目次
発想力と聞くと、企画やデザイナーなどクリエイティブ系の職種で必要とされるスキルと思われる方は多いのではないでしょうか。
もちろんそうした職種で重視される能力ではありますが、営業や人事などあらゆる職種で広く身につけておくべき能力でもあります。
本記事では、発想力のある人の特徴と鍛える方法を紹介します。
発想力とは
発想力とは、一言でいうと「何かを思いつき、新しいものを生み出す力」のことです。
想像力との違い
発想力と似た言葉で「想像力」がありますが、意味合いは少し異なります。
発想力が「アイデアを生み出す力」であることに対して、想像力は「自分が経験していないことや未来のこと、現実には存在しないことを、頭の中で思い描く力」のことを指します。
例えば、会話中に相手の反応を予想しイメージしている時は、「想像している」状態といえます。
発想力と想像力は共に、仕事で成果をあげていくうえで重要なスキルです。
こちらの記事で、想像力の詳しい鍛え方について紹介していますので、ぜひ合わせて読んでみてください。
発想力が求められるビジネスシーン例
発想力は、様々な場面で必要とされるスキルです。
- ①新しいサービス・製品の開発やプロモーション企画
- ②問題解決や業務改善における施策の考案
- ③クリエイティブ系の業務(グラフィックデザインやUXデザインなど)
さらに発想力は、今後ますます重要性が高まるビジネススキルの1つでもあります。
「AIによって仕事が奪われる時代が来る」といった話もありますが、AIはけっして万能ではありません。
AIは過去のパターン分析が得意な一方で、まったく素材のない状態から何かを生み出すこと、つまり発想力が求められる領域は苦手とします。
こうした人間しかできない仕事ができる人材の需要や価値は、これからの時代にますます高まっていくと考えられます。
発想力がある人の特徴
4つほど際立った特徴があります。
特徴①:固定概念にとらわれない
多くの人が無条件に受け入れている常識や慣習といった従来の考え方を「本当にそうなのか?」と疑うことが習慣化されているため、今まで盲点だったアイデアを思いつきます。
一方で、新しい価値観や感性にも理解を示し、柔軟に受け入れる傾向もあります。
特徴②:失敗を恐れない
当然、アイデアの中にはボツになるものや失敗に終わるものもあります。
しかし、発想力のある人は失敗を恐れていては自由な発想はできないことを知っているため、積極的にチャレンジをしようとします。
特徴③:好奇心が旺盛
興味の範囲が広く、積極的に情報を入手しようとします。
そのため、新たな発想のネタや材料を得やすくなります。
特徴④:人と異なる視点を持っている
独自の視点を持っていたり、意図的に複数の視点で物事をみようとする癖を持っているのも、発想力のある人に共通する特徴です。
発想力を鍛える4つの方法
発想力は、やはり日常の積み重ねによって高められていきます。
ぜひ普段から意識して取り入れていただきたいポイントを4つお伝えします。
方法①:情報のインプット量を増やす
新たな発想は、情報同士を組み合わせることよって生まれやすくなるので、積極的に情報収集し、知識の引き出しを増やすことを心がけていきましょう。
情報を集めるうえでのポイントは、意識的に自分の興味のある分野に限らず、様々なジャンルの情報にふれてみることです。
興味のある分野の情報ばかりだと、どうしても知識の引き出しの幅が狭まってしまうからです。
また、普段インターネットによる情報収集が多い人は、「偶発的に情報と出会う」ことも意識して行ってみましょう。
インターネットは、自分の検索履歴などに連動して最適化された情報が出てくるため、やはり情報の幅は広がりません。
テレビや書籍など、あえて個人に最適化されていない情報にふれてみることも行ってみてください。
方法②:多様な価値観の人と会話してみる
複数の視点を持てるようになるという点で、自分とは異なるバックグラウンドや考え方の異なる人と会話をしてみることも、発想力を高めるうえで有効です。
居心地の良い友人同士だけでなく、業界や職種、年代、ポジションの異なる人とも積極的に話すようにしてみましょう。
多様な価値観を持つ人と話すことで、情報収集に役立つのはもちろん、その人たちが経験してきたことを自分のものにできるし、視野を広げることができます。
方法③:失敗を恐れず、チャレンジする
失敗や他者からの否定・批判を恐れていては、思考の幅も狭まり、自由な発想ができなくなります。 発想の質を上げるには、量をこなしてくことも大事です。
「失敗やボツになっても新しいアイデアを試せばいい」という気持ちで、積極的にチャレンジしていきましょう。
失敗したとしても必ずそこから何か得られるものがあるので、「次のステップの糧にしよう」というマインドを持つようにしてみてください。
トライ&エラーを繰り返すことで、アイデアもどんどんと洗練されていきます。
方法④:ゼロベース思考を鍛える
セロベース思考とは、前提や思い込みを一旦「ゼロ」にして考える思考です。
人間は、ついつい自分の経験や、今までの延長線上で物事をとらえてしまう癖があります。
テクノロジーの変化が激しく、ビジネスでも根本のルール自体がひっくり返されることが多々起こる今、ゼロベース思考は重要視されている能力の1つです。
前提を疑う力を鍛えるには、自身の「思考の癖」に気づくことがポイントとなりますが、思考の癖を改善するのは、「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法が有効です。
クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに物事を見る力が養われていきます。
一方で、クリティカルシンキングは、書籍を読んだり、動画を観ただけでは、なかなか習得が難しい思考法でもあります。
グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした外部の機関を活用するというのも1つの手です。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『クリティカルシンキング』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
まとめ
これからは、来たるAI時代を意識して、人間にしかできない仕事ができるようになるための能力を磨いていかなければなりません。
発想力は、そうした能力の1つです。 様々な分野の情報を集めたり、異なる視点で物事をみるようにしてみるなど、日常的に発想力を高める努力をし、未来に備えていきましょう。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。