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情報の移り変わりやアップデートが速い現代。
私たちが1日に触れる情報量は、以前よりも格段に増えています。
それに伴って、いかに効率よく情報を集められるか、多くの情報から必要なものを取捨選択できるかといった「情報収集力」が求められています。
本記事では、情報収集力が高い人の特徴や、情報収集力を高めるコツなどをご紹介します。
情報収集力とは
情報収集力とは、効率よく質の高い情報を手に入れるスキルのことです。
例えば、「新しいプロジェクトが始まるらしい」といった社内情報に通じている人や、 「競合がこんな動きをしている」と最新情報を共有してくれる人などが挙げられます。
多くの情報が溢れている現代において、ますます重要性が高まるスキルと言えるでしょう。
情報収集力を身につけるメリット
情報収集力は、ビジネスを行う上で必要不可欠なスキルのひとつです。
では情報収集力を高めることで、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
インプットの質が高まる
インターネットやSNSの普及によって、世の中には常に膨大な情報が溢れています。
その中から、自分に必要な情報を探すためには、情報の有益性を見極めることが重要です。
必要な情報を選択するスキルを得ることで、効率的にインプットを行うことができます。
仕事の作業スピードと質が上がる
インプットの質が向上することによって、仕事の作業スピードやクオリティも上がります。
例えば、自分には必要のない情報まで集めていては、情報整理に多くの時間がかかってしまいます。
しかし、効率的にインプットを行うことで、その分アウトプットに時間をかけられるようになるのです。
さらに、 「得た情報をより分かりやすく伝えるためにはどうするか」 「このほか、どんな情報があるとより良くなるか」 など、アウトプットを通して理解を深めることで、仕事の質も高められるでしょう。
仮説を立てやすくなる
情報のインプットやアウトプットを繰り返すことで、知識の引き出しを増やせます。
様々な切り口から解決策を考えたり、複数の情報を組み合わせてアイデアを生み出したりすることができるようになるのです。
未知の問題に直面した際も、それらのスキルを活かして精度の高い仮説立てることができます。
よくある情報収集の失敗パターン
情報収集といっても、やみくもに情報を集めればいいというわけではありません。
この点を理解していなければ、よくある失敗パターンに陥ってしまう可能性があります。
自分の行動が失敗パターンに当てはまっていないか、ぜひチェックしてみてください。
収集自体が目的になってしまっている
情報を集めるうちに、収集自体が目的になってしまうパターンです。
ただ情報を集めただけで、自分は仕事をしているという気分になってしまいます。
情報収集は、ビジネスを前に進めるための「手段」であり、「目的」ではありません。
「何のために情報収集するのか」といった目的や意図を意識することが大切です。
時間をかけすぎ、非効率になっている
情報の取捨選択ができず、効率が悪くなってしまうパターンです。
関係ある情報を1から10まで集めようとすると、膨大な時間や労力がかかってしまいます。
情報の中身や有益性を考えずに収集していては、結果的に価値のない情報だけが山のようにある...という状態になりかねません。
情報の活用方法まで考えた上で、必要のない情報は拾わないという選択を取りましょう。
偏った意見の情報を集めている
最近では情報収集ツールの技術が向上し、アルゴリズムによって興味関心のある情報を効率的に得られるようになりました。
その一方で、情報が自分用にカスタマイズされてしまい、内容に偏りが生じてしまう場合もあります。
普段あまり目にしない情報や、自分とは異なる意見などが入りにくくなってしまうでしょう。
情報を収集する際は、一面的な情報だけでなく、様々なジャンルの情報に触れることが重要です。
情報収集力が高い人の特徴
情報収集力が高い人の特徴を3つほどご紹介します。
日ごろから情報収集を習慣化している
1つ目は、日常的に情報収集を行っているということです。
例えば、朝ご飯を食べながら新聞を読む、通勤中にニュースをチェックする、就寝前に本を読むなどです。
情報収集を行う時間帯やタイミングをスケジュールに組み込むことで、無理なく習慣化することができます。
情報が集まる仕組みを構築している
2つ目は、情報が集まる仕組みを確立しているということです。
最近ではテレビや新聞、書籍、ラジオ、SNSなどのほかにも、さまざまな情報収集ツールがあります。
代表的なもので、Googleアラートやキュレーションサイトなどが挙げられるでしょう。
定期的にチェックするサイトや、情報交換する人脈などを築くことで、自分なりの情報収集ルートを構築できます。
様々なジャンルに興味関心を持っている
3つ目は、情報感度が高いということです。
日常で触れる全てのものが情報であるという意識を持っており、様々な物事に好奇心を抱きます。
自分が興味のあるジャンルだけでなく、新しいことに対しても関心を持ち、常にアンテナを張って情報収集をしています。
情報収集力を高めるコツ
情報収集力を高めるためのトレーニング方法を3つご紹介します。
情報収集に着手する前に、目的をおさえる
情報収集を行う前に、「そもそも自分にとって必要な情報は何か」を整理することが大切です。
職種や立場、ミッションによって、優先して集めるべき情報は異なります。
例えば、営業担当の場合は、何よりもまずクライアントや競合他社の情報が重要になってくるでしょう。
経営企画の場合は、国内外のマクロ環境などに意識を向けておかなければなりません。
マーケティングの場合は、顧客だけでなく、市場の動向も注視する必要があるでしょう。
このように、まずは自分の目的や全体像を確認した上で、情報収集を行いましょう。
情報を論理的に捉える
複数の情報を見比べた上で、それぞれにどんなつながりがあるのかを考えましょう。
例えば、「顧客が増加している」という情報から、「どういった背景で増えているのか」「どんな属性の顧客が増えているのか」「いつまで増加する見通しなのか」といったことまで考えましょう。
「なぜ?」という問いを立て続けることで、情報を論理的に捉えることができます。
論理的思考力の鍛え方については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
データと主観を分ける
事実やデータ、そして自分の解釈や主観を切り分けて考えることが重要です。
これらを混合して捉えてしまうと、情報収集後の整理や共有がスムーズに進みません。
せっかく集めた情報が誤った形で伝わってしまったり、「どこまでが根拠となるデータなのか?」と指摘されてしまったりする可能性があります。
意外とできていない人が多いポイントでもあるので、まずは意識的にデータと主観を分けるようにしましょう。
まとめ
日々、膨大な情報が流通している現代において、効率よく情報を収集するスキルは必須と言えるでしょう。
あまりスキルとして意識していなかったという人は、まずは普段の情報収集の仕方を振り返ることからはじめてみてはいかがでしょうか。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。