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仕事や勉強に取り組んでいても、なかなか集中力が続かない......そんな経験はありませんか?集中力は成果を出すために不可欠な能力ですが、現代社会ではさまざまな要因が私たちの集中を妨げています。
本記事では、集中力の本質を理解した上で、集中を阻害する8つの原因と、それを克服して集中力を維持するための具体的なコツをご紹介します。
集中力とは
集中力とは、「特定のものに対して、意識をフォーカスし続ける力」のことです。みなさんも思い当たる節があると思いますが、好きなことをやっている時は、とくに集中力は意識していないですよね。
「自分は集中力がないな...」と悩む時の多くは、「やらなければならないこと」をやっている時です。 つまり、集中力は「自分が心からやりたいと思っていないことでも、意識をフォーカスし続け、作業できる力」ともいえます。
人間が集中できる時間はどのくらい?
そもそも、人はどのくらいの時間集中できるものなのでしょうか?最新の研究では、集中力を高めるトレーニングをしている人でおおよそ120分、トレーニングをしていない一般の人であれば長くて30分という結果が出ています。
さらに、作業を始めて最初のうちはだんだんと集中力が高まりますが、ピークを過ぎると一気に集中できなくなることも分かっています。
集中を持続させるコツは、短時間の集中を繰り返すこと
このように、もともと人間の脳は長時間集中が続かない仕組みになっています。しかし、みなさんの周りの同僚などでも、長時間集中を維持しながら作業しているようにみえる人もいるのではないでしょうか。そうした人は、集中を妨げる要因を上手く除いていたり、短時間の集中を何度も繰り返して作業をしているのです。
集中を妨げる7つの要因
代表的な要因を7つご紹介します。
気が散る環境
周囲の環境は集中力に大きな影響を与えます。騒がしいオフィス、頻繁に鳴る電話、同僚との雑談など、外部からの刺激が多い環境では、どうしても気が散ってしまいます。
また、デスク周りが散らかっていたり、視界に入る場所に気になるものがあったりすると、無意識のうちに注意がそちらに向いてしまい、集中の妨げとなります。
スマホの通知や誘惑
現代人の集中力を最も妨げる要因の一つが、スマートフォンの存在です。メール、SNS、メッセージアプリなど、絶え間なく届く通知は、作業中の集中を瞬時に途切れさせます。
また、通知が来ていなくても、「何か来ているかもしれない」という気持ちが無意識の注意を奪います。スマホが視界に入る場所にあるだけで、脳の一部がそちらに気を取られてしまうという研究結果もあります。集中したい時は、スマホを物理的に離れた場所に置くか、通知をオフにすることが効果的です。
身体的・精神的な不調
体調が優れない時や精神的にストレスを抱えている時は、どんなに集中しようとしても難しいものです。睡眠不足、疲労の蓄積、栄養不足などの身体的な問題は、脳の働きを低下させ、集中力を損ないます。
また、不安や心配事を抱えている時、強いプレッシャーを感じている時なども、思考がそちらに向いてしまい、目の前のタスクに集中できなくなります。
マルチタスクの習慣
複数のタスクを同時に進めようとする「マルチタスク」は、一見効率的に見えますが、実は集中力を著しく低下させる原因となります。人間の脳は本来、一度に一つのことにしか集中できない構造になっているためです。
マルチタスクをしているつもりでも、実際には脳が高速でタスク間を切り替えているだけです。この切り替えには毎回コストがかかり、集中力が分断されてしまいます。
目的や意義が不明確なタスク
「なぜこの作業をするのか」という目的や意義が見えないタスクに取り組む時、私たちの脳は十分なモチベーションを生み出せません。その結果、集中力も低下してしまいます。
人間の脳は、意味のあることに対しては自然と注意を向けやすい一方、意味を感じられないことには関心が薄れる傾向があります。ルーティンワークや指示されただけの作業に集中しにくいのは、このためです。
完璧主義的な思考
「完璧にやらなければ」という思考は、一見すると真面目で良いことのように思えますが、実は集中力の大きな妨げになることがあります。
