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「上司にいつ質問したらよいのかわからない」
「先輩が忙しそうで、質問しても大丈夫なタイミングが分からない」
という悩みを、よく若手社員から受けます。
本記事では、適切な質問のタイミングや心構えについてお伝えします。
新人の時はどんどん聞こう
若手社員が悩む背景には、
「なんでもかんでも先輩に聞くのは申し訳ない」
「『そんなことも聞いてくるの』と思われるのではないか」
と不安に感じる気持ちがあるようです。
相手が先輩であっても質問しにくいということですから、これが上司となるとなおさら聞きにくいですね。
非常に悩ましい問題だと思います。
そこで、まず1つ言えることは、新人の時にはどんどん聞いたほうが良いということです。
「今」しか聞けないことがたくさんあります。
新人だったら許してもらえるということも沢山あると思います。
そして、実は、聞かれる側も新人の素朴な質問から学ぶことも多いのです。
なので、本当に分からなくて困っているのであれば、笑われても怒られてでも、勇気を出して聞いてしまった方が良いというのが、私の素朴な意見です。
3年目になったら「上司のマネジメント」を意識
それでは、仕事や職場にも慣れてきた入社3~4年目になった時には、どうするのがよいでしょうか。
「こんなことを聞いてもよいのか?」と躊躇することもあるかもしれませんが、それでも聞くということが大事です。
そして、もう1つ大事なこととして「自分の上司をどういう風にマネジメントするか」という概念を持つということがあります。
「マネジメント」というと、上司が部下を管理するという意味で使われる言葉だと一般的に思われていますが、ビジネススクールの業界で有名な論文ケーススタディに「Managing Your Boss」というものがあります。
どういうことかというと、ボスとの関係性をきちんとマネジメントしないと、良い仕事は出来ないということです。
例えば、メールで上司に報告をして仕事が完了したと思っている人がいたとしましょう。
しかし、その上司はあまりメールが好きではなく直接話す方が好きであった場合、その上司との仕事がうまくいくでしょうか。
当然上手くいきませんよね。
スムーズに仕事を進める上で、上司の癖を理解することは、とても大事なことなのです。
質問のタイミングに困ったら、このようなことを意識してみましょう。
・どのようなコミュニケーションの仕方が好きなのか
・どのような質問なら受けてくれる人なのか
・どのようなタイミングだったら、機嫌がよくて質問を受けてくれやすいのか
上司に媚びを売るということではなく、上司の特性をきちんと理解した上でコミュニケーションをするということが、非常に大事であるということです。
相手も所詮人間ですから、上司だからということで完全性を求めてもなかなかうまくいきません。
何か質問したいことがある場合には、まずは部下として上司の特性をちゃんと理解した上で、タイミングや上司が好むコミュニケーションの仕方に配慮していきましょう。
上司の気持ちを理解する
上司も忙しいですからべったりとはりついて面倒をみるわけにはいきません。
しかし、「大丈夫かな」「順調に作業が進んでいるかな」などと気にかけている部分もあります。
上司も部下に質問されると頼りにされていると感じて嬉しいですし、応えてあげたいという気持ちになります。
なので、相手に配慮しながらも「勇気を出して質問する」ということが大切です。
「今話しかけるな」とオーラを出されたら...
一方で、相談を受ける側の問題もありますよね。
中には「今話しかけるな」と忙しいオーラを出している方もいて、そういう場合はなかなか話しかけづらいことがあります。
しかし、これも受け手の問題も含まれていて、オーラに負けて聞きに行かないと、今度は「あいつは報告がない」とか言われてしまうので我慢して行くしかないところがあるのも事実です。
これまで申し上げてきたように、ボスマネージングの一部として、その人のキャラをきちんと知り、どういう形でコミュニケーションしていくのが一番円滑にいきそうかという観察が何よりも大事なことではないかと思います。
まとめ
どこまでいっても人間関係ですから、相手の人間の特性を知るということを怠らないことが重要です。
過剰に上司だからとか、ビジネスだからということではなく、本当にその人とコミュニケーションがとりたければ、普段している努力をビジネスの場でも取り入れていく必要があるということです。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。