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「部下をどう育てたら良いのか分からない」
若手リーダーを中心に、こうした悩みをよく聞きます。
本記事では、部下の育て方で迷っている方に、ぜひ取り入れていただきたいポイントを紹介します。
部下からどうみられてる?信頼される上司の特徴
部下の育成には、日ごろからのコミュニケーションが大事です。
そして、良好な関係性を構築していくためには、部下からの信頼を得ることが欠かせません。
信頼される上司には共通点があります。
「少しおろそかになっているかも...」という方は、部下側からもどうみられているかを意識して、改善していきましょう。
<信頼される上司の特徴>
・部下の意見や価値観を否定せず、受容力がある
・部下の話を真剣に聞く
・ミスをしたら謝罪する
・きちんと評価する
・仕事ができる
・専門知識やスキルが高い
・実績がある
・勇気と責任感がある
・人柄が良い
・口先だけでなく、約束をちゃんと守る
部下を育成するうえで重要な5つのポイント
ポイント①:まずは自分の本心と向き合う
部下の育て方と言っても、相手がいることなので非常に難しいです。
だからこそ、まずは「部下の育成が大事である」という認識を、強く持つことからスタートしましょう。
最近の会社では、チームリーダーであったとしても、体半分はプレイヤーであることが往々にしてあります。
いわゆる「プレイングマネージャー」という状態です。
これは、とても難しいポジションでもあります。
なぜなら、プレイヤーは、プレイヤーとして評価されたいからです。
営業のチームリーダーであった場合、「自分が培ってきたノウハウを部下や後輩に教えて、彼らの成績の方が良くなったらどうしよう」などと考えてしまいます。
そうなると、頭では育てなければならないと思っていても、ノウハウの出し惜しみが生じてしまいます。
表向きには部下を育成したいと思っているけれど、裏向きには育成したくないとも思っている。
ここに、大きな心のハードルが存在します。
まずは、裏の自分(自分の本心)と向き合うことからスタートしてみましょう。
ポイント②:ゴールを明確にする
自分の本心と向き合うことができたら、「どういう状態になると部下を育てたことになるのか」について、考えてみましょう。
例えば、「部下が言われたことしかやらない」というケースの場合、「言われたことだけをきっちりとやってくれさえすればいい」という考え方の上司にとっては、実は悩みにはなりません。
悩みが発生するのは、上司側に「言われたことしかやらないのでは困る」という前提がある場合です。
そのため、「自分は部下をどういう状況にしてあげたいのか?」とゴールをきちんと明確にしましょう。
ゴールイメージがあいまいだと、なんとなく目についたところにモヤモヤして注意してしまったりなど、行き当たりばったりの対応になってしまいます。
ポイント③:部下の「経験・能力・やる気」の3点を把握する
次に大事になってくるのが、「部下のことを、自分はどれだけ理解しているか?」ということです。
よく「良い怒り方やほめ方はどのようにしたらよいのか」と質問されますが、テクニカルなことよりも、まずは相手のことをきちんと理解することが大事です。
そこをすっ飛ばしてしまうと、うまくはいきません。
例えば、初めて会う子供に何かを教える時に、子供が何を分かっていて、何を分かっていないのかを全く知らないままで、その子に何かを教えることは難しいですよね。
しかし、大人が相手だと、無意識に自分の前提で話を進めてしまって、「あれをやれ、これをやれ」となりがちです。
改めて考えると、これまでに何を経験してきたのか、何を勉強してきたのかなど、一人ひとり異なりますよね。
そこを理解していなければ、部下の立場からは、受け止められるものもあれば、受け止められないものも出てくるでしょう。
育成をする際には、「経験」「能力」「やる気」のポイントに分けて、今育てようとしている後輩のことをイメージしてみましょう。
この3つを押さえておかないと、的外れな指導になってしまうことがあります。
例えば、経験不足でうまくいっていない部下に対して、「あなたはやる気がないよね」といくら怒ってみても、正しい解決にはつながりません。
経験不足が原因だったら、まずは経験を積ませることが大事です。
また、ある分野の能力が欠けている部下に、経験だけを積ませていても、できるようになるのかといえば、できないままかもしれません。
この場合は、経験をさせるよりも、能力を伸ばすような研修に行かせてあげることの方が、より効果的である可能性があります。
ポイント④:仕事を任せ、適切にサポートする
具体的なメンバーの育成においては、仕事を任せていくことが、とても大切になります。
もちろん、仕事を任せられる状態になるまでには、手取り足取り指導する期間もあるでしょう。
子供が水に顔をつけられるようになったらプールに入れてみて泳がせるという状況と、近いかもしれません。
そして仕事を任せたら、メンバー自身が自ら考えて仕事を行うことができるように仕向けます。
ここでよくありがちなのが、放置してしまうというものです。
仕事を任せて自分で考えさせつつも、こちらが適切にサポートすることが大切です。
表向きにはあまり口を出さず、後ろからきちんと見ていてあげるといった具合です。
そして、出てきた結果をフェアに評価し、次につながるようにフィードバックをした上で、さらなるチャレンジを課す。
こうしたサイクルがうまく回った人は、成長のサイクルへ入って行くことができるでしょう。
当然のことながら、以上の内容は、育つ側に「育ちたい、成長したい」という意欲があることが前提となります。
こうした、リーダーがメンバーに「実行プロセスにおける意思決定の権限と責任」を付与し、育成していくことを『エンパワメント』と言います。
リーダーシップを学ぶうえで欠かせない概念の1つです。
こちらの記事で、詳しいエンパワメントの実行方法やコツを紹介していますので、ぜひ合わせてお読みください。
ポイント⑤:自分自身も成長する
育成という観点では、リーダー自身が成長することも極めて重要です。
さらに大きな責任を持つリーダーになるためには、自分自身を成長サイクルに入れることが大切です。
チームリーダーを任せられた以上、チームの運営を自分で考えられるようにならなければなりません。
一方、上司からのサポートや評価を素直に受け止めることも大事です。
そして、フィードバックを活かしさらなるチャレンジを自分から取りに行くことで、さらに仕事は任せてもらえるようになります。
こうした成長のサイクルに自分を入れつつ、メンバーもサイクルに入れてあげましょう。
自分とメンバーの2つの成長サイクルが同時に回っているイメージです。
困ったら、外部の機関で学ぶのも1つの手
人材育成やマネジメントに必要なスキルを本当の意味で身につけるためには、やはり書籍や動画学習などの独学では、限界があります。
より実践的なスキルを習得したいという方は、こうした外部の機関で学ぶというのも1つの手です。
例えば、国内最大のビジネススクール・グロービス経営大学院では、これからの時代に求められるリーダーのあり方や考え方、スキルを広く学ぶ『組織行動とリーダーシップ』という講座があります。
オンラインクラスもあり、20~30代の若手リーダーからミドルマネージャーまで、全国から幅広い年齢層&職種のビジネスパーソンが参加されています。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『組織行動とリーダーシップ』講座
また、グロービス経営大学院では、随時オンラインにて『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
まとめ
部下を育てる際、まずは「いつまでに、どういう状態にしたいのか」ということを、リアリティをもってイメージしてみましょう。
そして、相手のことをきちんと理解し、何を伝え、何を経験させるべきなのかといったプランを作ってみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。