目次
今回は、「会社の方針と自分の考えがあわず、モチベーションが上がらない」というお悩みについて、考えていきます。
会社全体の方針が合わない場合
会社の方針と自分の考えが合わないという場合にも、様々なレベルがあります。
まずは、会社が掲げている理念やビジョン、中期計画といった会社全体の方針に思い入れが持てない場合をみていきましょう。
「辞める」という選択肢を持つ
このレベル感で意見が合わない場合には、個人の力でそれらを変えることは現実的ではないでしょう。
その場合の選択肢は「辞める」ということになります。
「この会社の方向性に私はついていけません」というレベルであれば、それはもう辞めるしかありません。
不満を抱えたままだと悪循環になる
そうは言ってもご飯を食べていかないといけないので、容易に辞められない人が大半でしょう。
しかし、そうした不満は積み重なっていくので心身ともによくありません。
やりたくない仕事をやっていると、モチベーションも上がらないのでミスも増え、数字も上がらず、上司にも怒られる...といった負のスパイラルに入ります。
こうした状況は、本人にとっても、会社にとっても望ましいことではありません。
辞めることのできる状態を作る
本当に心の底からその会社の方針に合わないのであれば、「辞めます」と言える状況を作っておくことです。
ここでキーとなるのが「市場価値」です。
市場価値とは、「自分を商品として考えた時の、世の中からみた価値(値段)」のことです。
今勤めている会社内での価値ではなく、「他社からみて価値があるかどうか」です。
市場価値が高い人材は、他社からみて魅力的な人なので、1つの会社に依存する必要はなくなります。
辞める勇気が持てるのは、今の会社を辞めてもご飯を食べられる人です。
今の会社に勤めながらできることは、どこの会社でも「あなたを雇いたい」と言ってもらえるような能力開発をしておくことです。
市場価値の高め方については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
上司の方針が合わない場合
一方、もう少し小さな部分で方針が合わないこともあります。
例えば、上司やプロジェクトの方針が合わない場合です。
この場合は、対処法を考える余地があります。
対処法①:自分のやりたいことをプラスオンする
上司が言っていることについては、それはそれで割り切って対応し、プラスオンで自分のやり方でやりたいことをやるということができたら最高です。
この方法をやっていくと、プラスオンの所で自分の能力開発もできますし、結果的には上司も認めざるを得なくなり、徐々に自分の発言力も上がっていきます。
ただ、いつもそんなに上手くいくとは限らないので、次の方法も試してみてください。
対処法②:上司の状況を想像する
上司の置かれている状況を想像してみるというのも1つの手です。
「上司の方針は本当に間違っているんだろうか」という問いを立ててみてください。
もしかしたら上司にしか見えていない景色があるかもしれません。
自分の視点でしか考えられないと、「うちの上司はバカなんだ」という話になりがちです。
そのため、「なぜこういうオーダーを上司は出してくるんだろう」「自分の上司はどういうプレッシャーを受けてるんだろう」と想像してみましょう。
上司の立場に立ってモノを見ると、納得できるかもしれません。
まとめ
会社や上司の方針が合わない際の対処法についてご紹介しました。
根本的な考え方の部分の不一致であれば、今後どうするかは別として、能力開発をしていつでもその会社から離れられる実力を高めておくことは非常に重要です。
一方で、個別の方針の話については、上司の立場に立って、「なぜこういうオーダーなんだろう」ということを考えてみると、実は納得できる可能性があります。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。