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やらなくてはいけないと思いつつも、ついつい後回しにしてしまう...。
多くの方が仕事や勉強などでこのような経験をしているのではないでしょうか?
本記事では、物事を先延ばしにしてしまう原因と改善策をご紹介します。
物事を先延ばしにする人の特徴
タスクの先延ばしが常習化している人は、大きく3パターンに分類されます。
特徴①:楽観的すぎる
先延ばしすることによって将来の自分にどのような影響があるかなど、あまり先々のことについて深く考えていないパターンです。
特徴②:めんどくさがり
タスクの中には、精神的に負担を感じるものや集中力を要するものなど、ストレスを感じるものがあります。
そうした目の前のストレスから逃れたいために先延ばしをしてしまうというパターンです。
特徴③:完璧主義
こだわりが強く、1つ1つのステップに時間をかけてしまうため、なかなか本題に取り組めず、結果として先延ばしになっているパターンです。
先延ばしのデメリット
先延ばし癖のある人は、様々な場面で損をする傾向にあります。
アウトプットの質が悪くなる
実際にタスクに取り組んでみて初めて、想定していたよりも時間がかかるやっかいなタスクであることに気づいたという経験はありませんか?
先延ばしにし、期限ギリギリになって取り組むと、どうしても作業時間が減ってしまうため、生産性やアウトプットの質が悪くなる傾向にあります。
仕事の場合、成果物の質が低いとダイレクトに上司や周囲からの評価が下がる恐れがあります。
周囲からの信頼や成長の機会を失う
先延ばしにしていると、締め切りを守れないというケースも出てきます。
そうしたことを繰り返すと、周囲からの信頼を失いますし、人間関係のトラブルも引き起こしやすくなります。
さらに、「責任感のない人」とレッテルを貼られてしまい、良い仕事を任せてもらえなくなるなど、ビジネスパーソンとしての成長の機会を逃してしまう恐れもあります。
締め切り間近にかかる心理的負担が大きい
先延ばしをすると、当然やらなければならないタスクがたまっていきます。
そうなると、「タスクが山積みであること」と「タスクを処理できていないダメな自分」という2つのストレスがかかり、常に仕事に追われている感覚に陥ってしまいます。
また、別のことをやりながらも先延ばしにしているタスクのことが気になってしまうため、目の前のことに集中できなくなるというデメリットもあります。
先延ばし癖を改善する方法
日常でぜひ意識的に取り入れていただきたい、おすすめの方法を6つ紹介します。
方法①:失うものを意識する
先延ばし癖は、一朝一夕で解消できるものではありません。
まずは、「先延ばし癖を直していくぞ」と強い覚悟と意志を持つことが何よりも大事です。
そのためには、「ホラーストーリー」を想像してみることが有効です。
例えば、「この癖を直さなかったら周囲からダメな人と思われるかもしれない」「最終的に信用を失い見放されるかもしれない」といったことを想像してみてください。
こうした危機感を持つことで、これから紹介する先延ばし癖改善方法も継続して取り組みやすくなります。
方法②:タスクを細かく分解し、少しずつ取り組んでいく
やるべきタスクが大きくてあいまいなものだと、どこから手をつけてよいか分からず、「めんどくさい」という気持ちを誘発しやすくなります。
また、一つの仕事の単位で考えると時間的にも余裕があるように感じるので、先延ばししやすくなってしまいます。
そうならないためにも、タスクをどんどんと分解し、小さくて明白なタスクにしていくことをおすすめします。
例えば、プレゼン資料を作成する際には、「聞き手を分析する」「全体のストーリーを考える」「必要なデータを収集する」などに分解してみましょう。
それぞれの作業のハードルが下がるので、手を付けやすくなりますし、作業全体の何%達成したかも視覚化できるので、やる気も出てきます。
方法③:締め切りを2段階設定する
「締め切りまでまだ時間の余裕があるから」と先延ばししてしまう傾向のある人には、自分の中で早めの締め切りをもう1つ設定するという方法もおすすめです。
例えば、正式な締め切りに対して3日ほど早い締め切りをカレンダーに登録し、その日に向けて何がなんでも取り組むといったことを意識するようにしてみましょう。
方法④:機械的に始めてみる
あれこれと考える前に、とりあえず始めてみるという方法も有効です。
「やる気が起きたら取り掛かろう」と後回しにする人もいますが、面倒だと感じているタスクの場合、いつまでたってもやる気は起きません。
方法②のようにタスクを細かく分解したうえで、取り掛かりやすいものから始めてみましょう。
方法⑤:こだわりすぎない
「完璧を目指さない」ということも重要です。
まずはできるレベルから始めてみて、時間に余裕があるようだったら、途中からより良いアウトプットになるようにブラッシュアップしていくようにしてみましょう。
「とりあえず形にすることを目指す」という気軽な気持ちで進めてみてください。
方法⑥:集中できる環境を作る
締め切りが目の前に迫っているのに、ついつい他のことをやってしまう。
このような経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
例えば学生時代、テスト前に漫画を読んだり、ゲームをしたりなど。
こうした行為は「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれ、あらかじめ自分自身にハンディキャップを負わせ、上手くいかなかった際に外的要因のせいにして自尊心を保つ心理状態を指します。
このような傾向がある人は、自身がセルフ・ハンディキャッピングをしていることを自覚しながら、集中力が途切れるものを物理的に遠ざけるなど、作業に集中して取り組める環境を作ってみてください。
まとめ
物事を先延ばしすると、様々なデメリットがあることをご紹介しました。
損をするだけでなく、チャンスを逃す可能性も高くなります。
先延ばし癖は、できるだけ若いうちに改善しておいた方が良い癖です。
「絶対直すぞ」という強い意志を持ちながら、日々のタスクに取り組むようにしてみてください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。