完璧を求めすぎると、細部にこだわりすぎて前に進めなくなったり、「うまくできないかもしれない」という不安が集中を妨げたりします。また、完璧主義者は失敗を過度に恐れるため、新しいタスクに取り組む際に心理的なハードルが高くなり、集中する前に疲弊してしまうこともあります。
情報過多による脳の疲労
現代はあらゆる情報が溢れる時代です。仕事中もニュース、SNS、メール、チャットツールなど、常に大量の情報が流れ込んできます。この情報過多の状態は、脳に大きな負担をかけ、集中力を低下させます。
人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があります。過剰な情報に晒され続けると、脳は優先順位をつけることが難しくなり、重要なタスクにも十分な注意を向けられなくなります。これは「情報疲れ」とも呼ばれる現象です。
集中を維持するためのコツ
それでは、日常的にも取り入れやすい集中力を継続しやすい方法についてお伝えします。
集中できる環境を整える
まずは物理的な環境を見直しましょう。静かな場所を選ぶ、デスク周りを整理整頓する、適切な照明と室温を保つなど、集中しやすい環境を意識的に作ることが大切です。
また、集中を妨げる要素を遠ざけることも重要です。スマホは別の部屋に置く、SNSをブロックするアプリを使うなど、外部からの邪魔を減らす工夫をしましょう。
良質な睡眠をとる
集中力の土台となるのが、良質な睡眠です。睡眠不足は認知機能を著しく低下させるため、どんなテクニックを使っても集中することが難しくなります。
毎日7〜8時間程度の睡眠時間を確保することを目標にしましょう。また、睡眠の質も重要です。就寝前のスマホ使用を控える、寝室を暗く静かに保つ、規則正しい睡眠リズムを作るなど、睡眠の質を高める習慣を取り入れてください。
小さな不調を放置しない
頭痛や肩こり、目の疲れといった、日常で起こりがちな不調も放置してはいけません。これらの不調は、自分なりのメンテナンス方法を確立し、貯めずにこまめに除去していきましょう。
同時に、不調になる前の予防も重要です。PCでの作業が多い人は、作業の合間に肩甲骨を伸ばすストレッチをしたり、できるだけ目の負担を減らすために、画面の明るさや調節したり、PCにブルーライトカットフィルムを取り付けたりなどをしてみてください。
無駄な作業がない見直す
「やるべきことがたくさんあって集中できない」という場合は、抱えているタスクを振り返り、本当に必要な作業なのか見直していくようにしましょう。
例えば、新たに業務を引き継ぐと「今まで前任者もやっていたから」という理由で、なんとなく同じことをしているというケースは少なくありません。もしかしたら、カットしても問題のない作業であったり、もっと効率よく進められる方法がある可能性もあります。
漠然と目の前の作業に取り組むのではなく、1つ1つの作業の意義を理解しながら、業務のやり方に改善ポイントはないかを考えていきましょう。
タスクを細かく分解する
大きなタスクは膨大に感じられ、どこから手をつけていいかわからず、集中できないことがあります。そんな時は、タスクを小さなステップに分解してみましょう。
例えば、「報告書を作成する」という大きなタスクを、「データを収集する」「グラフを作成する」「原稿を書く」「校正する」といった具体的なステップに分けます。小さなタスクは取り組みやすく、一つずつクリアしていくことで達成感も得られます。
マルチタスクをやめる
複数のタスクを同時に進めようとすると、脳は頻繁に切り替えを行わなければならず、かえって効率が落ちます。また、どのタスクにも十分な集中ができず、ミスも増えます。
一度に一つのタスクに集中する「シングルタスク」の方が、結果的に生産性が高いことが研究でも示されています。今取り組んでいるタスクが終わるまでは、他のことに手を出さないという原則を守りましょう。
緊急の用件以外は後回しにし、目の前の一つのタスクに全力を注ぐことで、質の高い成果を短時間で出せるようになります。
短い休憩を定期的にとる
