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今の仕事に対して「おもしろくないな」「もっとこんなことしたいな」と思った時、転職などのキャリアチェンジが頭をよぎった経験はないでしょうか。
本記事では、実際にキャリアチェンジに向けて動き出す前に、少し考えていただきたいことについてご紹介します。
キャリアチェンジはまず「社内」から考える
キャリアチェンジで、まず一番ハードルが低いのは「社内での異動」です。
いきなり転職をお考えになる方が多いのですが、まずは社内から考えてみましょう。
そして、残念ながら社内での異動ができなかった場合に、初めて「外部」に目を向けてみてください。
会社を辞めずに外部の仕事をする
また、転職以外にも、「独立・起業」という方法や、「副業」や「プロボノ」といった、今の仕事はそのままに、変化を求めて外部の仕事をプラスアルファで考えていく方法もあります。
中でも「副業」は、働き方改革の一環としてこれからますます推進されていくでしょう。
キャリアチェンジを考える2つの動機
キャリアチェンジが頭にフッと浮かぶ時、大きく分けて2つの動機があります。
ネガティブな動機の場合、よく考えて行動に起こす必要があります。
ポジティブな動機
「もっとこんなことをしたい」という前向きなものや、自分のやりたいことが明確になっているけれども、今の会社の中ではチャンスが与えられないという場合です。
こういったポジティブな動機によるキャリアチェンジの場合は、問題ありません。
ネガティブな動機
何らかの不満や不安からくるネガティブな動機は要注意です。
ここは丁寧に考える必要があります。
例えば、「今の会社の倫理観が許せない」や「会社が大事にしている価値観と自分が大事だと思っている価値観が真逆」といった場合は、その会社を辞めた方がいいかもしれません。
ネガティブと言っても「自分に合うところが他にあるのでは」と考えているので、ある意味ポジティブとも言えます。
それ以外にも、ネガティブな動機は、「短期的な理由」と「長期的な理由」からくるものに分けられます。
短期的な理由は、「上司や同僚が嫌」「給与に不満がある」などです。
長期的な理由は、「会社の業績や将来性への不安」「そもそも今のこの仕事に思いが持てない」などがあります。
ある調査によると、転職を考える時のきっかけとして最も多いのが「職場の環境(上司と合わない)」で、全体の30%を占めていました。
しかし冷静に考えると、上司は一般的には異動していくものなので、短期的にこの人が嫌だからといって辞めなくても構わないのです。
場合によっては、その人を反面教師としてそこから何か学べないかと気持ちを切り替えて考えることもできます。
ネガティブな動機をポジティブに変換する
ネガティブな動機のまま転職活動を始めたり、異動の希望を出すことは危険です。
今の環境が嫌だからといって転職した人は、良い結果に結びつかず、また嫌になって、転職を繰り返すというパターンに陥りかねません。
そのため、ネガティブな動機からキャリアチェンジを考え始めたとしても、ポジティブな動機に変える努力が必要です。
落ち着いて自分のキャリアを棚卸しをして、「自分はどういうことをしたいと思っていて、何が嫌なのか」をロジカルに考えてみましょう。
そして、「今の状況を自分はどう行動をしたら変えられるだろうか」と戦略的に考えることも重要です。
期限を区切り、行動は計画的に
ポジティブな動機に変える行動として大事なのは「計画を立てる」ことです。
たとえやりたいことがあったとしてもポジションが無いかもしれず、「そもそも市場のニーズはあるのか」ということもしっかりと確認する必要があります。
また、できる能力があるのかという問題もあります。
もしスキルが足りないのであれば、スキルを獲得してから、異動や転職に動くことが非常に重要です。
加えて、計画を立て行動する上では「いつまでにどうするのか」という期限を区切らないと、ただ時間だけが過ぎ去ってしまう危険性があります。
そして、転職をする際にも計画的に行うことをおすすめします。
会社を辞めてから転職活動を始めると、なかなか自分が思ったような仕事に出会えずに、精神的にネガティブになってしまい、良い結果に結びつかないケースが多くあります。
自分の市場価値を知る
たとえ直近で転職する気が無かったとしても、自分の市場価値を計るために、転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。
「こんな仕事に興味があります」と登録すると、幾つかのオファーが来ます。
人間はやはり選択肢があってはじめて、比較してこっちの方がいいなと考えるものです。
自分の今の仕事を振り返って考える機会になり、意外と今の仕事に満足している自分に気付き、今の仕事により打ち込めるという場合もあります。
エージェント登録というのは、別に会社に対する裏切り行為でも何でもなく、自分の市場価値を理解しておくために、非常に大事なのではないかと思います。
まとめ
今回は、キャリアチェンジを意識した際に考えておくことについて、ご紹介しました。
まず、いきなり動き出す前に、冷静に今の自分の状況がどうなのかを計るためにも、転職エージェントに登録してみることをおすすめします。
また、登録の際には、様々な情報を記載しなければなりません。
その中で客観的に自分がどうしたいのか、何が明らかになっていて何が明らかになっていないのかを理解することができます。
このように、具体的に考え、計画的に進めていくことをおすすめします。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。