目次
前回は、「会議が効率的に進められない」という悩みの解決法についてご紹介しました。
今回は、「会議でたくさんのアイデアを引き出すためにはどうしたらよいか」という悩みについて考えていきましょう。
アイデアを引き出すための3つのポイント
会議でなかなかアイデアを言えない理由として、「否定されたら嫌だな」と思ってしまう、マインドセットの問題があると思います。
「的外れなことを言ってしまったら恥ずかしい」「反応がいまいちだったらどうしよう」など、なかなか言いづらいことがあるでしょう。
そこで、「どんなアイデアを言ってもいいんだ」と思える空気を作るためのコツをご紹介します。
ホワイトボードにどんどんアイデアを書き出す
参加メンバーの中から1人選び、その人に会議中に出たアイデアや意見をどんどんホワイトボードに書いてもらいましょう。
書く時のポイントは、「分け隔てすることなく、とにかく書く」ことです。
良さそうな意見だけを書くと、「良いことを言わないとダメなんだ」と話しにくくなりますが、全部書いてくれたら、「とりあえず、言ってみよう」と気軽に話せる空気が生まれます。
この方法は、視覚で「残る」というメリットもあります。
しゃべっただけでは忘れてしまいますが、書いておけば、また目に入ってきますよね。
そうすると、もう1度脳みそが刺激されて、「そのアイデアがあるのだったら、これもいけるかも」という連鎖が起こる可能性があります。
一切の評価をしない
アイデア出しが目的の会議でのポイントは、「淡々とやる」ことです。
上司は、出たアイデアに否定も肯定もしてはいけません。
「それいいアイデアだね」と上司が言ってしまうと、「こういう種類のアイデアを出さなければいけないんだ」と他メンバーは思ってしまいます。
また、「それお金かかり過ぎだよね」と言ったら、「お金がかかる意見は出したらダメなんだ」と思ってしまうでしょう。
そうすると、アイデアの範囲が狭くなってしまい、アイデアは出にくくなっていきます。
アイデア出しと評価は、それぞれ別の会議で行うのをおすすめします。
前の人と少しだけ違うことを言う
ビジネスの場合において人間は、自分の言ったことが重宝されたり、重んじられたりすることを望んでいます。
そうすると、本能的に人とはなるべく違うことを言いたいと思うようになります。
例えば、3人目の発言者は、前の2人とできるだけ遠くの意見を言おうとするため、イメージとしては、正三角形の頂点を抑えてしまうような状態になります。
正三角形は安定しているので、良い意見が3つ先に、出てしまうと「それ以上言うことないや」という気になってしまいます。
そのこと自体は、別に悪いことではありません。
正三角形の頂点を押さえられてしまったら、似ている部分もあるけど「少しだけ違うこと」をたくさん言うというモードに入ったらいいのです。
それをよしとすると、アイデアもどんどん出てきます。
議長も様々な意見が出てくるように「似た意見でもいいので」と促してもよいかもしれませんね。
まとめ
アイデアをたくさん引き出すためには、「とりあえず、言ってみよう」と気軽に話せる空気を作ることが大事です。
アイデア出しが目的の会議では、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。