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みなさんは「キャリア」という言葉にを聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?
職歴など、仕事に関するものをイメージする方が多いと思います。
しかし本来、キャリアは「馬車の車輪の跡(わだち)」を意味することからもわかるように、「人生そのもの」を指します。
したがってキャリアを考える際には、仕事に限らずに、多角的に検討していく必要があります。
人生を考える上での5つの役割
キャリアを考える際には、人生における「5つの役割」を意識して考える必要があります。
- ①職業人としての役割
- ②パートナーとしての役割
- ③子供としての役割
- ④親としての役割
- ⑤社会人としての役割
職業人としての役割
これが1番イメージがしやすいかと思います。
キャリアを考えるもっとも典型的な機会は、学生時代の就職活動時に訪れます。
その後就職してしばらくすると、改めて「この会社でいいのか」「この仕事でいいのか」と、職業人としての自分をより深く考えるようになります。
これは、多くの方が現在進行形でされていることかもしれませんね。
パートナーとしての役割
結婚するかしないかは別にして、誰かのパートナーであることを意識する機会も多くあるでしょう。
パートナーの仕事観や将来プランによって、自身の仕事が影響を受けることもあります。
たとえばパートナーが海外へ転勤になった場合には、自身のキャリアについて考え直さざるを得ません。
パートナーの人生と自分の人生、それぞれに折り合いをつけ、ベストな道を見つけていく必要があります。
子供としての役割
ある程度年齢を重ね、両親が高齢化すると、改めて自分が両親の子供なんだと気付くタイミングが出てきます。
「親の介護をどうするか?」「一緒に住むのか?」など、自身のキャリアにも影響が及んでくることを想定しなければなりません。
親としての役割
親になれば、子供のことについても考える必要があります。
自分の人生だけでなく「子供の人生を豊かにするためにどうすればよいのか?」と、住まい、ワークライフバランス、マネープランなどを真剣に考え始めるのもこのタイミングかもしれません。
社会人としての役割
ここでの「社会人」は、仕事以外の領域で、社会に関わる者を指します。
地域コミュニティーやボランティア、プロボノなど、会社を越えてどのように社会に貢献していきたいか。
より人生を豊かなものにするには、そのような問いも必要かもしれません。
多角的にキャリアを考える習慣をつけよう
女性の場合は、妊娠・出産などのライフイベントがあるため、複数の役割を意識する機会が多くあります。
しかし、男性の場合は、そうした意識を持たないまま、自身の仕事のことだけを考えがちです。
そうして、実際に問題に直面した時に「そんなこと考えてもなかった」と思い悩んでしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、先々のことを想定し多角的にキャリアを考えていきましょう。
まとめ
自分のキャリアを考える際には、人生における5つの役割を意識する必要があります。
どのような生き方をしたいのか。
自分はどういう存在でありたいのか。
正解がない問いのため、考えること自体が苦しいものになるかもしれません。
しかし、一度しかない自分の人生を思い悩むことができるのは自分だけですので、こうした姿勢を貫いていただきたいと思います。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。