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将来のキャリアをどのように構築するか計画し、実行していくことを、「キャリアマネジメント」と言います。
本記事では、キャリアマネジメントを考える上で陥りがちな「落とし穴」についてご紹介します。
キャリアマネジメントにおける3ステップ
キャリアマネジメントには、3つの段階が存在します。
- ①目標設定
- ②能力獲得
- ③チャンス獲得
それぞれの段階における「落とし穴」を見ていきましょう。
目標設定における落とし穴
「もっと他に何かあるかもしれない」と考えない
様々な選択肢があることに気づいておらず、枠を狭めているパターンです。
例えば、もっとエキサイティングなことができるかもしれないのに、考えていないといったものです。
そこそこ仕事に満足していればわざわざ考える必要はない、と感じられるかもしれませんが、長い人生において「もっと他に何かあるかもしれない」と考えることは大切です。
とくに20~30代のうちから、あまりに現実的な線でキャリアを考え、可能性を狭めてしまうのはもったいないです。
やりたい仕事の具体的なイメージを持っていない
「自分がやりたいこと」と「世間一般で良いと言われていること」を混同してしまっているパターンです。
例えば今、就職人気ランキングでコンサルティングファームが上位にランクインしていますよね。
コンサルタントの仕事は、クライアントの課題解決のために、ひたすら情報を集めて分析したり、そこからどんな手を打つべきかを考えるものです。
分析や考え続けることが好きな方でないと、なかなかつらい仕事です。
なんとなくコンサルタントという職業に憧れ、具体的な仕事のイメージを持たないまま就職したら、自分が思っていた仕事と違っていたり、自分の性格と合っていなかったということが起こります。
世間の価値観を何も考えずに真に受けるのではなく、本当に自分がやりたいことなのか、しっかりと考えましょう。
能力獲得における落とし穴
いろいろな手段があることを知らない
やりたいことが決まっても、今の仕事では経験できない、チャンスがないと言ってあきらめてしまうパターンです。
今は働き方も多様化しています。
今の仕事で経験できないのであれば、「副業」や「プロボノ」など、社外でスキルと経験を積んでいく方法もあります。
「未経験ではムリ」や「自分にはそんな機会がないからダメだ」と思うのではなく、本気でやりたいのであれば機会を探し、作りましょう。
安定や世の中の評価に流されてしまう
やりたい仕事とはそれたスキルを高めてしまうパターンです。
若くて真面目な方が、とくに陥りやすいものです。
例えば、難関と言われる資格を頑張って取得し、実際その資格を使った仕事にいざ就いてみると、実はその仕事は自分に向いていなかった、興味を持てない仕事だったということがあります。
やりたい仕事よりも、能力にあった仕事ばかり来る、その資格に縛られた働き方になってしまいます。 本当に自分のしたいことなのかをよく考えましょう。
チャンス獲得の落とし穴
自分の売り込み方を知らない
やりたい仕事が明確で、その能力を持っていたとしても自分の売り込み方を知らないことで、チャンスを逃している人がよくいます。
自分の胸の中に秘めたままのため、なかなかその機会を与えてもらえない、という状況です。
日本人に多い特徴かもしれませんが、自らアピールすることが苦手な人が多い印象があります。
しかし、周囲にやりたいことを宣言してみたら、上司が未経験でも仕事をふってくれた、ということはよくあります。
「こんな仕事がしたいです」と伝えておくことは非常に大事です。
今の人間関係を重視しすぎる
「今のチームが好きだから」「この上司は裏切れないから」といった理由で、すごく良いチャンスが来ているのに踏み切れなかったというパターンもよくあります。
しかし、転職や異動により、その同僚や上司がいなくなることもあります。
心地の良い環境は永遠ではありません。
仲間はもちろん大切ですが、自分がやりたいことが明確であるならば、チャンスを逃さないことも大事です。
まとめ
自分には様々な仕事の可能性があり、人生の可能性がある、と広い視点を持つことが、キャリアマネジメントのスタートです。
今回ご紹介した「落とし穴」に気を付けて、戦略的にキャリアを築いていってください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。