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新型コロナウイルスの流行に伴い、多くの企業がテレワークに切り替えました。
たとえコロナが終息した"アフターコロナ"の世界でも、オフィスへの通勤をメインとした働き方に完全に戻ることはないでしょう。
そこで今回は、テレワーク時代の社会人のスキルアップ方法についてご紹介します。
テレワーク時代のスキルアップ方法
ステップ①:オンラインセミナーをフル活用する
在宅勤務の社会人が増えたことで、様々な機関がオンラインセミナー(=ウェビナー)開催に切り替えました。
これまでは、リアルの場で開催されるビジネス系セミナーの多くは大都市に集中していましたが、それが場所に縛られずどこからでも参加できるようになったのです。
情報へのアクセスがより平等になったと言えます。
これを利用しない手はありません。
例えば、私が教員を務めるグロービス経営大学院でも、各界の著名人をお招きする特別経営セミナーやMBA体験クラスも、ウェビナーに切り替えています。
テレワークにより在宅時間の長くなった今、ぜひ積極的にウェビナーを活用してみてください。
ステップ②:文字に残す
ウェビナー参加への注意点として、ただ「聞いている」だけでは学びの効果が薄いということです。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスによる研究「エビングハウスの忘却曲線」では、新しく覚えた内容を20分後には42%を忘れ、1時間後には56%忘れ...と、時間が経つにつれ、どんどん忘れていくといったデータが報告されています。
ウェビナーでも同様で、ただ漠然と参加しているだけでは、どんどんと内容を忘れていき、結果的に「時間の無駄だった」ということにもなりかねません。
しっかりと自分の学びの血肉にするためにも、まずはセミナーを聞きながら、これは大事だなと思うことをどんどん手元のノートやパソコンのメモ機能などを活用しながら文字として残していってみてください。
ステップ③:内容を整理しSNSで発信する
ウェビナー終了後のまだ記憶の新しいうちに、学んだ内容をSNSで発信することもおすすめです。
「人に見せるものだから」といった緊張感も生まれつつ、メモに残した内容を整理しまとめるという行為が、振り返りの良い機会となります。
先ほどの忘却曲線でも、何度も繰り返し復習することで、時間が経っても忘れない長期記憶に変わるという報告があります。
見たり聞いたりしたものは、手元に残し、小規模でいいので発信をしてみてください。
このサイクルを回すことで、新たな知識が頭の中にどんどんと定着していきます。
ステップ④:ディスカッションで学習定着率を上げる
さらに学習の定着率を促進するためにおすすめなのが、「ディスカッション」です。
詳しくはこちらの記事で紹介していますが、「ラーニングピラミッド」という、アメリカの国立訓練研究所が学習方法と平均学習定着率との関係を明らかにした研究結果では、「ディスカッション」が最も高い定着率である90%を示しています。
ディスカッションのためには、まず相手ウェビナー内容を伝えるため、分かりやすく簡潔にまとめる必要があります。
そのうえで、相手が質問をしてくれたり、新しい視点で意見を述べてくれるので、その語り合いの中で自分の考えもブラッシュアップされていきます。
まとめ
SNSでの発信やディスカッションをおすすめしてきましたが、結局、学びを深め、知識を自分のものとするためには、人間同士のインタラクション(相互作用)が重要になってきます。
今は、ZoomやGoogle Meet、Skypeなど、Web会議システムも充実しています。
情報のインプットだけで終わらさず、ぜひ積極的にディスカッションの場を設けてみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。