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近年、働き方改革という文脈の中で「生産性の向上」というキーワードを聞く機会が増えてきました。
今回は、生産性を高めるコツについてご紹介していきます。
まずは労働に対する考え方のアップデートが不可欠
日本は生産性が低い
生産性という観点で、まず認識しておいていただきたいのは、日本は国際的に生産性が低いということです。
2018年の日本人1人当たりの GDP(国内総生産)は世界26位と、かなり低い順位です。
理由のひとつとしてよく挙げられるのが、日本で求められているサービスの質が高すぎて、それになんとかリーチしようとし、どんどんと効率が悪くなっていくというものです。
たとえば、「海外旅行に行って、日本のサービスは充実していると改めて感じた」といったお話をよく聞きます。
しかしこれは、逆の視点で考えると、お金にならないところに時間や手間をかけているとも捉えることができます。
「常識」に対して疑問を持つ
ある意味、「今までの常識は非常識」「日本の常識は非常識」ぐらいの考え方でいかないと、駄目な時代なのかもしれません。
労働時間においても、「サービス残業」という言葉に代表されるように、今までの日本企業には長時間働くこと自体が美徳かのような価値観がありました。
近年では見直しが進んでいますが、これからは労働時間に対してどれだけアウトプットを出すかという観点が、生産性を高める上で必要不可欠です。
生産性を高めるには?
具体的に生産性を高める方法についてご紹介していきます。
生産性とは、投入に対する成果物の割合
改めて、生産性とは何でしょうか?
何かを作るときには、それが有形のモノであっても、サービスなどの無形のモノであっても、設備や原材料、人間の労働力などが必要となります。
生産性は、そういった投入したもの(=インプット)と、生み出した成果物(=アウトプット)の比率で表されます。
『生産性=成果物(アウトプット)÷ 投入(インプット)』
この比率の値が大きいほど効率よく生産ができた、つまり生産性が高い状態であるといえます。
生産性を高める2つのアプローチ
生産性向上には、2種類の方法があります。
- ①「アウトプットを最大化する」:同じ労働時間で、いかに多くの付加価値を出すか。
- ②「インプットを効率化する」:少ない労働時間で、いかに同じ付加価値をキープして出すか。
生産性が高い人とは、このどちらか、もしくは両方を実現している人といえます。
生産性が高い人の特徴
生産性が高い人に見られる共通項を7つご紹介します。
特徴①:生産性を強く意識している
あらゆる業務において生産性を強く意識するのは、生産性を高める上で根幹となる軸です。
特徴②:優先順位をつけるのが上手い
最終的な成果物にどれだけのインパクトを与えるかを軸に、仕事において重要なものとそうでないものの取捨選択や優先順位付けをしていきましょう。
特徴③:情報の整理がきちんとしている
情報を必要なときに素早く取り出せるようにしておくことで、探す手間を省くことができます。
効率のよい情報整理を実現することができるデジタルツールをしっかりと使いこなす能力も、ここに含まれるかもしれません。
特徴④:普段からインプットの量が多い
以前、短時間で質の高いアウトプットを出す人は、往々にして普通の人とは違う頭の使い方をしているとご紹介しました。
プライベートの時間も含め、さまざまなことにアンテナを張って知識や情報の引き出しを増やしておけば、決められた業務時間の中で、より効率的にアウトプットを出すことができます。
特徴⑤:時間管理と集中力
いろんな仕事をこなしていくマルチタスク能力も大事なのですが、あちこちに気が散って中途半端に手をつけ、最終的に多くの時間を消費してしまったとなったら元も子もありません。
複数あるタスクを分解し、「今の時間はこの仕事に集中するぞ」とひとつのことに集中して取り組んでいくといったことも生産性を上げる上で重要です。
特徴⑥:議論をまとめる力
単独で全てをこなすことは難しく、チームでの仕事も多くあると思いますが、議論や会議での生産性を上げる力も重要です。
特徴⑦:高い目標を掲げている
私の周囲の生産性が高い人をざっと見ると、高いストレッチ目標を掲げているという共通点があります。
自分に厳しく、いかにアウトプットの質を上げるか、いかに効率よく仕事をするかといったマインドを意識高く持っています。
まとめ
生産性が高い人の特徴について見てきましたが、やはり軸となるのは、あらゆる業務において「生産性というものを強く意識している」ことです。
そのマインドを持つか持たないかで、考え方や取り組み方が変わってきますので、ぜひ意識していってみてください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。