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「何事も継続が大事」と言いますよね。
これは、プライベートだけでなく、仕事にも当てはまります。
決めたことを継続することは、「なりたい理想の自分」に近づくため、そして、成果を出し続けるために必須のスキルです。
今回は、挫折しない「習慣化」するための3つのコツをご紹介します。
習慣化とは
習慣化とは、朝起きたら顔を洗い、着替えながら「コーヒーをいれよう」と考える、といったように、無意識に行動や思考を繰り返す状態になることです。
習慣化できずに挫折する人は多い
いったん習慣化してしまえば、継続して行動することができるのですが、この「習慣化された状態」に至るまでが難しくあります。
例えばみなさんには、このような経験はないでしょうか?
「これからはグローバルだ」などと聞いて、とりあえず英語の勉強を始めてみたものの、力がつく前にやめた。
ダイエットのためにスポーツクラブに通い始めたものの、結局ジムに行ったのは最初の3ヵ月だけだったなど。
このように、何か始めても、なかなか習慣化できないで悩んでいる方が多いように思います。
習慣化できない理由
習慣できない理由は、この4つのいずれかに該当します。
- ①すぐに効果が出ないため、モチベーションが続かない
- ②目標が高すぎる
- ③完璧にこなそうとする
- ④心から実現したい目標ではない
習慣化のメカニズム
習慣化は、脳の性質によって起こるものです。
「何かを意識決定する」というのは、脳にとってエネルギーを消費する行為です。
脳は無駄なエネルギー消費は回避し、節約しようとする性質があるため、繰り返し行われる行動はパターン化し、無意識に行うようになります。
習慣化のメリット
習慣化には、様々なメリットがあります。
メリット①:目標を実現しやすくなる
ダイエットや仕事のスキルアップなど、一朝一夕では成し遂げられない、日々の積み重ねが大事な目標は、習慣化することで達成しやすくなります。
メリット②:面倒なことも継続できる
習慣化された行動は、強い意志がなくても無意識で行うことができます。
「やる必要がある一方で、面倒に感じる」といった行動も、いったん習慣化してしまえば継続して行うことができます。
メリット③:自信がつく
目標に向けての行動の習慣化は、いずれ成果につながります。
1つのことを継続できたことや、何かを成し遂げた経験は、自信となります。
習慣化するための3つのコツ
どうすれば習慣づけることができるのでしょうか?
3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:習慣化の必要性と自分の性格を理解する
まずは、自身がなぜそれを習慣化すべき必要性があるのかを理解しましょう。
例えば、
- なぜこれをしないといけないのか。
- なぜこうしたいと自分は思っているのか。
- あるいは、習慣づけできなかった場合に何が起こるのか。
そして次に、過去の経験を元に自分はどのような性格か分析してみてください。
例えば、
- どれほどさぼり癖があるか。
- 外部からの働きかけがあれば頑張れるのか。
- これまで飽きずに続けられたものの特徴は何だったか。
自分のことが分かれば、習慣化のための方法論を見出すことができます。
ポイント②:適切な目標設定を行う
習慣化に失敗するありがちな例として、大きな目標を立ててしまうことがあります。
昨日までとくに運動をしてこなかった人が、いきなり10kmランニングするといった目標を持つことがありますが、これらは途中で挫折する可能性大です。
さらに悪いことに、大きな目標を掲げて挫折するといった一連の行動を繰り返すと、「ああやっぱり今回も駄目だった」「自分はだめなやつだ」と自己効力感も下がり、徐々に物事に挑戦しなくなるといった、悪循環に入ってしまう危険性もあります。
習慣化するためには、「無理なく続けられる」という観点で、適切な目標設定をしましょう。
また、最初は小さな目標に設定して、習慣化してきたら、少しずつストレッチした目標に設定し直すといった方法もおすすめです。
ポイント③:自分の特性を生かした仕組みをつくる
ポイント①②の内容を踏まえて、自分なりに続けるための正しいやり方を編み出していきましょう。
例えば、私が教員を務めているグロービス経営大学院の受講生で、SNSのグループで「早起きクラブ」といったグループを作っている方たちがいます。
これは、早起きして授業の予習をするためのクラブです。
朝にこのクラブにやって来なかったなら、起きられなかったことが皆にばれてしまいます。
こうして仲間同士のプレッシャーを生じさせ、早起きせざるを得ない状況を作っているのです。
このような単純なことでも、自分を律するというひとつのサイクルに入れられるので、十分に上手く作用します。
同様に、人に宣言することも有効です。
例えば、「TOEICで〇点をとる」と会社の皆に宣言するのも、英語の勉強を習慣化する上で有効かもしれません。
「自分はプライドが高くて、一度人に言ったことであれば命をかけてでもやる性格です」と自覚している人であれば、思い切って皆に言ってしまうとよいでしょう。
自分の性格を正しく理解できているからこそ、正しいやり方を見出すことに成功するはずです。
また、日々クリアしたことの記録をつけ、視覚化することもおすすめです。
着実に前に進んでいる実感がわきますし、「一日だけ記録がなく、空白が生まれてしまった...」という時に芽生えるもやもやとした気持ちが、行動に向けて背中を押してくれることもあります。
まとめ
仕事やプライベートにおいて、様々なことを習慣づける力は大事です。
まずは、習慣化しようと思っていることの必要性をしっかりと理解しましょう。
そして自分の性格を利用し、自分なりの方法論を見つけてみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。