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本記事では、若手リーダーがビジネスの実行力を高めるために必要な「組織の文化・クセを理解する力」についてご紹介します。
組織文化とは
組織文化の話は抽象度が高いので、ここでは、「組織のメンバーがお互いに共有している考え方・価値観、そこから現れる行動様式や規範などの集合体」と定義します。
つまり、無意識に当たり前のように持っている考えや価値観であり、自然に行動していることや、こうあるべきと皆が理解しているルールのことです。
文化を理解すると実行力が高まる
組織の文化やクセは、組織に染みついているものであり、良くも悪くも文化を見極め、理解する必要があります。
例えば、そうしたことを理解しないまま、期待のホープとして配属されたからと言って、新しい部署で初日からいろいろと働きかけてみても、皆から白い目で見られて終わるということもあるかもしれません。
思わぬ抵抗にあうこともあります。
リーダーは、自分が任されたチームを含む課や部、自分の会社が、どのような文化の中で動いているかを知ることが大切です。
知らないことには、変えようもありませんし、物事も動いていきませんよね。
社内のメンバーで事を進める以上、その人たちの行動特性をきちんと理解することは、実行力を高める上でとても重要です。
文化をつくっているのは誰か
居酒屋などで、若手のリーダーらしき人から、上司や組織の文化について不満を話しているのが漏れ聞こえて来ることがあります。
しかし、仮に彼が5年間その会社にいるとすれば、彼は既にその文化の一端を担っているわけです。
文句を言いつつも、咎めない方が楽だからずるずるとその文化の中にいるのです。
本当に良くないと思うのならば、既に戦っているでしょう。
戦っていないということはその文化を認めていることに等しいわけですから、十分に文化の担い手の一人となっているのです。
組織文化は行動になり、顧客に伝わる
良い文化を持っている会社として、よく星野リゾートがメディアに取り上げられています。
全国でいろいろなホテルを経営している会社で、私も何ヵ所か訪れたことがあります。
このスタッフも皆ニコニコしていて、「私はサービスが大好きです」という雰囲気が醸し出されています。
これは明らかに、星野リゾートという会社の文化なのだと思います。
また、名古屋に所在する業績がいい中小の製造業の会社へ行くと、普通だと掃除しないだろうというところまできれいにされていることがあります。
「掃除もできないやつに良い商品を作ることなどできない」といった、ポリシーや文化を感じます。
まとめ
今回は、組織の文化・クセを理解する力について話しました。
組織を作っているのが人間である以上、良い部分も悪い部分も文化やクセとして根付き、蔓延します。
そうしたことにきちんと向き合い、理解することで、組織で物事をよりスピーディーかつ効果的に進めていけるのです。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。