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4月から始まった新年度。
新たに社会人になる人もいれば、先輩として後輩の育成を任される人もいて、期待と不安とが入り混ざる時期かもしれません。
「はたして自分は会社に求められる人材になれるだろうか?」
「4月から新人教育を任されたが、自分自身のスキルは足りているだろうか」
様々な想いを胸に始まる新年度は、自分を見つめなおすには良いタイミングです。
そこで今回は、自分自身のスキルを確かめる上で参考になる「社会人基礎力」についてご紹介します。
社会人基礎力とは
社会人基礎力とは、2006年に経済産業省により「多様な人々と仕事をしていくうえで必要な基礎的な力」として定義された概念です。
もともとは企業と学生の間で「身につけておいてほしい能力水準」に大きな意識の差があったことから、企業と学生の間の認識の違いを埋めるために定義されました。
しかし、近年は企業や社会と個人との関わりが長くなる「人生100年時代」の流れの中で社会人基礎力の重要性がますます増してきています。
そこで、経済産業省は2018年に個人のライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」として新たに定義しました。
これにより社会人基礎力は、社会人になる前の学生だけでなく、幅広い年齢層のビジネスパーソンにとって必要な能力であることが示されたのです。
社会人基礎力を構成する3つの能力と12の能力要素
では、社会人基礎力とは、具体的にどのような力のことを指すのでしょうか。
社会人基礎力を構成する3つの能力と12の能力要素についてご紹介します。
能力①:前に踏み出す力(アクション)
「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」と定義されている能力です。
例えば、学校の勉強では正解が1つと決まっているものが多くありますが、実社会で仕事をしていると、正解が1つに決まっているケースは極めて少ないものです。
そのため、正解が分からない中でも失敗を恐れずに前に踏み出す力が求められます。
仮に失敗しても、周りの人の協力を得ながら試行錯誤を繰り返し、粘り強く取り組むことが大切です。
そのために必要な能力要素が3つあります。
- 主体性:物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
- 実行力:目的を設定し確実に行動する力
能力②:考え抜く力(シンキング)
これは「疑問を持ち、考え抜く力」と定義されています。
課題を解決したり物事を改善したりするためには、常に問題意識を持ち課題を発見しなければなりません。
そして、課題をどうすれば解決できるのかという疑問を持ち、自律的に深く考える必要があります。
そのために必要な能力要素が3つあります。
- 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
- 創造力:新しい価値を生み出す力
- 計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
能力③:チームで働く力(チームワーク)
これは「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」と定義されています。
個人で大きな成果をあげようとしても、一人でできることには限界があります。
そこで、多様な人との協働が求められます。
多様な人と協働するためには、自分の意見をわかりやすく相手に伝えることはもちろん、相手の意見や立場を尊重し目標に向けて協力しあうことが必要です。
そのために磨いておきたい能力要素が6つあります。
- 発信力:自分の意見を分かりやすく伝える力
- 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性: 社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
社会人基礎力が求められる理由
人生100年時代においては、「環境やライフステージに応じて、常に学び続け、自らを振り返りながら、必要なスキルをアップデートしていく」ことが求められています。
常に新しい専門的な知識やスキルを獲得することが不可欠ということです。
一方で、環境が飛躍的・非連続的に変化している現代においては、新たに獲得した知識やスキルが陳腐化してしまうこともあります。
そのため、 「普遍的に求められるスキル」として社会人基礎力がとても重要な役割を果たします。
パソコンやスマートフォンに例えると、社会人基礎力は能力を最大限発揮するためのベースである「OS(オペレーティングシステム)」であると言えます。
仮に新たに獲得したスキルが使えなくなったとしても、社会人基礎力というOSを土台に新たな「アプリ(環境に応じたスキル)」をアップデートしていくことで、環境が大きく変化し続ける中でも活躍し続けることができます。
人生100年時代の社会人基礎力で大切な視点
2018年に経済産業省によって新たに定義された「人生100年時代の社会人基礎力」では、新たに3つの視点が加わりました。
『学ぶ』何を学ぶか
これまでは、「学ぶ⇒働く⇒引退する」という3段階の直線的なキャリアモデルが一般的でした。
しかし、人生100年時代においては、働きながら必要なスキルを積極的に学び、複数のキャリアを持つなど、複線的なキャリアが主流となっていきます。
このような時代の流れをイメージした時に、自分はいったい何を学ぶべきかを考え、常に学び続ける力をつけなければなりません。
自身のキャリアや学びを考えるためにも『考え抜く力』が重要になります。
『統合』どのように学ぶか
何を学ぶかを決めて学びはじめる時には、単に新たなインプットだけで終わらせるのではなく、これまでの体験や培ってきた能力・キャリアと組み合わせて学びを統合させる必要があります。
また、目的の実現に向けて多様な人たちの得意なものと組み合わせていくことも大切です。
