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参加者同士で自分の気に入った本を持ち寄り、その本の魅力を紹介するゲーム「ビブリオバトル」。
本記事では、社会人向けビジネススクール・グロービス経営大学院の公認クラブ「グロービスMBAマンガ研究会」で行われた「マンガビブリオバトル」の様子を10回にわたってお届けします。
身近なマンガという題材から、グロービスの学生はどんな学びを得ているのでしょうか?
明日からの仕事への活力となるような名作マンガに、出会えるかもしれません。
プレゼンターのプロフィール
「グロービス生のお手本みたいな人」が、主役の漫画
今回私が紹介する漫画は、「天地明察」という作品です。
岡田准一さん主演で映画化されたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
これは、日本で初めて純国産の暦を作った渋川春海という人の物語です。
なぜこの作品をおすすめするのかというと、渋川春海が「グロービスで学んで、社会を変えた、グロービス生のお手本みたいな人」だと感じたからなんです。
世が世なら、グロービス生として紹介されても不思議ではないと思います。
なぜ、グロービス生のお手本みたいな人だと思うのか、その理由を説明します。
(「漫画あったの知らなかった」「小説好き」と作品を知っている人もちらほら)
暦作りは、ファクトとロジックのかたまり?
グロービスが受講生に提供している価値とは、何でしょうか?
それは、『能力開発』『志』『人的ネットワーク』(※)です。
渋川春海は、この3つを見事に獲得し、活用して社会を変えたわけなんですね。
※グロービスでは、「理論と実践を融合した能力開発の場」「生涯にわたる人的ネットワーク構築の場」「自らの志と生き方(キャリア)を見つける場」を提供している。
まず『能力開発』ということで、暦を作るのにどんな能力が必要かというと...
太陽や月、星の動きをつぶさに観察して、大量のデータを集めて、それをもとに複雑な計算をしていく。
要するに、みんなが大好きな「ファクトとロジックのかたまり」なんです。
これをやろうと思うと、とんでもない量の勉強が必要で...
時間の都合で詳しくは省略しますが......頑張って勉強しました、渋川春海。
そしてこの能力開発よりも、ここから説明する志と人的ネットワークが大切なんです。
(斬新な省略に「頑張ったとこ省略w」「3分クッキング的な省略の仕方」とコメントも)
現実と理想の間で、自分と向き合う
次に、『志』についてです。
春海はもともと碁打ちの家に生まれ、子どもの頃は囲碁ばかりやっていました。
一方で、当時は算術と呼ばれていた数学に強い興味を持っていたんですね。
独学で算術を学び、アマチュアとしてはかなり高いレベルまで達していました。
家業である囲碁をやらないといけない、でも自分は算術をやりたい。
そんな「やらないといけない」「やりたくない」っていう、非常にふわふわとした「志が迷子」の状態だったんです。
しかし、物語を経ていく中で、「日本初の暦を作るぞ」という確固たる志を確立して、実際にそれを成し遂げました。
どうやってその志を成し遂げることができたのか?というのが、「天地明察」の中にはしっかりと描かれています。
まさに、志の物語ですね。
(「志が迷子」に対して、「わかる」という声がたくさん)
天文学者や囲碁仲間、あの水戸黄門も協力者に
最後に、『人的ネットワーク』です。
志を固めていく過程で、たくさんの人と出会って、たくさんの人から影響を受けました。
その中には、運命を変えるような出会いや、背中を押してもらう出会いもたくさんありました。
ちょっと有名なところでいくと、水戸黄門こと徳川光圀も出てきます。
彼も渋川春海のパトロンとして、非常に強力に後押しをしてくれたひとりです。
ほかにも、天文学者や囲碁仲間など、いろいろな人たちの力を借りて、正確な暦を作ります。
そして正しい暦がやっと完成するのですが、なんと採用してもらえないんです。
みなさんもそういった経験、少なからずあると思います...。
実は、暦にはとんでもない利権が絡んでいるんです。
暦を作ったら当然、それを印刷して、たくさん売って大儲けできると思います。
なので「新しい暦を作りました」って言うと、利権団体が全力で潰しにかかってくるんですね。
そういった抵抗勢力と戦って、正しい暦を作っていく。
要するに渋川春海という人物は、「新しい暦を創造し、それをつかって世の中を変革した」という意味で、江戸時代に存在した「創造と変革の志士」の大先輩なんです。
(抵抗勢力の様子を、身振りでも表現してくれる友斉さん)
主人公の人間的な成長も楽しみの1つ
この渋川春海の物語をぜひ読んでいただき、「自分もこういうことができるんじゃないか」「こういうことがしたいんじゃないか」「もしかしたらやるんじゃないか」っていうことを感じていただけたら良いんじゃないかなと思います。
もうひとつ面白いのが、1巻から最終巻で25~26年くらいの時間が経過しているんですね。
はじめは20代前半だった渋川春海も、当然ながら物語終盤では40代後半から50代になっています。
最初はなよなよとして周囲の大人たちに支えられていたような人物が、堂々たる風格を身につけて「この人なら絶対大丈夫」と若い人たちを勇気づける。
そういった主人公の人間的な成長も味わっていただければと思います。
そして1話は無料で読めることが判明しましたので、まずは1話、そして続きもぜひ読んでみてください。
著者情報
池田 桃香(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)
愛知県立大学外国語学部卒業。大手人材会社に入社し、コピーライターとして求人広告の制作を担当。多くの企業の採用支援に関わる中で、社会人教育に興味を持つようになり、株式会社グロービスに入社。現在はグロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、コンテンツや広告の制作などに従事している。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。