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参加者同士で自分の気に入った本を持ち寄り、その本の魅力を紹介するゲーム「ビブリオバトル」。
本記事では、社会人向けビジネススクール・グロービス経営大学院の公認クラブ「グロービスMBAマンガ研究会」で行われた「マンガビブリオバトル」の様子を10回にわたってお届けします。
身近なマンガという題材から、グロービスの学生はどんな学びを得ているのでしょうか?
明日からの仕事への活力となるような名作マンガに、出会えるかもしれません。
プレゼンターのプロフィール
毎巻必ず泣きます!男性にもおすすめの少女漫画
今回ご紹介したいのは、Zoom背景にも設定している『クイーンズ・クオリティ』という少女漫画です。
この漫画は、前提として『QQスイーパー』という漫画が3巻ほどあって、その続編にあたります。
個人的には、小説では『十二国記』がバイブルなんですけど、漫画のバイブルはこの『クイーンズ・クオリティ』と『QQスイーパー』です。
まだ連載中で、これまで通算17巻出ており、毎巻必ず泣いてしまいます。
好きすぎて、もうコミックが出るのが待ちきれなくなって、気づいたら月刊雑誌までこの漫画を読みたいがために買うようになってしまいました。
ジャンルとしては少女漫画で、どちらかといえば私は少年漫画の方が全然好きなんですが、この作品に関して言えば、男性でも気にせずに読める漫画かなと思っています。
世の中に災厄をもたらしうる「女王の力」
あらすじは、幼少期の記憶がない天涯孤独の女の子・文ちゃんが主人公でして、掃除を生業とする家に住み込み家政婦として採用される、というところから物語が始まります。
ちなみに、『QQスイーパー』のQというのは、もう一人の男の子の主人公のですね、玖太郎(きゅうたろう)君のQです。
そして、『クイーンズ・クオリティ』のクイーンは、文ちゃんの中に眠る「女王の力」というものがあり、そこに由来します。
物語のカギともなる「女王の力」は、人類の集合的無意識に干渉して言動を意のままにできる力です。
周りにいる敵をひれ伏せたりもできるのですが、非常に強い力のため、誤った使い方をすると世の中に災厄が降りかかってしまうんですよね。
(たしかによくよく考えると怖い力です...)
なので、ちゃんと自我を保った状態で、集合的無意識に干渉するための集中力や自分自身をコントロールする力が必要になってくるんです。
大筋としては、文ちゃんが「女王の力」を正しく使う力を養うために、掃除を精神修行の場として活用する、そういった話になります。
また、『クイーンズ・クオリティ』には、漫画好きの心をくすぐる設定もたくさん出てきます。
例えば、人々の精神世界を守るのも掃除屋の仕事の1つなのですが、主人公たちが所属する『玄武』をはじめ、『白虎』や『青龍』『朱雀』といった掃除屋が出てきます。
「こうありたい」理想の姿を心に描くことで強くなれる
この漫画のおすすめポイントはたくさんあるんですが、1つは「ゆっくりと自分の心と向き合うことの大切さ」に気づかせてくれるところです。
みなさんもこのようなことはありませんか?
日々、仕事やグロービスの課題に追われ、バタバタと慌ただしく過ごしていると、「やれ昇進だ」「やれ起業だ」と目的を達成することばかりに注目してしまって、丁寧に暮らしたり、自分の気持ちにきちんと向き合ったり、そういったことがないがしろになってしまうことがあるんじゃないかなと思います。
時代としても、私たちはスピーディに動くことが求められていますよね。
でもこの漫画では、あえて「自分の心に丁寧に向き合う」ということにフォーカスしています。
例えば、文ちゃんが占い師に「こいつは悪い心を持っている」と言われたり、学校の机にいじわるをされたりする場面があります。
文ちゃんはそういったときでも、常に「こうありたい」という自分の理想の姿を持っていて、「私はこんなことで心をやられたりはしない。やり返したりはしない」と強い心を持ち続け、負の感情に飲み込まれないようにしているんですよね。
グロービスの『リーダーシップ開発と倫理・価値観』講座でも、「こうありたい」という理想の姿を演じることの大切さを教わりますよね。
改めて、「自分が目指しているところはどこなのか」について考えさせてくれます。
(文ちゃんが辛いときに心に思い浮かべる「理想のお姫様」の姿)
最後に、「掃除を通じて精神修行をする」というのがすごくいいなと思っています。
主人公の一人である玖太郎君も、「たとえ嫌なことを忘れられなくても、掃除に没頭することで部屋はきれいになる」と言っていましたが、確かにそうだなと思わされます。
そして、丁寧な掃除を積み重ねること自体も自信につながっていきますよね。
この作品はお掃除推しなので、精神修行のために掃除を活用していますが、他のことでも何か自分の心を落ち着かせる手法などを持てると良いですよね。
日常においても、ヒントになることが多い漫画ですので、ぜひ読んでみてください。
著者情報
新宅 千尋(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)
神戸大学理学部生物学科卒業、京都大学大学院生命科学研究科修士課程修了。幼少期より「思考や感情の発生」に興味があり、独学で心理学や脳科学を学ぶ。一方、「内なるものの表現」にも関心があり、10年ほどアトリエ教室に通う。学士/修士課程では脳の再生の基礎研究に従事。新卒で大手総合通販会社に入社後、Webマーケティングチームに配属。心理学や行動学の知識とアトリエ教室で培った感性を融合させ、売上や購入率向上に貢献。その後、社内から「人の力」で会社を強くしていく人材教育領域に興味を持つようになり、次世代のビジネスリーダー育成と輩出を目指す、グロービスに転職。グロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、自身のキャリアに悩んだ経験から、グロービスキャリアノート制作・運営に携わる。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。