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「何事も継続が大事」と言いますよね。
これは、プライベートだけでなく、仕事にも当てはまります。
決めたことを継続することは、「なりたい理想の自分」に近づくため、そして、成果を出し続けるために必須のスキルです。
今回は、挫折しない「習慣化」するための3つのコツをご紹介します。
習慣化とは
習慣化とは、朝起きたら顔を洗い、着替えながら「コーヒーをいれよう」と考える、といったように、無意識に行動や思考を繰り返す状態になることです。
習慣化できずに挫折する人は多い
いったん習慣化してしまえば、継続して行動することができるのですが、この「習慣化された状態」に至るまでが難しくあります。
例えばみなさんには、このような経験はないでしょうか?
「これからはグローバルだ」などと聞いて、とりあえず英語の勉強を始めてみたものの、力がつく前にやめた。
ダイエットのためにスポーツクラブに通い始めたものの、結局ジムに行ったのは最初の3ヵ月だけだったなど。
このように、何か始めても、なかなか習慣化できないで悩んでいる方が多いように思います。
習慣化できない理由
多くの人が「良い習慣を身につけたい」と願う一方で、なぜ三日坊主で終わってしまうのでしょうか。
習慣化が難しい主な原因は、私たちの脳が変化を避け、現状維持を好む特性を持っていること、
そして具体的な仕組みづくりができていない点にあります。
ここでは、習慣化を阻む3つの代表的な理由を解説します。
目標が不明瞭で、具体的な行動に落とし込めていない
「英語を勉強する」「健康になる」といった抽象的な目標だけでは、何を、いつ、どれくらい行うべきかが明確になりません。
習慣化とは、目標達成に必要な行動を「意識せずとも実行できる状態」にすることです。
しかし、目標が曖昧だと、日々の行動にブレが生じ、習慣を根付かせる土台が築けません。
まずは、目標を「毎日朝食後に5分間、英単語アプリを開く」といった、
時間、場所、行動内容が明確なミニマムな行動に分解する必要があります。
理由2:モチベーション頼みで、仕組み化ができていない
習慣化を阻む最大の要因の一つは、モチベーションに依存してしまうことです。
モチベーションは感情に左右される不安定なエネルギーであり、一時的な熱意が冷めると行動も途絶えます。
成功の鍵は、モチベーションに頼らない「仕組み」を作ることです。
「やる気」ではなく「ルーティン」で行動を起動させるため、
「特定の行動の直後に新しい習慣を行う」という行動トリガーの設定や、行動を邪魔するものを排除した環境設定が不可欠です。
理由3:完璧主義に陥り、一度の失敗で全てを諦めてしまう
習慣化において、完璧主義は継続の妨げになります。
「毎日絶対にやる」という意識は立派ですが、一度でもさぼったり、予定通りに進まなかったりすると、
「失敗した」「自分には向いていない」とすべてを諦めてしまう傾向があります。
習慣化の本質は、失敗しないことではなく、行動を途切れさせないことにあります。
大切なのは、行動ができなかった日があっても、すぐに再開することです。
小さな失敗を許容し、長期的な視点で継続することが成功につながります。
習慣化のメカニズム
習慣化は、脳の性質によって起こるものです。
「何かを意識決定する」というのは、脳にとってエネルギーを消費する行為です。
脳は無駄なエネルギー消費は回避し、節約しようとする性質があるため、繰り返し行われる行動はパターン化し、無意識に行うようになります。
習慣化のメリット
習慣化には、様々なメリットがあります。
メリット①:目標を実現しやすくなる
ダイエットや仕事のスキルアップなど、一朝一夕では成し遂げられない、日々の積み重ねが大事な目標は、習慣化することで達成しやすくなります。
メリット②:面倒なことも継続できる
習慣化された行動は、強い意志がなくても無意識で行うことができます。
「やる必要がある一方で、面倒に感じる」といった行動も、いったん習慣化してしまえば継続して行うことができます。
メリット③:自信がつく
目標に向けての行動の習慣化は、いずれ成果につながります。
1つのことを継続できたことや、何かを成し遂げた経験は、自信となります。
習慣化を成功させるための7つのコツ
「わかってはいるけれど続かない」という習慣化の悩みを乗り越えるには、
人間の行動特性に基づいた具体的なアプローチが必要です。
ここでは、目標設定、行動設計、記録、そして環境という4つの側面から、誰もが実践できる習慣化成功のためのコツを解説します。
ポイント①:習慣化の必要性と自分の性格を理解する
まずは、自身がなぜそれを習慣化すべき必要性があるのかを理解しましょう。
例えば、
- なぜこれをしないといけないのか。
- なぜこうしたいと自分は思っているのか。
- あるいは、習慣づけできなかった場合に何が起こるのか。
そして次に、過去の経験を元に自分はどのような性格か分析してみてください。
例えば、
- どれほどさぼり癖があるか。
- 外部からの働きかけがあれば頑張れるのか。
- これまで飽きずに続けられたものの特徴は何だったか。
自分のことが分かれば、習慣化のための方法論を見出すことができます。
ポイント②:適切な目標設定を行う
習慣化に失敗するありがちな例として、大きな目標を立ててしまうことがあります。
昨日までとくに運動をしてこなかった人が、いきなり10kmランニングするといった目標を持つことがありますが、これらは途中で挫折する可能性大です。
さらに悪いことに、大きな目標を掲げて挫折するといった一連の行動を繰り返すと、「ああやっぱり今回も駄目だった」「自分はだめなやつだ」と自己効力感も下がり、徐々に物事に挑戦しなくなるといった、悪循環に入ってしまう危険性もあります。