人間の集中力には限界があるため、適切なタイミングで休憩を取ることが重要です。先述のポモドーロ・テクニックのように、25分作業して5分休憩するというサイクルが効果的です。
休憩中は、席を立って軽くストレッチをする、窓の外を眺める、コーヒーを飲むなど、作業とは違う行動をとることで脳をリフレッシュさせましょう。スマホを見て情報を取り込むのは、脳を休ませることにならないので注意が必要です。
どうしても眠い時は、思い切って仮眠をとる
午後の時間帯など、どうしても眠気に襲われることがあります。眠気と戦いながら作業を続けても効率は上がらないため、思い切って短時間の仮眠をとることをおすすめします。
15〜20分程度の仮眠は、脳をリフレッシュさせ、その後の集中力を大幅に向上させる効果があります。ただし、30分以上寝てしまうと深い睡眠に入り、目覚めた後にかえって頭がぼんやりしてしまうので注意が必要です。
作業開始前のルーティンを決める
集中モードに素早く入るために、作業開始前の「儀式」を決めておくと効果的です。例えば、「デスクを片付ける→深呼吸を3回する→タイマーをセットする」といった一連の行動をルーティン化することで、脳が「これから集中する時間だ」と認識しやすくなります。
このルーティンは、スポーツ選手が試合前に行う決まった動作と同じ効果があります。毎回同じ行動を繰り返すことで、条件反射的に集中状態に入れるようになるのです。ルーティンはシンプルで短いもので十分です。
目標達成時の報酬を設定する
人間の脳は報酬を期待すると、モチベーションが高まり集中力も向上します。タスク完了後の小さな楽しみを設定することで、集中を維持しやすくなります。
「この資料を仕上げたら好きなコーヒーを飲む」「このプロジェクトが終わったら週末に映画を見る」など、自分にとって魅力的な報酬を用意しましょう。報酬は必ずしも大きなものである必要はありません。むしろ、小さな報酬を頻繁に設定する方が、日々の集中力維持には効果的です。
集中力を高めるためにおすすめのアイテム
集中力を上げるアイテムを積極的に取り入れ活用していくのもおすすめです。
タイマー
人はゴールがみえていると、頑張れる生き物です。
30分、45分といったこまかな制限時間を設け、「タイマーが鳴るまで頑張る」と目標を立てることも、集中力を保つうえで役立ちます。
ご褒美
「この作業が終わったら、お菓子を食べよう」「何時まで頑張ったら、読みたい本を読もう」といった、ゴール後に自分へのご褒美を準備することも有効です。
適度な糖分
集中は、脳のエネルギーを消費する行為です。
作業中に「少し疲れたな」と感じたら、適度な糖分をとりましょう。
グロービス経営大学院でビジネススキルを体系的に学ぶ
集中力を高めることは重要ですが、仕事で成果を出すためには、それだけでは十分ではありません。「何に集中すべきか」を見極める優先順位の判断力や、限られた時間を最大限に活用するタスク管理スキルも同時に必要です。
グロービス経営大学院では、「クリティカル・シンキング」による本質的な課題の見極め方を、実践的なディスカッション形式で学ぶことができます。集中力を正しい方向に向け、より大きな成果を生み出したい方は、まずは体験クラスで実際の学びを体感してみませんか。
まとめ
集中力が続かない原因は、環境、体調、タスク管理の問題だけでなく、スマホの誘惑、目的の不明確さ、完璧主義、情報過多、マルチタスクの習慣など、多岐にわたります。これらの要因を理解し、それぞれに対して適切な対策を講じることが、集中力向上の第一歩です。
集中できる環境を整え、良質な睡眠をとり、タスクを細かく分解し、適切な休憩を挟むなど、今日から実践できる方法はたくさんあります。また、タイマーやご褒美といった道具を活用することも効果的です。
最も重要なのは、人間の集中力には限界があることを理解し、無理に長時間集中しようとせず、短時間の集中を繰り返すことです。自分に合った方法を見つけ、日々実践していくことで、確実に集中力は向上していきます。
集中力は才能ではなく、鍛えられるスキルです。今日から少しずつ取り組んで、より生産的で充実した仕事・学習の時間を手に入れましょう。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

