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仕事やプライベートなど、私たちは様々な人と接点を持ちながら過ごしていますよね。
そうした中で、人間関係によるストレスを抱えている人は、少なくありません。
精神的な疲弊を軽減するためのポイントは、いい意味で「鈍感」になることです。
また、ビジネスにおいては、「あえて鈍感なふり」をすることで、物事を進めていく方法もあります。
本記事では、鈍感力を発揮するためのコツを紹介します。
鈍感力とは
鈍感力とは、「ストレスになりそうな外部情報を自分の中で貯めこまず、上手く受け流す力」のことです。
気にしない力やスルー力とも言えるかもしれません。
一般的に「鈍感な人」というと、ネガティブなイメージを持つ人が多いと思います。
例えば、「気が利かない人」や「グズグズとして鈍い人」など。
鈍感力は、「鈍感な人になれ」というわけではありません。
あくまでスキルとして、発揮する場面としない場面を見極め、自身でコントロールしながら戦略的に使っていくものです。
鈍感力を発揮するためのコツ
人間、生きているといろんな嫌なことがありますよね。
ストレスや不安になりそうな情報にさらされた時に、どんどんと落ち込んでいく手前で、しっかりと止める。
「まあ、いっか。なかったことにしよう」と、気づかないふりをする。
それが「鈍感力」です。
自分自身を守る術といえます。
鈍感力を発揮するポイントは、「自身の状態理解」です。
例えば、誰かに心無い発言や叱咤された時などに、瞬時に自分の状態を把握し、「今これを受け止める余裕がないな。深みにはまりそうだな」と判断したら、すっと受け流す。
自分自身をだまして、あえて鈍感になり、「受け取らない」という選択肢を選ぶ。
この一連の流れが、鈍感力です。
鈍感力の注意点
注意点は、ストレスになりそうな情報をすべてスルーすればよいというわけでないことです。
あらゆる場面で鈍感力を発揮し続けると、自己成長できません。
メンタルタフネスを鍛えるうえでは、しっかりと向き合うことも大事です。
なので、鈍感力は、「ちょっと今は受け止める余裕がないな」という時に、戦略的に発揮していきましょう。
そして、「辛いけど、乗り越えたら自分の成長につながるだろうな」という情報は、いつか余裕のある時に思い出して、反省し次に活かす。
そうすることで、心の平穏と成長のバランスが取れていくのではないかと思います。
鈍感力を身につけるための方法
おすすめの方法を3つ紹介します。
方法①:メンタル状態を把握しておく
受け流すか否かの判断を適切に行うためには、「どんな時に自分はしんどくなる傾向にあるか」「今のメンタル状態はどうか」と、普段から自分自身を理解し把握しておくことが必要です。
方法②:発言の意味を深読みしない
例えば、「これは嫌味なのだろうか?」と思われる発言に対して、真意を考えすぎないようにしましょう。
考えるほど、モヤモヤは増していきます。
言葉そのものを受け止め、それ以上は考えずに流すようにしてみてください。
「そうは言っても、なかなかできないよ」という人は、何か気をそらすものに没頭し、自身に考える余裕をもたせないというのも、1つの手です。
方法③:適当に話を合わせる
「それは違うだろう」とカチンとするような言葉を言われても、反論し応戦してしまえば疲れますよね。
火に油を注ぎ、さらに相手がヒートアップする可能性もあります。
話はほどほどに聞いているふりをしつつ、適当に受け流しましょう。
ビジネスで「あえて鈍感なふり」をして前進させる方法
これまでは、自分自身をだまして鈍感になり、心の平穏を保つコツについてお伝えしてきました。
ここからは、ビジネスにおいて使われるもう1つの「鈍感力」を紹介します。
ビジネスは、様々な関係者と調整をしながら進めていきます。
中には、互いにスムーズに納得し合えないような、一筋縄ではいかない場面もあるでしょう。
ビジネスでの鈍感力は、主に、相手の感情面やメンツに関わる部分に踏み込んでしまって、相手が「ん?」となってしまった時に、あえてそれに気づかないふりをして、そのまま進めていくスキルです。
相手がイライラしてるなと思っても、あえて気づかないふりをする。
少し高度なコミュニケーションの技と言えるかもしれません。
ビジネスにおける鈍感力のポイント
気づいていないふりをするのは、自身の強い精神状態が必要です。
穏便に話を進めていくのが一番ですが、そうもいかない時には、こちらの3つのポイントを意識して鈍感力を発揮しましょう。
ポイント①:直属の上司には使わない
鈍感力は、一歩間違えると「単なる空気を読めない人」になります。
評価に直結してしまうので、直属の上司だけはしっかりと避けるようにしましょう。
ポイント②:明確にゴールを持つ
目の前の人が嫌なオーラを出したら、ちょっとひるんでしまいますよね。
そこで気づかないふりができるのは、明確にとりたいゴールがある時です。
ひるみそうになったら、自身のゴールや目的をしっかりと意識するようにしましょう。
ポイント③:信頼関係を築いておく
普段からよく観察し、相手のコミュニケーションスタイルを理解しておくことも重要です。
あらゆる人に鈍感力を発揮するのではなく、「この人なら、今回は気づかないふりをしても大丈夫だろう」としっかりと見極めたうえで、発揮するようにしましょう。
ポイント④:フォローする
鈍感力を発揮するというのは、そういった「スタンス」をとることにつながります。
嫌われてしまうこともあるので、後日フォローするなど、使い方には気をつけましょう。
まとめ
鈍感力は、ストレスから自分を守るため、そして、ビジネスを前進させるために使われるスキルです。
あらゆるシーンで発揮してもよいスキルではありませんので、しっかりと見極め、発揮するようにしてみてください。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。