目次
「あしたは仕事かぁ・・・」
楽しかった休日が終わりに差し掛かるころ、静かに心に浮かぶ憂鬱。
人呼んで、「サザエさん症候群」です。
週の始まりを憂う傾向は、若い社会人ほど強いとも言われています。
元気に1週間を乗り切るためにも、傾向と対策を考えてみましょう。
サザエさん症候群とは?
憂鬱な曜日は「月曜」がダントツ
趣味や恋人とのリラックスした時間も、残りわずか。
テレビから聞こえてくるのは、朗らかなサザエさんの笑い声。
愉快な一家の姿が、なぜこんなにも切なく感じられるのか。
日曜の午後6時半は、大人たちを現実に引き戻す時間なのかもしれません。
この明日から始まる仕事を思って、日曜の夕方から憂鬱な気分になることを、「サザエさん症候群」と言います。
江崎グリコが2018年に発表した20~50代の働く男女と専業主婦400人ずつ(計1200人)を対象にした「憂鬱な曜日調査」では、月曜日が、ほかの曜日を大きく引き離して最も憂鬱な曜日になったという結果が出ています。
月曜日を憂鬱と答えた人の割合は、働く男性の77%、働く女性の86%、専業主婦の62%。
他の曜日はいずれも高くて30%程度なので、月曜日の嫌われ方は圧倒的です。
対照的に、土曜日を憂鬱と答えたのは、働く男性2%、働く女性4%、専業主婦21%。
土曜日は、社会人にモテモテです。
専業主婦がそこそこ高いのは、土日も休みじゃないということでしょうか。
そこを差し引いても、月曜日の憂鬱度の高さは際立っています。
20代の社会人は9割に症状がみられる?
興味深いのは、月曜日を憂鬱と答えた人を年代別でみていくと、20代の働く男性が88%、20代の働く女性が90%と、20代の社会人がとりわけ高くなっている点です。
20代の専業主婦は64%にとどまっています。
他の年代と比較しても、30代の働く男性は70%、30代の働く女性は85%。
20代の社会人が、月曜日の会社をいかに忌まわしく感じているかを物語っています。
Yahoo!のネット検索ワードでも、「つらい時の乗り越え方」「幸せとは」といった単語が、サザエさんの放送と重なる日曜日の午後6時以降に増えるそうです。
若い世代の方がインターネットに慣れていることを踏まえると、サザエさん症候群は特に20代に多いと推測できます。
ちなみに、サザエさんの時間帯は、1969年の放送開始時から変わっていないそうです。
半世紀もの歴史があれば、日曜日の夜の代名詞になるのも納得ですね。
海外にも「BLUE MONDAY(憂鬱な月曜日)」という言葉がありますが、日本人には「サザエさん症候群」の方がしっくりくると思います。
サザエさん症候群にみられる特徴
サザエさん症候群は、ごく軽度の鬱病と言われることもありますが、日常生活に支障をきたすような症状が出るわけではありません。
- 不安を感じる
- 憂鬱な気分になる
- 眠れない
といった心理的に不安定な場合が多いです。
- 食欲がない
- 頭痛がする
- 胃が痛い
- 吐き気がする
- 身体がだるい
- 熱が出る
- 涙が出る
といった体に症状が出る場合もあります。
私もかつて仕事で大きなミスをして、日曜の夜に心臓付近にチクッと痛みを感じたことがありました。
月曜の朝、電車で出勤していると、会社に近づくにつれて痛みが強まっていくのです。
症状は1週間ほどで収まりましたが、今思うと、あれもサザエさん症候群だったのでしょう。
ただ、時間がたっても、症状が繰り返される場合や、症状が深刻な場合は、ほかの要因も考えられるので、医師の診察をおすすめします。
サザエさん症候群になる代表的な原因
サザエさん症候群の原因は、ズバリ、仕事のストレスです。
心理面、身体面で「仕事に行きたくない」と感じる何らかの理由があるはずです。
体力的にきつい
まず考えられるのは、長時間労働などで体が疲れている場合。
最近は、国が働き方改革を呼びかけていますが、繁忙期などで休めない場合もあるでしょう。
特に、ハードな仕事がいつまで続くか分からない場合は、精神的にも追い込まれやすいので注意が必要です。
