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要領が良い人と聞いて、あなたはどんな人をイメージしますか?
例えば、「手際よく物事を進めることができる」「仕事ができて周りからも信頼されている」などポジティブな文脈で使われることもあれば、「手を抜いているのに、上司からの評価は高い」などネガティブな文脈で使われる場合もあります。
どちらにも共通しているのは、「仕事の優先順位をつける能力に長けている」ということです。
生産性や効率が重視される昨今のビジネス環境では、要領の良さというのは評価ポイントのひとつ。
本記事では、要領が良い人・悪い人の特徴、要領よく仕事を進める方法などをご紹介します。
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「要領が悪い」とはどんな状態?
要領が悪いとは、「やり方が悪く、もたついたり失敗したりする様子」などを表す言葉です。
仕事でも、事前準備が足りずに手間取ったり、無駄な作業に時間を取られて仕事が進まなかったりした経験はありませんか?
要領が悪いというイメージが定着してしまうと、「この人に仕事は任せられない」「頼りにならない」と信頼を失ってしまう可能性があります。
要領が悪い人の特徴
では、要領が悪い人には、どのような特徴があるのでしょうか?
仕事の全体像が見えていない
仕事の全体像や大枠を掴まず、目先の仕事から取りかかってしまう傾向が強いです。
「どの仕事を優先するべきか?」「どの流れで進めるのが効率的か?」を検討していないため、余計な作業や手間が発生してしまいます。
力を入れるポイントがずれている
優先度の検討ができていないため、注力するべき仕事やタイミングの認識がずれています。
「今やるべきか?」「本当に必要な作業か?」が判断できず、重要ではない作業にこだわったり、必要以上に時間を割いたりしてしまいます。
ひとりで仕事を抱え込みがち
自分がやらなくてもよい作業まで引き受けるなど、仕事を抱え込む傾向があります。
ほかの人を頼ることができないため、仕事の効率が悪くなり、結果的に周りに迷惑をかけてしまうことも...。
頭の中で全体の段取りが立てられていないことも、周りを頼ることができない要因と言えるでしょう。
要領が良い人の特徴
要領が悪い人は、「全体像を捉えておらず、優先順位をつけることができない」という特徴があります。
では反対に、要領が良い人にはどのような特徴があるのでしょうか?
物事の優先順位付けが上手い
要領が良い人は、自分がやるべき仕事の優先順位を付けることができます。
さらに、仕事の大枠を捉えた上で、重要なポイントを押さえ、段取りを組み立てられます。
そのため、複数の仕事があったとしても、焦ることなく効率的に進めることができるのです。
自分の得意/不得意分野をよくわかっている
得意な分野や不得意な分野はもちろん、どの仕事にどれくらい時間がかかるのかということまで把握しています。
自分のキャパシティーなどもよく理解しているため、上手くコントロールしながら業務を進められます。
適切に人に相談し、頼ることができる
周囲の人のことをよく見ており、ほかの人の得意分野や保有スキル・知識といった情報を押さえています。
そのため、周りを頼ったり、必要なタイミングで相談したりしながら、仕事をスムーズに進められます。
要領が悪い人の長所と短所
要領が悪い人の短所として、「仕事をスムーズに進められない」「自分の力量やキャパシティを見極められない」などが挙げられます。
しかし、要領が悪いというのは、デメリットしかないのでしょうか?
ここで違う角度から考えるために、営業職に例えて見てみましょう。
普通は30分かけて商談を行うところ、雑談なども交えながら1~2時間かける。
1回きりの訪問で終わるのではなく、2回3回と何度も訪問する。
一般的に見れば、この人の営業活動は要領が悪いと言われてしまうかもしれません。
しかし、時間をかけて顧客と関係構築を行うことで、信頼を獲得することができます。
短期的に成果につなげることは難しいかもしれませんが、長期的な視点で見れば、「あの営業に声を掛けてみよう」とチャンスが巡ってくる可能性は高いです。
このように、「丁寧に仕事を進められる」「根気よく物事に取り組める」というのは、要領が悪い人の長所であるとも言えます。
とにかく要領よく仕事をこなすことだけを追及するのではなく、何事もバランスを見て、あえて要領のよさを優先しない判断をすることも大切です。
要領よく仕事を進める方法
要領が良い人になるためには、どんなポイントに気を付ければよいのでしょうか?
ここでは3つの方法をご紹介しますので、ぜひ仕事に役立ててみてください。
ゴールを意識してタイムマネジメントする
仕事に取り組む前に、目的やゴールなどを明確にしておくことが重要です。
それらを把握することで、どの仕事を優先するべきか考えることができます。
いつまでにどの仕事をしないといけないのか、逆算してスケジュールを組み立てて、タイムマネジメントをしましょう。
全てにおいて完璧を目指すことはやめる
要領よく仕事を進める上で大切なのは、完璧を目指さないということです。
クオリティを求めることは重要ですが、ひとつのことにこだわり過ぎてしまうあまり、ほかのことにかける時間がなくなってしまうことも...。
70~80%くらいまで進んだら、意図的にその作業を切り上げることも、ときには重要です。
筆者自身も、普段から100%に仕上げるのではなく、70~80%を目標に仕事を進めています。
ただ、重要な案件の最終プレゼンは注力するなど、仕事の重要度による場合もあります。
限られた時間の中で成果を出すためにも、状況に応じてリソースを配分しましょう。
着手する前にやるべきことを洗い出し、優先順位をつける
目の前の仕事に取り組む前に、全体像や重要な作業を洗い出すことが大切です。
その上で、それぞれの仕事に優先順位をつけて、スケジュールを組み立てます。
事前準備の段階でやるべきことを明確にし、計画通りに作業を進めていくことで、無駄な時間を過ごすことがなくなるでしょう。
まとめ
人口減少により、どの業界・職種も人手不足が深刻化しています。
一人一人の生産性向上が求められているからこそ、要領よく仕事ができる人はますます重宝されるでしょう。
「自分はあまり要領が良くない」という方は、まず全体像や物事の優先順位を意識することが大切です。
優先順位を付けたら、あとは計画通りに進めて、期日を守る。
そうしたことを徹底し、意識や行動を少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。