の2種類があります。
そして、コミュニケーションは「相互のもの」であることを考えると、コミュニケーション能力は4つのスキルに分解することができます。
それぞれのスキルを鍛える方法については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
(▼コミュニケーション能力を鍛える方法)
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コミュニケーションを円滑にするコツ
コミュニケーションを円滑なものにするためには、お互いにとって「話しやすい雰囲気」を作ることが大事です。
自己開示する
信頼関係を構築していくうえで、自己開示は大事なポイントです。
自己開示とは、自分の考えや気持ち、個人的な情報などを相手に伝えることです。
初対面の人やビジネスの場面で、ガンガンと自己開示していく必要はありませんが、適度に行うことで打ち解けやすくなります。
相手を尊重する
当然、1人1人考え方や価値観は異なります。
たとえ相手の意見が自分のものと違っていても、頭ごなしに否定したりせず、尊重するようにしましょう。
接しやすい雰囲気を作る
明るく、誰にでもフラットに接し、感情が安定している人って、話しかけやすいですよね。
感情が豊かなことは、けっして悪いことではありませんが、怒りや悲しみといったネガティブな感情は、表に出しすぎないように気を付けましょう。
コミュニケーションに悩む人が多い理由
最後に、そもそも、なぜ人々はコミュニケーションで悩むのか考えてみたいと思います。
オーストリア出身の精神科医であり心理学者であるアドラーは「すべての悩みは対人関係にある」と言いました。
重要でないものに関しては、人は悩んだりはしません。
多くの人が対人関係やコミュニケーションについて悩む理由は、本質的に人が仲間同士での協力が不可欠な「社会的な生物」であるからです。
人がコミュニケーションに重きを置く理由は、人類の発展の歴史と本能にあります。
高度なコミュニケーションが人類の発展を支えてきた
人類は、他の生物(たとえばサバンナの肉食動物など)に比べ、フィジカル面で秀でているわけではありません。
しかし、人類が世界中の至るところに移り住み、力が弱いに関わらず歴史上多くの生物を絶滅に追いやることができたのは、「複雑な言語と情報伝達方法」を獲得し、集団で協力し合ってきたからです。
鳥やイルカなど、他の生物も同種間でコミュニケーションを取りますが、人類の言語は驚くほど柔軟であり、それが複雑な思考を可能としました。
人は、現在だけでなく、未来や過去の話もできるし、実態のない概念の話もできます。
そうした高度な思考と情報伝達により、人類は「初めて会う人」や「遠方にいる人」とも協力し合うことができ、共通のビジョンを共有することで、大きな集団を統率することができるようになりました。
上手くできないと不安に思うのは本能
多くの現代人がコミュニケーションの大切さを意識的もしくは潜在的に感じているのも、そうした人類に刻まれた本能があるからでしょう。
だからこそ、「コミュニケーションがうまくできていない」と感じた時に、大きな不安を覚えて悩んだり、不快に感じてしまうのです。
まとめ
コミュニケーションは、信頼関係の構築や精神的な充足、仕事の生産性向上において、重要なツールです。
人生やキャリアの満足度につながるものなので、現状不満を感じている方は、より良いものに改善していきましょう。
著者情報
新宅 千尋(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)
神戸大学理学部生物学科卒業、京都大学大学院生命科学研究科修士課程修了。幼少期より「思考や感情の発生」に興味があり、独学で心理学や脳科学を学ぶ。一方、「内なるものの表現」にも関心があり、10年ほどアトリエ教室に通う。学士/修士課程では脳の再生の基礎研究に従事。新卒で大手総合通販会社に入社後、Webマーケティングチームに配属。心理学や行動学の知識とアトリエ教室で培った感性を融合させ、売上や購入率向上に貢献。その後、社内から「人の力」で会社を強くしていく人材教育領域に興味を持つようになり、次世代のビジネスリーダー育成と輩出を目指す、グロービスに転職。グロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、自身のキャリアに悩んだ経験から、グロービスキャリアノート制作・運営に携わる。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。