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理解力が高い人の中には、自分の専門外であっても「一聞いて十を知る」ということわざを体現したような方もいらっしゃいますよね。
本記事では、ビジネスにおいてさまざまな場面で求められる「理解力」を鍛える方法についてご紹介します。
理解力とは
理解力とは、物事の仕組みや状況を正しく判断する能力のことです。
仕事は多くの場合、さまざまな関係者と進めていかなければなりません。
理解力がないと、プロジェクトの進行を遅らせてしまったり、他者の業務の阻害になったりと、自分のみならず周囲に迷惑をかけてしまうことも起こりえます。
理解力は、スムーズかつ短時間で成果を出していく上で、とても重要な能力といえます。
理解力が高い人の特徴
理解力が高い人が会話の中で行っている共通項を2つご紹介します。
特徴①:相手に興味と仮説を持っている
理解力が高い人は、まず何よりも相手の状況や立場、役職、関心事など、相手に対し興味を持っています。
そのうえで、さまざまな仮説を持ちながら相手の話を聞いています。
例えば、相手が上司であれば、「最近上司はこんなことを課題に感じていると言っていたな」「最近よく話題に挙げるトピックってこういう系だな」など、普段の会話から得られる情報をもとに、相手の興味関心事をストックしています。
そして、上司から「ちょっと話がある」と言われたときには、その情報をベースに「おそらくこういう系の話だろう」と仮説を立て、自分の中でシミュレーションをした上で話を聞いているのです。
特徴②:構造化しながら聞いている
理解を早める上で、相手が話している内容を構造化しながら聞けるという能力も重要です。
そもそも話し手が理路整然と話してくれれば、聞き手側は構造化する必要はないのですが、全員がそのような話し方をしてくれるとは限りません。
あっちこっちに話題が飛ぶような話を聞く場合も多々あります。
理解力が高い人は、そのような状況でも、相手が話していることを自分の頭の中でフレームワークを使って体系的に整理し、「おそらくこういうことを話してるんだろうな」と想像しながら聞いています。
構造化は、「論理的思考力」を身に付けることによって、できるようになります。
こちらの記事で、論理的思考力の詳しい鍛え方について解説してますので、ぜひあわせて読んでみてください。
理解力を高める方法4つ
理解力は、地頭の良し悪しではなく、誰もがトレーニングによって習得が可能です。
ポイント①:視野を広げる
視野が広く、全体感や構造が見えていると、「今の話はおそらく全体の中のこの部分を言ってるのではないか」と推測することができます。
ビジネスにおける全体感をつかむには、会社全体の仕組みや、自社のバリューチェーンはどうなってるのかなど、経営全般の知識を学ぶことが有効です。
一方で、経営を理解するというのは、書籍や動画学習などの独学では、なかなか難しいものがあります。
グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした社外の機関を上手く活用するというのもひとつの手です。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『マーケティング・経営戦略基礎』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにて『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
ポイント②:知識の絶対量を増やす
知識の絶対量が多いと、自分が持っている知識の「引き出し」と合致する可能性が高くなります。
そして、引き出しの内容で補足しながら聞くため、多くを聞かずとも理解することができます。
前述したように、日ごろからきちんと相手に興味を持って話を聞いたり、さまざまなことに好奇心を持って情報収集したりする習慣をつけてみましょう。
分からないことや疑問に思うことがあったらそのままにせずに、すぐに調べる癖をつけることも知識量を増やす上で効果的です。
ポイント③:パターン認識を意識する
パターン認識とは、様々な情報を含むデータの中から、一定の規則を見出す処理のことです。
パターン認識力が高いと、幅広い事例で応用可能になり、たとえ初めて聞くような話であったとしても、「おそらくこういったことを言っているんだな」とおおよその意味を推測することができるようになります。
ポイント④:仮説思考を身に付ける
仮説思考とは、「おそらくこうなるだろう」と先を見通していく思考方法のことです。
限られた情報の中から、最も確からしい「仮の答え」を先に想定した上で、あたかも「逆算」するかのごとく、その答えに必要な根拠を探しにいきます。
仮説思考力がある人は、会話中でも相手の話に「仮説」を立てながら聞くため、スピーディーに理解を進めることができます。
仮説思考の鍛え方については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせて読んでみてください。
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「理解力が低い」と悩んだときの対処法
上記の理解力を高める4つの方法を実践しても、残念ながら一朝一夕で習得できるわけではありません。
ただし、日々の習慣に取り入れることで、理解力向上の助けになる行動はあります。
明日の仕事からすぐに使える対処法についてご紹介します。
即効薬①:メモを取りながら聞く
会話中にメモを取ることで、その場で完全に相手の話を理解できなかったとしても、後で分からないことについて調べることができます。
そして相手にも「きちんと話を聞いているな」という印象を与えることができます。
即効薬②:報連相(ほうれんそう)を徹底する
認識にズレがあるまま進めてしまうと、やり直しなどが発生し、結果として非効率になります。
認識合わせのためにも、こまめに「報連相」(報告、連絡、相談)を行いましょう。
内容に間違いがあれば、相手に訂正してもらうこともできます。
文字として残り、後から見返すことができる、メールで行うこともおすすめです。
即効薬③:期限を確認する
業務の重要度や緊急度、成果物の粒度の認識合わせのためにも、期限はきちんと押さえておきましょう。
まとめ
ビジネスのさまざまな場面で求められる理解力を高める方法についてお伝えしました。
一朝一夕で身に付けられるものではありませんが、仕事を効率的に進める上で必要不可欠なスキルなので、相対的に自分が弱い所から日々克服していきましょう。
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著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。