習慣化するためには、「無理なく続けられる」という観点で、適切な目標設定をしましょう。
また、最初は小さな目標に設定して、習慣化してきたら、少しずつストレッチした目標に設定し直すといった方法もおすすめです。
ポイント③:自分の特性を生かした仕組みをつくる
ポイント①②の内容を踏まえて、自分なりに続けるための正しいやり方を編み出していきましょう。
例えば、私が教員を務めているグロービス経営大学院の受講生で、SNSのグループで「早起きクラブ」といったグループを作っている方たちがいます。
これは、早起きして授業の予習をするためのクラブです。
朝にこのクラブにやって来なかったなら、起きられなかったことが皆にばれてしまいます。
こうして仲間同士のプレッシャーを生じさせ、早起きせざるを得ない状況を作っているのです。
このような単純なことでも、自分を律するというひとつのサイクルに入れられるので、十分に上手く作用します。
同様に、人に宣言することも有効です。
例えば、「TOEICで〇点をとる」と会社の皆に宣言するのも、英語の勉強を習慣化する上で有効かもしれません。
「自分はプライドが高くて、一度人に言ったことであれば命をかけてでもやる性格です」と自覚している人であれば、思い切って皆に言ってしまうとよいでしょう。
自分の性格を正しく理解できているからこそ、正しいやり方を見出すことに成功するはずです。
また、日々クリアしたことの記録をつけ、視覚化することもおすすめです。
着実に前に進んでいる実感がわきますし、「一日だけ記録がなく、空白が生まれてしまった...」という時に芽生えるもやもやとした気持ちが、行動に向けて背中を押してくれることもあります。
ポイント④:継続のハードルを下げる「スモールスタート」
習慣化の成功は「量」ではなく「頻度」で決まります。
「これなら絶対できる」と思える最小限の行動量に設定する「スモールスタート」を徹底しましょう。
たとえば、「毎日30分勉強」ではなく「参考書を1ページだけ開く」から始めるなど、抵抗なく取り組めるレベルからスタートします。
この小さな行動を毎日達成することで、脳に成功体験と快感を与え、習慣を定着させる土台を作ります。
小さな行動なら、忙しい日や疲れている日でも実行しやすく、行動を途切れさせないことに集中できます。
ポイント⑤:既存の習慣と新しい行動を組み合わせる「行動の連鎖」
行動を自動化するためには、「いつやるか」を明確にするトリガー(きっかけ)が必要です。
最も効果的なのは、すでに定着している既存の習慣と、新しく身につけたい行動をセットにする「行動の連鎖(ハビットスタッキング)」です。
具体的には、「〇〇が終わったら、直ちに△△をする」というルールを設定します。
たとえば、「朝食の皿を洗ったら(既存習慣)、5分間だけ資格試験の勉強をする(新規行動)」などです。
この方法を使えば、「やるべきこと」が明確になり、意志力に頼らずとも行動が自動的に開始されます。
ポイント⑥:目標達成ではなく「行動の完了」に報酬を設定する
習慣化において重要なのは、「資格試験に合格する」などの最終的な目標達成を待つのではなく、
日々の行動が完了した直後に、小さな報酬を自分に与えることです。
報酬は、脳に「この行動は良いことだ」と学習させるためのご褒美です。
「今日のタスク(5分間の勉強)が終わったら、楽しみにしていたYouTubeを5分だけ見る」
「運動後、好きなアロマを焚いてリラックスする」などちょっとしたことを設定してみましょう。
この行動完了→報酬のサイクルにより、行動そのものが快感と結びつき、「やりたいこと」に変わり、習慣が強化されます。
ポイント⑦:環境を整え、行動を「簡単」で「魅力的」にする
習慣化は個人の意志力だけでなく、環境設計に大きく左右されます。
良い習慣を始めるためには、その行動を簡単に、そして魅力的にするように環境を整えます。
たとえば、「朝走る習慣」をつけたいなら、前夜にランニングウェアとシューズを枕元に置く(簡単にする)。
逆に、止めたい習慣(例:無駄なネットサーフィン)は、PCやスマホの設定で制限をかける、あるいは手の届きにくい場所に置く(困難にする)。
環境を変えることで、意識の力を使わずとも、自然と望ましい行動を選べるようになります。
習慣化を身につけるのに役立つクリティカルシンキング
単なる「頑張る」習慣ではなく、効率的で成果につながる「質の高い習慣」を身につけるためには、
クリティカルシンキング(批判的思考)が有効です。
クリティカルシンキングは、
- 「その習慣は本当に目標達成に貢献するのか?」
- 「設定した行動プロセスに無駄や非効率な点はないか?」
と常に問い直すことを可能にします。
習慣を客観的に検証し、論理的な裏付けを持つことで、再現性が高く、効果的な行動パターンを構築できるようになります。
グロービス経営大学院でビジネススキルを身に付けよう
グロービス経営大学院では、「習慣化」といった自己管理の土台の上に、
ビジネスで成果を出すための実践的なスキルを体系的に学ぶことができます。
本記事で解説した習慣化の技術は、個人の生産性を高めますが、
さらに複雑な経営課題を解決するためには、論理的思考力、リーダーシップ、マーケティングなどの専門知識が必要です。
グロービスでは、現役の経営者や専門家から学び、すぐに実務で応用できる力を修得できます。
まとめ
仕事やプライベートにおいて、様々なことを習慣づける力は大事です。
まずは、習慣化しようと思っていることの必要性をしっかりと理解しましょう。
そして自分の性格を利用し、自分なりの方法論を見つけてみてください。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