『目的』どう活躍するか
これは「自己実現や社会貢献に向けて行動すること」とされています。
どう活躍するかをイメージし、目的を設定した上で「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を決めて行動を起こす必要があります。
行動を起こすためには、『前に踏み出す力』が重要です。
社会人基礎力のおすすめの鍛え方
まずは、社会人基礎力の3つの能力や12の能力要素をもとに、自分ができている点、足りない点を洗い出し、不足しているスキルを把握することから始めましょう。
自分ができていると思っていても、周りからの評価は異なる時もあるので、同僚や上司に客観的な意見をもらうこともおすすめです。
そして、自分に不足している能力が分かったら、高めるためのアクションをとっていきます。
ここでの重要なポイントは、単なる知識の習得ではなく「実践レベル」で鍛えることです。
ビジネススキルを実践レベルで習得するには、やはり書籍や動画学習などの独学などでは限界があります。
もし社内の能力開発環境が不十分であると感じたら、外部の機関で学ぶというのも1つの手です。
例えば、私が勤務しているグロービス経営大学院では、社会人基礎力に該当するスキルを学べる講座が豊富にあります。
その中からいくつかおすすめの講座をご紹介します。
おすすめ①:『クリティカルシンキング』講座
『考え抜く力』を身につけるために適した講座です。
変化の激しい現代では、指示されたことや決められたことをこなすだけでは不十分です。
これからは、「自分の頭で考えて課題を見つけ最適解を導く力」が強く求められています。
「クリティカルシンキング(批判的思考)」はまさに、前提を疑いながら課題の本質を捉えて解決に導くための思考法です。
あらゆる業務をこなすうえでベースとなるスキルなので、積極的に習得していくことをおすすめします。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『クリティカルシンキング』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
おすすめ②:『マーケティング・経営戦略基礎』講座
『前に踏み出す力』を身につけるために適した講座です。
主体性を持って仕事に取り組むためには、自社の存在意義や担当業務の役割をしっかりと理解する必要があります。
社会の中で自社はどういう役割を果たしているのか、会社の中で所属する部署はどのような位置づけなのか、他部署とはどのような関係性なのか、自分の業務はどのような役割を担っているのか。
そうしたことをおさえておくことで、自身のミッションが明確になり、当事者意識を持って仕事に取り組むことができるようになります。
『マーケティング・経営戦略基礎』講座では、会社全体の経営の仕組みや、自社のバリューチェーンがどうなってるのかなど、経営全般の知識を広く学んでいきます。
その結果、より高い視座(=経営者に近い視点)で仕事をみることができるようになり、主体性を持って行動することができるようになります。
(▼講座の詳細はこちら)
『マーケティング・経営戦略』講座
おすすめ③:『組織行動とリーダーシップ』講座
『チームで働く力』を身につけるために適した講座です。
現在、リーダーというポジションでない方でも、組織やチームの一員として協働し成果をあげていくためのマインドを育てるという点で、学びの多い講座です。
ビジネスを取り巻く外部環境が激しく変化する中で、リーダーとして影響力を発揮し、組織を動かすためにどのような行動をとるべきか。
『組織行動とリーダーシップ』講座では、メンバーの力を引き出し、リーダーとして組織で成果を出すための知識を体系的に学びます。
(▼講座の詳細はこちら)
『組織行動とリーダーシップ』講座
おすすめ④:『ファシリテーション&ネゴシエーション』講座
こちらは、『前に踏み出す力』と『チームで働く力』を身につけるために適した講座です。
いくら頭の中に良いアイデアがあっても、それを具体的なアクションプランに落とし込み、実行していかなければ意味がありません。
さらに、ビジネスでは1人で完結する業務は少なく、他者の力が必要な場面が多々あります。
この講座では、周囲に働きかけ、人々を巻き込み、協働していくために必要な考え方とスキルを学びます。
(▼講座の詳細はこちら)
『ファシリテーション&ネゴシエーション』講座
まとめ
社会人基礎力は、学生や新社会人だけでなく、人生100年時代を生きるすべてのビジネスパーソンに必要な普遍的な能力です。
ベーシックであるからこそ、特定の業界や職種などしか使えないスキルではなく、どんな環境にも適応できる汎用性の高い能力です。
新年度を迎えるにあたって、自分自身がどの程度社会人基礎力を備えているのかを今一度見直してみることをおすすめします。
そして、まだ足りていないと思うスキルがあれば、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「どう活躍するか」を考え、失敗を恐れずに前に踏み出していただけると嬉しく思います。
オンライン体験クラス&説明会日程
著者情報
高原 雄樹(グロービス経営大学院 福岡校 スタッフ)
北九州市立大学法学部卒業。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。楽天株式会社にてインターネットショッピングモール「楽天市場」の出店営業、ECコンサルティング、松山支社の立ち上げ、メンバーのマネジメント等を行う。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院福岡校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、チームの責任者として従事。キャリアコンサルタント(国家資格)で得た知識・技能をもとに日々学生のキャリアと向き合っている。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。