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目標設定の3つのポイント。成果を出すリーダーが実践する目標の立て方とは

目標設定の3つのポイント。成果を出すリーダーが実践する目標の立て方とは

目次

目標設定は、チームリーダーなど、部下やメンバーを抱えている人にとって、重要な仕事の1つです。
本記事では、適切な目標を設定するためのコツをご紹介します。

目標設定が重要な理由

理由①:時間とコストを有効に使いながら、成果を出すことができる

部下やメンバーは皆、リーダーによって設定された目標に向かって動きます。
もしその目標が間違っていた場合、誤った目標に向かって、一生懸命業務を遂行することになってしまいます
ビジネスにおいて、時間とコストは有限です。
「かけた労力が水の泡」とならないように、最初に適切な目標設定をすることが大事です。

理由②:モチベーションを維持できる

目標設定が不適切だと、「やらされ感」が増す恐れがあります。
この場合、目標そのものが足かせになってしまい、全体のパフォーマンスを落とす原因になりかねません。

適切な目標を設定することのメリット

メリット①:個人と組織にとって、大きな力の源泉になる

適切な目標だと、個々のモチベーション向上や維持につながります。
その結果、組織として大きな力となります。

メリット②:とるべきアクションが明確になる

目指すべきゴールが分かると、現状とのギャップを埋めるためのアクション(解決策)を具体的にイメージしやすくなります。

メリット③:進捗状況を把握できる

ゴールが明確だと、進捗も可視化できるようになります。
前進している感覚を得ることはモチベーションの維持につながりますし、予定よりも進捗が遅れていることが分かれば、遅れをリカバリーするためにアクションプランを立て直すことができます。

適切な目標設定のコツ

目標設定は、3つの要素に分解できます。

  • What:何を目標にすべきか
  • When:いつの達成を目指すべきか
  • Why:なぜその目標にすべきか

この、What、When、Whyをそれぞれ踏まえながら、整合をとる形で仕上げていくことが大切です。

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ここからは、それぞれのポイントについてみていきます。

What:『何を目標にすべきか』

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ポイント①:目標の種類を押さえる

まずは、自分たちが設定する目標の種類を押さえることから始めましょう。
目標は、大きく2つに分類されます。

【1.発生型目標】

もうすでに課題が発生してしまっており、その課題をなくすことそのものが目標になっているケースです。
「ここまでできているのが通常である」という基準値に到達していない場合に、「基準値」自体を目標として設定します。
例えば、「赤字が続いている」「不良品率が高い商品ラインがある」などです。

【2.設定型目標】

設定型目標には、大きく2パターンあります。
・明確な基準値がない目標
・基準値は超えているが、自ら意志を持って設定するストレッチ目標

例えば、「会社としての期待値は、すべての工程を年内に仕上げることだが、今の状況を踏まえて10月中には仕上げてしまおう」というように、自ら意図をもって目標を繰り上げて設定していくケースです。

<2種類の目標の違い>

この2つは、「目標に対する合意の難しさ」が全く異なります。
「発生型」は、「ここまでできているのが通常」という基準値を目標にするので、合意はほぼ不要です。
起きてしまったトラブルを解消するようなものなので、目標の設定も容易です。

一方の「設定型」は、自らあるべき姿を実現するというものなので、こちらは明確な基準値がありません。
なので、例えば設定した目標について「なぜ5%ではなくて10%なのか」「なぜ売上でなくて利益なのか?」といったことを、しっかりと言語化し、組織内で認識合わせしていく必要があります。

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しかし、「設定型」は設定や合意形成の難しさがありますが、組織を大きくストレッチさせる効用があります
リーダーは、意図をきちんと持って目標を設定し、そして周囲との合意を取りながら進めていくことが重要です。

ポイント②:120%レベルの目標を目指す

目標設定においては、「どのレベルの目標を定めるか」も大事です。
いきなり高すぎる目標を設定すると、現場が疲弊してうまくいかなかったり、逆に低い目標だと、やりがいがなくなってしまいます。
一般的に目標は、「過度に優しすぎず、過度に難しすぎず、届くか届かないか、というレベルがちょうどいい」と言われています。
現在の能力を100%とするならば、120%の力で到達できるレベルを目指しましょう。
そして、適切な目標を設定するためには、日ごろから自分自身やチームメンバーをよく観察し、実力を把握しておくことが重要です。

