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柔軟な判断や対応が求められることが多いビジネスの場では、「視野の広さ」が大きな強みとなります。
本記事では、視野が広いと具体的にどのようなメリットがあるか、広げていくためにはどのようなことに取り組むべきかについてご紹介します。
「視野が広い」とは
視野という言葉は、元々は「目で見えている範囲」のことを指しますが、そこから意味が転じて、思考や知識の幅が広く多面的に物事をみることができる状態のことを「視野が広い」と言うようになりました。
視野を広く持つことは、様々な日常のシーンで役立つため非常に重要なことなのですが、1つ厄介なことは、視野が広がって初めて「以前の自分は視野が狭かった」と気づけるということです。
視野が狭い人は、そもそも自身の視野が狭いことへの自覚がなく、視野が広い状態がどのようなものか分かりません。
当然個人差はありますが、ある程度経験や知識の幅に比例するため、年齢が若いほど視野が狭い傾向にあります。
私自身も20代のころは、しょっちゅう上司から「もっと視野を広げなさい」と言われていました。
これは、「思考が浅いよ」という意味での指摘でもあり、なかなか手厳しいコメントですが、自身の思考の狭さを気づかせてくれる貴重なきっかけでした。
視野が広い人の特徴
では、視野が広い人には具体的にどのような特徴がみられるのでしょうか。
共通して3つの特徴がみられます。
好奇心旺盛で知識が豊富
様々なことに関心を持ち、情報収集にも熱心で、博識な人が多いです。
フットワークが軽い
新しいことに挑戦するハードルが低く、未経験の領域にも積極的に飛び込んでいきます。
1つの意見や考えに固執しない
世の中に自分とは異なる価値観や考え方がたくさんあることを知っているため、単一の考えに固執することなく、他者の意見にも耳を傾け、柔軟に受け入れる傾向にあります。
視野を広げることのメリット
視野が広いことは、ビジネスやプライベートなど多くの場面で役立ちます。
的確な状況判断ができる
偏見や思い込みが少ないため、物事や自分の置かれている状況をフラットに眺めながら、的確に状況判断をすることができます。
問題解決能力が高まる
他者のアドバイスを柔軟に取り入れたり、新しい考え方や視点で物事をみることができるため、より効果的かつ効率的な解決策を思いつきやすくなり、問題解決能力が高まります。
新しいアイデアを思いつきやすくなる
視野が狭いと単一な思考パターンになり、アウトプットが似通ったものになりますが、視野が広いと多面的に物事を捉えたり、複数の領域の知識を組み合わせることができるため、今までには発想しえなかった新しいアイデアを思いつきやすくなります。
逆に、視野が狭いとどうなる?
よくみられるデメリットを3つほどお伝えします。
臨機応変に対応できない
過去の成功パターンや自分の考えを「絶対正しい」と思いこんでしまうため、今まで直面したことがない複雑な問題が発生した時に臨機応変に対応することができません。
非効率な行動をしてしまう
自分の狭い視野の範囲で意思決定をしてしまうため、あとになって「しまった。もっと効率的な方法があった。」と気づくケースも少なくありません。
理解力が低くなる
知識の絶対量が多いと、自分が持っている知識の「引き出し」と合致しやすくなり理解力も高まっていきますが、視野が狭く引き出しの数が少ないと、どうしても理解が浅いものになってしまいます。
視野を広げていく方法
日常で取り入れやすい3つの方法をご紹介します。
様々な領域に関心を持ち、情報収集する
視野を広げるには、やはり知識や経験の幅が大きな要になります。
無理なく実践していくためには、まずは日常のに関するものに対して、興味や疑問を持ち、連鎖的に調べたり情報収集していく方法がおすすめです。
例えば、ネットニュースやテレビ、雑誌など、様々な媒体を通して情報が入ってくると思いますが、その中でよく分からないことが出てきたらそのままスルーせずに深ぼって調べてみるようにしてみてください。
また、未経験の領域に積極的に飛び込んだりチャレンジすることもおすすめです。
例えば、インドア派の人だったらアウトドアの活動に取り組んでみたり、アウトドア派の人だったらインドアの趣味に挑戦してみたりなどです。
「意外と面白い!」と感じたり、自身にとって目からウロコの新鮮な考え方にふれることも少なくありません。
普段の自分とは真逆の行動をとるほど、新しい視点が得られます。
多様な価値観や年代の人と会話する
視野を広げていくうえで、普段出会わなさそうな人や、自分とは異なる価値観や年代の人と積極的に話す方法もおすすめです。
例えば、仕事の場合は、業務上であまり関わりのない部署や別業界の人、プライベートの場合は、自分とは異なる趣味やライフスタイルを持っている人などです。
そうした人たちと意識的に会話の機会を設けていくことで、世の中には多様な価値観や考え方があることに気が付き、自分自身の世界や視野を広げていくことができます。
思考の癖に気づく
「思い込みや先入観」を捨て、単一の思考パターンに囚われないようにするためには、自身の「思考の癖」に気づくことが重要です。
思考の癖は、ある種の思考停止に近い状態を引き起こしてしまいます。
こうした癖を改善していくためには、「クリティカルシンキング(批判的思考)」という、意識的に自分の考えを批判的にみる思考法の習得が有効です。
クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観に捕らわれずに多角的に物事を見る力が養われていきます。
一方で、クリティカルシンキングは、書籍を読んだり、動画を観ただけでは、なかなか習得が難しい思考法でもあります。
グロービス経営大学院など、講座として提供しているビジネススクールもあるので、こうした外部の機関を活用するというのも1つの手です。
(▼講座の詳細はこちら)
『クリティカルシンキング』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
まとめ
個人差は当然ありますが、年齢が若いほど視野が狭い傾向にあります。
ただし、自分の視野が狭いことに気づくか否かで、大きな違いがあります。
日々の心がけや努力によって視野は広がっていきますので、ぜひ意識して取り組んでみてください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。