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参加者同士で自分の気に入った本を持ち寄り、その本の魅力を紹介するゲーム「ビブリオバトル」。
本記事では、社会人向けビジネススクール・グロービス経営大学院の公認クラブ「グロービスMBAマンガ研究会」で行われた「マンガビブリオバトル」の様子を10回にわたってお届けします。
身近なマンガという題材から、グロービスの学生はどんな学びを得ているのでしょうか?
明日からの仕事への活力となるような名作マンガに、出会えるかもしれません。
プレゼンターのプロフィール
史上初!?監督が主役のサッカー漫画
私が本日紹介するのは、『GIANT KILLING』という作品です。
週刊モーニングで2007年から連載している、サッカー漫画です。
今58巻(※)まで出ている状況で、NHKではアニメ化もされています。
通称ジャイキリですね。
※2021年8月27日時点
今日は「ここがすごいぞ!GIANT KILLING」と「なんでみなさんにおすすめしたいのか」の2つをお話させていただきたいと思います。
(チャットでは「ジャイキリキター!」「ジャイキリ沼へようこそ」というコメントも)
これはサッカー漫画なんですけども、ほかの作品となにが違うかというと......
1つ目は、「史上初、監督が主人公のサッカー漫画」というところです。
今まで選手が基本的に主人公だと思うのですが、監督視点ということで、選手視点ではあまり描かれないチーム運営などの話も出てきます。
2つ目の「すごいぞ!」はですね、「言葉の浸透度が高い」というところです。
毎年、年末に天皇杯(※)をやると、「ジャイアントキリングが起きました!」というのが普通にスポーツニュースで流れているんですね。
これって10年前ではなかった光景なんですよ。
この漫画が広まって、「ジャイアントキリング=下剋上、大番狂わせ」というのがサッカー界に浸透していったんです。
大学生がJ1(※)倒した、というときに「ジャイアントキリングが起きました!」なんて使われるようになりましたね。
※天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会...日本で行われるサッカーのカップ戦のひとつ。
※J1...J1リーグは、日本プロサッカーリーグにおける1部リーグのこと。
3つ目のなにがすごいかっていうのは、「1巻からダントツ面白い」というところです。
なんなら1話目からダントツ面白いです。
比較としてあげると、同じくらいの巻数が出ている『キングダム』は、人気が出たのは2~3巻出てからなんですね。
スポーツ漫画の金字塔と言われる『スラムダンク』は、3巻くらいまでギャグ要素が多いんですよね。
ただ『GIANT KILLING』に関しては、一貫してスタイルが変わらずに面白い、さらにそれが58巻まで続いています
(淡々と、しかし熱くジャイキリについて語る片瀬さん)
弱小チームを、再生する
主人公・達海猛(たつみ たけし)は、ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)というサッカーチームの元日本代表でした。
今で言うJ1の降格圏を彷徨うようなチームになってしまった古巣・ETU。
そこに監督として戻った達海が、チームを再生していくという物語です。
最初は、達海を探しに行くところから物語が始まります。
達海は、イングランド5部リーグのアマチュアクラブ「FCイーストハム」で監督をしており、FAカップ(日本でいう天皇杯)に出場。
アマチュア5部のチームでありながらもベスト32まで残って、次はいよいよプレミアリーグと当たる...というかなり激アツな展開からスタートします。
そこからETUに戻って監督をするんですけれども...
というところで、ここまでまだ1シーズンも戦っていませんが、とても面白いです。
キャラも非常に多彩です。
私が好きなのはダルファー監督という大阪ガンナーズというチームの監督で、園田くんという非常にヨイショをする通訳と、いつもイチャイチャしているのが面白いですね。
小心者がいたり、優等生がいたり、ナルシストがいたり......色んなキャラがいるんですけれども、みんなサッカーになるとカッコいいというギャップが魅力的というね。
組織とは?チームとは?を考えさせられる
なぜ『GIANT KILLING』をみなさんにおすすめしたいのかというと、「組織運営やチーム作りとは何か」を非常に考えさせられる漫画だなと思っているからです。
好きなエピソードが2つありまして、1つは割と序盤なんですけれども...
堀田というテクニックのあるベテラン選手がいたのですが、主人公的な若手選手に追いやられて、ベンチをあたためることが多くなっていたんですね。
監督である達海は最初、チームを変えるために若手を強化していました。
あるとき堀田が試合に出ることになるのですが、それまでやっぱり若手に力を入れていたこともあり、「自分の出番はないのかな」と思ってしまうんですね。
そんな堀田に「ベテランがいかに伸びるかが、チームが伸びることなんだぜ」ということを説く。
若手だけでなく、このようにベテランにも喝を入れながら、上手くチーム作りをしていくという監督の手腕が見られます。
もうひとつ好きなエピソードがありまして、石浜というサイドバックの選手が他チームから勧誘されます。
その時に達海はどうしたかというと、彼を呼んで「自分だったらこう使う」ということから、「向こうに行ったらこういう良さも出せる」といったことも全て説明するんですね。
その上で、「あなたはサッカー選手としてどう生きたいの?」といったことを問う。
自分がリーダーだったらどうするかな?ということを考えさせられるシーンですね。
こういった話が58巻まで続いていて、非常に面白いです。
今『マガジンポケット』で無料で読めますが、読みすぎないように注意してください。
(今なら無料で読めますが、夢中になりすぎないようご注意を...)
著者情報

池田 桃香(グロービス経営大学院 大阪校 スタッフ)
愛知県立大学外国語学部卒業。大手人材会社に入社し、コピーライターとして求人広告の制作を担当。多くの企業の採用支援に関わる中で、社会人教育に興味を持つようになり、株式会社グロービスに入社。現在はグロービス経営大学院のコンテンツメディア企画チームに所属し、コンテンツや広告の制作などに従事している。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。