ポイント③:環境変化には柔軟に対応する

目標は、将来における公約です。
当然、目標達成までの途中で、当初予想しなかった出来事が起こる可能性もあります。
目標設定時には、「自分たちを取り巻く環境はどのように変化するだろうか」という想定も織り込みつつ設定する必要があります。

そして、実際に環境変化が起こった場合には、「環境変化への対応を優先」し、冷静に環境分析して、当初の目標に固執しすぎず、柔軟に対応していきましょう。
変化をキャッチするためには、絶えずアンテナを外に向けて、感度を高めておくことが大切です。

When:『いつの達成を目指すべきか』

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達成期限の設定も、とても重要です。
目標設定に関する誤解やミスコミュニケーションの原因を紐解くと、期限が曖昧であることが原因である場合が多々あります。
期限を明確にし、チームメンバー間の認識をそろえましょう。

ポイント:時間軸は短く、細かく刻む

2~3年の中長期目標を設定するならば、それをブレイクダウンして、少なくとも四半期単位での目標設定が必要です。
目標達成までの期間が小刻みだと、ゴールに近づく様子がモチベーションにつながりますし、日々の進捗に「前進している実感」を持つことができます。
また、目標に対して未達成の時も出てくるので、機敏に計画を修正していくこともできます。

Why:『なぜその目標にすべきか』

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目標設定というのは、運用次第によってはノルマのような位置づけになり、「やらされ感」が強くなってしまいます。
そうすると、パフォーマンスも落ちていきます。
なので、目標設定の理由や背景、重要性を整理し、メンバー間でしっかりと認識合わせをしておくことが大切です。

ポイント①:レンガを積んだ先の世界を見据える

イソップ童話で「三人のレンガ職人」という話があります。
旅人が旅の途中で、三人のレンガ積みに励んでいる職人に出会い、それぞれに「何をしているのか?」と訪ねていきます。

職人たちの答えはバラバラで、

  • 1人目:辛そうに「レンガを積んでいる」
  • 2人目:必死な様子で「壁を作っている」

  • 3人目:イキイキと「歴史に残る偉大な大聖堂を作っている」

と、3通りの答えが返ってきました。

この中で、最もモチベーション高く、そして、一番良い仕事をする(=良いレンガの壁を作る)のは、どの職人でしょうか。
明らかに3人目の職人ですよね。
作業の先にある目的が見えているので、積極的に仕事に貢献しようとする姿勢が感じ取れます。

ポイント②:環境変化を読み解き、目標にいたるストーリーを作る

ビジネスの世界においては、「大聖堂⇒レンガの壁⇒レンガを積む」というような分かりやすいシナリオばかりがあるわけではありません。
また、そのシナリオを指示してくれるリーダーがいればよいのですが、そのようなリーダーがいるとは限りません。
断片的に目標が降ってきて、意味も分からず追い立てられるというような「やらされ感」に陥ってしまう場面もあるでしょう。

そういう時に求められるのが「自分で目標の背景を描く」力です。 
例えば、3Cのようなビジネス全体の構造を把握するフレームワークを活用しながら、目に見えにくい構造変化を読み解き、そしてそれが目の前に提示された目標とつながれば、その目標はモチベーションの大きな源泉となるでしょう。
具体的には、市場や顧客、競合の変化を読み解きながら、組織が立てている目標の背景(「なぜ大聖堂を立てなくてはならないのか?」)を理解します。
そのうえで、組織内での役割を踏まえた個人としての目標(「なぜ自分はレンガの壁を積む必要があるのか」)をつないでいきましょう。

まとめ

リーダーの仕事として、目標設定は非常に大切です。
何をやるのか、どうしてそれをやるのか、いつまでにやるのか。
これら3点を常にセットとして考えましょう。
また部下に対して目標を設定する際には、日ごろから部下を観察し、現在の能力を把握しておくことが不可欠となります。

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著者情報

田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)

田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)

慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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