目次
前回は、リーダーに必要なスキルとして「目標設定力」について、ご紹介しました。
今回は、設定した目標を実際に達成し、成果を出していくために必須な3つの力「プランニング力」「段取り力」「仕組化」についてご紹介します。
プランニング力
まずは、目標を俯瞰し、物事を円滑に運ぶための「全体の地図」の作成から始めていきます。
物事の全体感を掴まないと、何から始めればよいのか、何をやればよいのかわからないからです。
そのためには経験が大切となりますが、経験がない状況であれば、似たようなことをやった経験を持つ人に話を聞きに行くのも1つの手です。
例えば、大きなイベントのリーダーになった際に、昨年そのイベントのリーダーを務めた人に話を聞く、といった感じです。
その時には、まずは「森を見る」という観点から、全体を捉えに行くスタンスが重要です。
なぜならば、細かいところや小さいところから入って行くと、切りがないからです。
大きいところから入っていけば、非常に小さいところを詰め切ることはできなかったとしても、全体をまとめることは可能です。
段取り力
プランや実行計画ができたら、次は、段取り力が必要となります。
ここでは、先ほどとは逆に「どこまで細部に神を宿らせることができるか」がポイントです。
全体を俯瞰した上で、ボールペン一本にいたるまできちんと設置されているかどうか確認するのです。
段取り力が高い人は、「何が起き得るだろう」「もしかしたらこういうことが起きるかもしれない」いろいろと想像を巡らせることができます。
最悪のパターンまで想像する
例えば、有名人を呼んだトークイベントを開催するとします。
段取り力が高い人は、「もし新幹線や飛行機が遅れたら」「有名人がインフルエンザにかかったら」など、ありとあらゆる状況をまず想像します。
そして、どのパターンが一番のリスクかを考えます。
この場合は、有名人が来ないという状況が一番まずいでしょう。
そこで、有名人が来ないということが起きた場合の対応にまで気を回して、段取りを組みます。
もし本当に来なかった時、それを事前に想定していた場合としていなかった場合で、対応に大きな違いが出ます。
ちなみに、さらに最悪なケースは、有名人が現れない上に、有名人の電話番号もその秘書の電話番号も知らない場合です。
連絡の取りようすらありません。
電車が遅れて数分後に到着できるということであれば、司会の人がなんとかごまかすことができます。
他にも、30分後に到着する場合、今日は来られなくなった場合など、いろいろなケースが想定され、ケースによって対応も変わります。
それらを事前に想定して手を打っておく段取り力が、ここでは必須となります。
仕組み化力
プランニングし、段取りをした後には、最後に仕組み化することが重要です。
イベントであれば、スピーカーこそ変わるでしょうが、基本的なフォーマットは大きくは変わらないかもしれません。
毎回ゼロから考えるのではなく、共通で使えるところはマニュアルにし、仕組化することが、効率の良い、個人への依存性が低いチームを作るうえで大切です。
自分たちが貯めたノウハウを横展開できる状況に持っていくことが、リーダーの腕の見せ所となります。
まとめ
プランニング力、段取り力、仕組み化についてご紹介しました。
まずは全体感を持つことから始め、細部に神を宿らせることに努め、そこで得たノウハウを仕組み化する。
これらをイメージしながら、リーダーとして仕事に取り組んでみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。