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伝える力を鍛えるコツ。コミュニケーションやビジネスを円滑に進めよう

伝える力を鍛えるコツ。コミュニケーションやビジネスを円滑に進めよう

目次

「伝えたつもりだったけど、期待どおりのアクションにつながらなかった」

そういったことが日常のビジネスシーンでは多々あります。
本記事では、あらゆるビジネスパーソンに必須の「伝える力」についてご紹介します。

コミュニケーションの重要性は普遍

コミュニケーションが大切という話は、耳にたこができるほど皆さん聞かれているかと思います。
結局仕事は、どこまでいっても人間がコミュニケーションを取りながら行うもので、その重要性が低くなることはないと思います。
もちろん、Face to faceのコミュニケーションの機会が減って、チャットアプリやオンライン会議など、Web上のコミュニケーションツールが主となっていくことでしょう。
しかし、本質的には人間はコミュニケーションを取りたい生き物なので、その重要性は普遍だと思います。

どこまで相手に寄り添えるか

コミュニケーションや伝達の際に最も大事なことは、どこまで相手に寄り添えるかということです。
例えば、「正しい人が正しいタイミングで正しいことを言う」ことは、一見正しいことのように思えますが、聞き手側からすれば辛い場合もあります。
「あなたに言われたくない」「今日は勘弁してください」などと思うことも、往々にしてあるからです。
したがって、相手の立場をどこまで配慮できるかという点が大事なのです。

また、伝えるタイミングにも気を配りましょう
非常に重たい話を、金曜日の帰り際や夜遅くなどに言われてしまうと、それを抱えて週末を過ごす羽目になります。
相手がショックを受けることを言わなければいけない場合や、言った後の変化を見たい場合には、午後一で言って夕方までの様子を観察するといった方法をとることをおすすめします。
同様に、1週間の始まりである月曜日の朝8時に重たい話をするのも、また問題です。
伝達力においては、相手への興味関心を含めて、「相手が今どんな状況にあって、何なら伝えられても大丈夫か」などと考えることが大切なのです。

ゴールを意識して、伝達する

ここからは、伝達する際に意識しておきたいことをご紹介していきます。

「聞く」と「聴く」の違い

私が好きな本である『BCG戦略リーダーシップ 経営者になる 経営者を育てる』(ダイヤモンド社 2005)には、コミュニケーションの難しさが書かれています。
そこでは、「聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたとは限らない」と述べられています。
「聞く」という漢字は、門構えに耳と書きます。
これは、「きく」といよりも「きこえる」というニュアンスなのかもしれません。
音として耳の中に入ってきているにすぎないというイメージです。
一方、「聴く」という漢字には、目と心が含まれており、音を拾う以上のニュアンスあるように感じます。
さらに、「聴いてもらえたからといって、理解してもらえたとは限らない」とも述べられています。
相手に何か一方的に言っても、相手がそれを本当の意味で理解しているかいうのは、また別の話なのです。

伝達のゴールは相手が行動に移すこと

また、相手が理解し賛成してくれたからといって、「納得」しているとは限りません。
さらに、その場で納得してくれたとしても、一晩寝てしまえば、実際にアクションを起こしてくれるかどうかもわかりません。
そして、アクションを起こしてくれたとしても、それが成果につながるかどうかはもっとわかりません。
このように、「伝達」におけるゴールまでのステップは長く、難しいものです。
相手が本当の意味で納得し、伝え手が期待していた行動を自ら取るという状態になって、初めて「伝わった」と言えます。

行動や成果につなげることは難しい

例えば、「宿題をやりなさい」と子供に言ったとしましょう。
音としてはお子さんの耳の中に入っていますが、しっかりと耳をそばだてて聴いていたかどうかはわかりません。
毎日言っていれば、やらなければいけないということは理解するかもしれません。
しかし、納得しすぐに行動に移し、机に向かうとは限りません。
また机に向かったとしても、本当に長時間勉強をし続けるかどうかもわかりません(こっそりとゲームしている可能性もあります)。
さらに、そこから良い成績をとることができるかというのも、またわからないのです。

大切なことは「続けること」

ビジネスの世界でも、これと同じようなことが起こるでしょう。
だからといって、あきらめてコミュニケーションを取ることをやめてしまったら、チームが動かなくなります。
コミュニケーションがこれほどに段差が生じ得る難しいものであるということを理解した上で、執拗に取り続けなければならないのです。
良いリーダーとは、実はあきらめが悪いのです。
同じことをずっと言っていたり、同じことを年がら年中やっていたりします。
コミュニケーションと聞くと、きれいな言葉を使ってクリアに何かを伝えることと思いがちです。
しかし、粘り強く、我慢強く、諦めずに言い続けることが、もっとも重要なのかもしれません。
スマートなコミュニケーションもあるのかもしれませんが、実は結構泥臭いものなのです。

まとめ

相手に何かを伝えてから実際に成果を導くまでの間には、多くの段差があることを認識することが、まずは重要です。
自分自身のコミュニケーションが、どこまで人をプッシュできるものになっているか、常に意識してみましょう。

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著者情報

田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)

田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)

慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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