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グロービス経営大学院・田久保研究科長によるミニコラム『研究科長の日々のつぶやき』をお届けします。
第3回目のキーワードは、「良書との出会い方」。
年間100冊以上の本を読む田久保研究科長は、どのように本を選ぶのでしょうか?
目標は一生で1万冊
私は学生時代から、コンスタントに年間100冊プラスαぐらいのペースで、様々な本を読み漁ってきました。
実は、一生で1万冊の本を読むことを目標にしていたりします。
少しでも興味を持ったものは、すぐに買う癖がついてしまっているため、週に1回~2回はamazon.comの箱が自宅に届きます。
加えて、月に何度も書店にも足を運びます。
そのうえ、一度読んだ本を捨てたり、売ったりするのはなんとなく気がひける性質のため、家にある本はただひたすらに増える一方...。
こうなってくると、「読む本はどのようにして選んでいるの?」と、興味を持ってくださる方もいらっしゃるかもしれません。
本を選ぶ基準はいろいろあると思いますが、私が実践している方法を3つご紹介します。
良書と出会う方法①:「うわさ」を聞く
まずは、信頼できる人からの紹介。
これで購入する本全体の1~2割を占めます。
信頼する人といっても、いろいろな業界や志向の人がいらっしゃいますから、結果、様々なジャンルの本を乱読することになります。
しかし、新たな知識との出会いも多いのがこの方法です。
私は大学卒業後、三菱総合研究所という所で数年間を過ごしたのですが、その時に「うわさ」の研究をしたことがあります。
「人は伝える価値のある内容だけを誰かに話すものであり、その連鎖が『うわさ』となる。だから、『うわさ』には信頼性の高い内容が多いんだ」なんて話を聞きました。
私が、知人や友人から紹介された本を優先して読むようになったのは、この話が潜在的にあったからかもしれません。
良書と出会う方法②:数珠つなぎで渡り歩く
本の選び方として次に多いのは、気に入った本の中で引用されている本、それから、気に入った本の著者が執筆した別の本へと、数珠つなぎで渡り歩くやり方です。
本の選び方からは少々外れるかもしれませんが、私はできるだけ原書を読むようにしています。
たとえば、マイケル・ポーターの競争戦略について深く知りたいと思ったときには、分かりやすく説明された解説本もありますが、やはりオリジナル(英語の原書という意味ではなく、翻訳本でも)にあたるのが良いと考えています。
オリジナルの内容は、解釈が加えられていない分だけ、難解に感じることが多いです。
しかし、その分しっかりと咀嚼して読みますので、最終的には頭に残るように思います。
良書と出会う方法③:実際の書店で見つける
最も多いのが、書店に実際に足を運んで見つける方法です。
書店には1週間に最低1回、多いときでは3~4回行くのですが、どこに何があるかを把握している"行きつけ"を何店舗か持っていると、興味深い新刊に目が留まりやすくなります。
つい"ジャケット買い"してしまうことも多々あります。
本も一つの商品であることにはかわりありません。
なので、手に馴染む本、たとえばジャケットの質感が良いものなどは、ついつい買いたくなってしまいます。
そのため、積んでおくだけになってしまう本も多いのですが、あまり気にしません。
本との出会いは、たった一行でも得るものがあれば、と思っています。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。