業務で壁に直面
慣れない作業や難しい仕事に向き合っている時も、ストレスをためがちです。
若い人が仕事に憂鬱を感じるのも、経験が浅く、プレッシャーを感じやすいからでしょう。
私が過去に体験したミスの時も、ここに当てはまりそうです。
上司や部下との人間関係
人間関係のこじれも、発症につながる可能性があります。一度こじれると、なかなか解消できない場合もあるので厄介です。
加えて、家庭や知人との関係や中長期的な将来への不安など、複数の原因があることも珍しくありません。ストレスのきっかけは無数にあり、複数の要因が絡むことも考えられます。
サザエさん症候群になりやすい人の特徴
ストレスなく仕事をこなすのは理想ですが、実際には、ストレスはつきものです。
特にサザエさん症候群になりやすい人の特徴は、
- 仕事の悩みを考えてしまう
- 仕事に不安を抱えている
- 責任感が強すぎる
- 仕事にやりがいが持てない
- 職場に相談できる仲間がいない
- 愚痴を言わない
などでしょうか。
一言で括ってしまうと、素直で真面目な人と言えそうです。
サザエさん症候群は、義務感という重い荷物を背負おうとして生じる内面との落差の表れとも言えます。
そういう意味では、真摯に仕事に取り組んでいる証なのです。
サザエさん症候群の対処法
サザエさん症候群を発症した時、気持ちを前向きに保つことが大事です。
仕事のこと、あしたのことを考えると気持ちが沈んでしまいますので、別のことを考えて気分を紛らわせましょう。
前述の江崎グリコの調査では、憂鬱な日を乗り切る対策として、
- 好きな物を食べる
- 甘いものを食べる
- 好きな映画やテレビ番組を見る
- 好きな音楽を聴く
- ショッピングをする
が上位に挙がっています。
自分の好きなことに時間を使うことで、気分を紛らわすのに効果があることがうかがえます。
こういう時に、趣味があると強いですよね。
その他にも、
- 友人や家族と会う・連絡を取る
- いつもより長めに風呂に入る
という回答もありました。
- ジョギングや筋トレで体を動かす
も効果があると思います。
「お酒を飲む」という人も一定数いると思います。
しかし、これについては、「効果がない」と答えた人が、「効果がある」と答えた人を上回っています。
特に男性に多いですが、ストレス解消にお酒は要注意です。
サザエさん症候群を防ぐ日曜日の過ごし方
避けたいのは、休日をダラダラと過ごし、何もしないまま夕方を迎える悪循環です。
オンとオフを切り替えるためにも、張りのある休日を過ごしましょう。
昼まで寝ない
休日は昼まで寝る、というのは、独身の人が陥りやすいパターンですが、なるべく平日と同じ時間に起きましょう。
昼間は外出を
ネットフリックスなどでドラマなどの動画にハマってしまうと、家から一歩も出ないまま一日が終わってしまいます。
何も予定がない日でも、散歩など外出をして気分転換をしましょう。
まとめ
私自身、20代の時、サザエさん症候群に陥ったことが何度もあります。
アパートで一人、ドヨ~ンと淀んだ空気を吸わされている気分でした。
江崎グリコの「憂鬱な曜日調査」を見る限り、それは、同世代に共通する現象だったのかもしれません。
サザエさん症候群は、決して異常ではなく、むしろ、真摯に仕事に取り組んでいる証だと思います。
でも、本当に辛い時は、無理せず、ほどほどに。
健康第一です。
著者情報
川崎 弘
横浜国立大学経済学部卒。西日本新聞社(福岡市)入社。事件、経済、街ダネを中心に13年の記者生活を経て、妻の実家の醤油屋「合名会社まるはら」(大分県日田市)入社。2020年、グロービス経営大学院修士課程修了(MBA)。「批判より行動を」「報道より行動を」を合言葉に、人口が減る中で地方の雇用の場をどうやって守るかを日々考えています。佐賀市出身。カレーとラグビーが好き。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。