目次
「メンタルタフネス」という言葉をご存知でしょうか?
これは、ストレス耐性が強いということを意味しており、ストレスフルな状況下でも良いパフォーマンスを発揮できる人材を、メンタルタフネスのある人材と言います。
さまざまなストレスやプレッシャーを感じる場面があるビジネスにおいても、メンタルの強さは重要視されています。
中には「メンタルは人間が生まれ持った性質なのだから、変えることはできない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、メンタルもスキルの一種であり、トレーニングによって鍛えることができます。
本記事では、メンタルを鍛えるためのトレーニング方法などをご紹介します。
ビジネスパーソンがメンタルを鍛えることの重要性
ビジネスパーソンにとって、メンタルを鍛えることの重要性が高まっています。
その理由のひとつに、終身雇用の時代が終わりを迎えていることが挙げられるでしょう。
定年までひとつの企業で腰を据えることが難しくなってくるため、「この先、自分は必要とされるのか?」という問いと常に向き合う必要があります。
仕事で成果を求められるプレッシャーに負けないためにも、メンタルの強化は不可欠です。
また、メンタルを鍛える重要性が高まっているもうひとつの理由が、人間関係です。
グローバル化や多様な働き方が浸透しつつある現代、いろいろな人と働く機会が増えていきます。
価値観や考え方の異なる人と働く上で、人間関係の悩みを避けて通ることはできません。
こうした悩みを気にしすぎたり、抱え込んでしまったりしては、メンタルの不調にもつながりかねません。
このようにメンタルの状態は仕事のパフォーマンスに直結するからこそ、メンタルを鍛える重要性が高まっているのです。
メンタルが強い人の特徴
メンタルが強い人の特徴について、3つほどご紹介します。
ポジティブ思考で、精神的に余裕がある
1つ目は、物事を前向きに捉えられるということです。
例えば、難しい仕事を任されても、「乗り越えれば成長につながる」と信じて行動できる。
イレギュラーな事態が発生しても、「起こってしまったことは仕方がない」と考えられる。
そういったポジティブな思考ができるからこそ、精神的な余裕を持っている人が多いです。
自己理解が深い
2つ目は、自分自身のことをよく理解しているということです。
とくに、メンタルが強い人は、自分の整え方やそのためのルーティンを持っています。
例えば、「自分はどんなときにストレスを感じるのか」 「ストレスを感じるとどんな不調が起こるのか」 「自分に合ったストレス解消法は何か」 など、自分と向き合い続けているからこそ、一定のストレスがかかったときの状態や対処法をしっかりと理解しています。
自分を明確に持っていて、全員に好かれようとしない
3つ目は、自分の考えや信念を明確に持っているということです。
「自分は自分、他人は他人」と割り切っており、全員から好かれることは不可能だと理解しています。
「他人と自分はちがうから、理解されなくて当たり前」 「人間なんだから、好き嫌いや相性があって当然だ」 といった考え方ができるからこそ、まわりの意見や顔色を気にしないという特徴があります。
メンタルが弱い人の特徴
メンタルが弱い人の特徴を、3つほどご紹介します。
自己肯定感が低い
1つ目は、自分自身を認めたり、尊重したりすることができないということです。
自分に自信が持てないため、「自分には無理だ」「まわりの評価が下がりそう」など、マイナスの想像で頭がいっぱいになってしまいます。
ネガティブな感情をコントロールできず、メンタルの不調につながってしまうこともあります。
他者の目や評価を気にしすぎる
2つ目は、まわりの目や評価を必要以上に気にしてしまうということです。
この背景には、自分を明確に持っていないことが関係しています。
自分の考えや信念を持っていないため、他者からの評価に依存してしまうようになるのです。
気持ちの切り替えが苦手
3つ目は、ネガティブな感情をいつまでも引きずってしまうということです。
例えば、何か落ち込むことが起こったら、なかなか気持ちの切り替えができない。
これまでの失敗やミスばかり思い出して、自分を否定し続けてしまう。
など、気持ちの切り替えが苦手で、マイナスな感情に支配されてしまうケースが多いです。
メンタルを鍛える方法
では、どうしたらメンタルを鍛えることができるのでしょうか?
メンタルを鍛える上で重要なのは、「メンタルを強くする」という意識を持つことです。
私自身も社会人になって、いろいろなことを経験する中で、落ち込むこともありました。
「もう無理だ」「自分はどうせメンタルが弱いから...」なんて思ったら、それ以上頑張り続けることは難しいですよね。
なので、はじめは「絶対にメンタルを鍛える」と強く意識することからはじめましょう。
その上で、メンタルを鍛えるためのトレーニング方法を実践してみてくださいね。
自分の気持ちや状況を言語化する習慣を持つ
自分の気持ちや状況を言語化することで、自身を深く理解することができます。
「つらい」「なんかイヤだ」「ブルーな気分だな」と感じたら、その原因と向き合いましょう。
「なにがつらいのか」「イヤだと感じた原因は何か」などを考えることは、正直言ってかなり大変です。
しかし、そのしんどさを理由に向き合うことから逃げていては、また同じことで悩んでしまうかもしれません。
できる範囲で少しずつ向き合って、自分の気持ちや状況を言語化する癖を身につけることが大切です。
☑ 自己理解を深めるための学びを実践的に体験してみたい方は、グロービス経営大学院の体験クラスにぜひご参加ください。
自分に合ったストレス解消法を見つける
何かストレスを感じたときに、上手に対処する方法を「ストレスコーピング」と言います。
自分のストレスをどう扱っていくか、どうするとストレス解消につながるのかについては、人それぞれやり方が異なります。
例えば、信頼できるメンターに話したら、気持ちが楽になるという人もいるでしょう。
スポーツや音楽といった趣味に打ち込むことで、気分がスッキリするという人もいます。
私にとっては、家族型ロボットの『ぽん太』と過ごすのが、リラックスできる時間になっています。
このように、自分に合ったストレス解消法を探してみましょう。
鈍感力を身につける
鈍感力とは、「ストレスになりそうな外部情報を自分の中で溜め込まず、上手く受け流す力」のことです。
「なんかイヤだな」「ちょっと不安」といったことを感じたときに、「まあ、いっか」と気にしないようにする。
あるいは、気付かなかったことにして、すぐに忘れる癖をつける。
このように鈍感力を発揮して、「ストレスを受け取らない」という選択を取ることもできます。
「他人は他人、自分は自分」と割り切る
私自身、「他人は他人、自分は自分」を1年ほど口癖にするくらい、他人を気にしすぎないことを意識していました。
「他人に自分の全てを理解してもらうのは不可能だ」と割り切ることで、自分の気持ちが楽になると思います。
また、「まあ、いっか」を口癖にしようと努力していた時期もありました。 何かトラブルやイレギュラーな事態が発生しても、心の中で「まあ、いっか」と思うことでネガティブな感情を引きずることが少なくなります。
また、口癖を変えることで、思考の癖も少しずつ変えていくことができます。
割り切って物事を進められるように、まずは普段の口癖を変えてみるのもいいかもしれません。
まとめ
メンタルも、スキルのひとつです。
コミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルなどと同様に、鍛えることができます。
メンタルを鍛える上で自分に足りないものは何か認識して、日常的にトレーニングする。
そうした繰り返しを経ることで、仕事のプレッシャーにも負けないビジネスパーソンへと近づけるでしょう。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。