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グロービス経営大学院・田久保研究科長によるミニコラム『研究科長の日々のつぶやき』をお届けします。
第1回目のキーワードは、MBAの授業でもよく出てくる「フレームワーク」。
世の中に「フレームワーク不要論」を唱える人もいますが、やはりビジネスで新しい企画を考えていくには、知識や情報の貯えとフレームワークが役立つと田久保研究科長は説きます。
まったくのゼロからは生み出せない
仕事において新しいことを企画するには、まず前提として頭の中にどれだけの知識や情報が入っているかがとても大事なことです。
頭の中に何もないと、情報同士をつなげようがないし、組み合わせることもできないからです。
単純に「何かを暗記していきましょう!」という意味ではありませんが、すべてにおいて知識や情報がベースになることは間違いありません。
インターネットの普及により、分からないことがあったらすぐに調べられる環境になりましたが、いちいちGoogle先生に聞くわけにもいかないでしょう。
それに、効率的にGoogle先生から情報を得るためには「検索キーワード選び」のセンスが問われますが、このセンスは頭の中にある知識や情報がベースとなります。
さらに近年、イノベーションの観点で、新しいことを生み出すためには「多様性が大事!」と言われることが増えてきましたが、いくら多様な人材を集めたとしても、その場にタイミングよく投げ込めるもの(情報)がなけれは、話は始まりません。
「フレームワーク」により、いつもの思考パターンから脱却
一方、知識や情報を沢山持っていても、個々人の思考パターンには、得手不得手やくせがあります。
そうすると、「いつも自分が出すアウトプットは似ているな」となってくることがあるでしょう。
おそらく、情報の組み合わせパターンが似通ってしまうことが要因だと思われます。
その時に、いわゆる「フレームワーク」が、無意識に行っている自分の思考パターンから脱却するのに役立ちます。
特に、普段あまり使っていないようなフレームワークに当てはめてみると、意外な情報同士がつながったり、新たな視点や漏れていた視点に気が付くことができます。
フレームワーク不要論について
世の中に、「フレームワーク不要論」を唱える人も多いですが、実はそういう人に限って、若いころ徹底的にフレームワークを使い込んでいて、今は無意識に使っているため「自分はフレームワークに囚われていない!」と主張したいだけの気がするんです。
「守破離(しゅはり)」昔の人は素晴らしい言葉を残してくださいました。
既存のフレームワークの習得に終わらず、自分流に変化、進化させるなどのことも含め、じゃんじゃん活用、使い倒していく。
そんなことが重要だと改めて思います。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。