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「部署異動したけど、なかなか新しい仕事に慣れない...」
「転職したけど、新しい会社になじめない...」
...など、ビジネスパーソンとしてキャリアを歩む中で、私たちは数々の変化に遭遇します。
環境変化が激しい現代において、状況に応じて自分の行動や考え方を変える能力は、円滑に仕事を進める上で必要不可欠と言えるでしょう。
本記事では、適応力が求められる理由や適応力がある人の特徴、トレーニング方法についてご紹介します。
適応力とは
適応力とは、「環境に対して速やかに適応できる能力」を意味します。
ビジネスにおいては、新しい仕事や職場、仕事の進め方に適応する場面が多々あるでしょう。
昨今、この適応力の重要性が高まっているのです。
技術革新によって新たなサービスが生まれたり、コロナ禍を代表とするこれまでにない未知の変化が起こったりするなど、先行き不透明な時代を迎えています。
こうした環境の変化が起こった場合、人間はストレスを感じる傾向があります。
変化が激しい環境の中で、ストレスを抱えないためにも、環境に適応する力を身に付けることが大切です。
ビジネスで適応力が求められる理由
適応力の重要性が高まっている理由について、詳しく見ていきましょう。
人材の流動性が高まっている
ワークスタイルの変化や転職市場の活性化などを受けて、人材の流動性が高まっています。
転職をすると、新しい環境や文化、仕事の仕方などに慣れていく必要があります。
例えば、前の会社では何を行うにも上司の確認が必要だったのに対して、新しい会社では「基本的に自分で考えて進めてください。
最終的な報告だけでOKです」となる可能性も...。
こうした変化になじめずにいると、ストレスを抱えたまま働くことになってしまいます。
どんな組織・会社でも活躍できるように、適応力を身に付けることが重要です。
テクノロジーの進化により、求められるスキルや知識が変わっていっている
最近、ニュースでよく取り上げられる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。
IT技術を活用し、ビジネスモデルや会社の構造転換を図る取り組みのことです。
こうしたDXによって、仕事の仕方や組織体制が大きく変化したり、これまでになかった新たな業務やポジションが生まれたりすることも多々あります。
それに伴い、求められるスキルや知識もこれまでとは異なるからこそ、環境変化に対する適応力が必要になるのです。
適応力がある人の特徴
では、適応力が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは3つのポイントをご紹介します。
全体を俯瞰してみることができる
仕事や組織の全体像を把握しているからこそ、臨機応変な対応ができます。
目の前の仕事だけでなく、中長期的な視点でやるべきことを捉えているので、予期せぬトラブルにも速やかに対処できるのです。
組織の状況や自分の役割も理解しているからこそ、素早く環境に適応できると言えるでしょう。
何事にもポジティブ
どんな場面でも適応できる能力があるため、物事を前向きに捉えることができます。
トラブルやイレギュラーが発生しても、「なんとかなるだろう」「どうやって乗り切ろう」とポジティブに考えられるのです。
チャレンジ精神と好奇心が旺盛
好奇心旺盛で、何事にも果敢にチャレンジすることができます。
これまでやったことない仕事でも、「まずは挑戦してみよう」と行動力を発揮できるでしょう。
チャレンジの過程で壁にぶつかっても、すぐに柔軟に対応できるため、不安よりも好奇心を優先させることができます。
適応力を身につけるメリット
どのようなシチュエーションでも臨機応変に対応し、仕事を進められる人はどんな組織でも重宝されます。
また、ストレスを抱え過ぎず、前向きに働くことができるでしょう。
そんな適応力を身に付けるメリットについて、詳しく見ていきます。
急な変化やイレギュラーに対応できる
環境変化やトラブルに柔軟に対応できる人は、仕事でも高く評価されるでしょう。
予期せぬアクシデントが起こっても、冷静に素早く対処できるため、事態の悪化を防ぐことができます。
そうした能力が認められることで、重要なプロジェクトや新しい仕事を任せてもらいやすくなります。
環境が変わっても活躍できる
部署異動や転職など、環境が大きく変化しても活躍することができます。
これまでの経験や仕事の進め方に縛られず、新しい知識やスキルを吸収する能力に長けています。
そのため、どんな会社・組織にいても、自分の能力を十分に発揮できると言えるでしょう。
対人スキルが上がる
環境が変われば、当然一緒に働く人も変わってきます。
初めての人と仕事をする場合でも、ゼロから信頼関係を構築できるため、自ずと対人スキルも向上します。
異なる考えや価値観を持つ相手とも、積極的にコミュニケーションを取ることで、スムーズに仕事を進めていけるでしょう。
適応力を高める方法
では、適応力を身に付けるためには、どうしたらよいのでしょうか。
前提として、行動力を高めることが、適応力につながります。
普段とは違う行動を取ってみたり、積極的に新しいことに挑戦したりしてみましょう。
このほか、適応力を鍛えるトレーニング方法を3つご紹介します。
自己肯定感を高める
自己肯定感を育むことで、新しいことに一歩踏み出せるようになります。
「新しい環境に馴染めるのか」「失敗したらどうしよう」という不安があると、知らず知らずのうちにプレッシャーになってしまうものです。
どんな場面においても「自分なら大丈夫」と自分を信じて行動することが、結果として適応力を高めることにつながります。
周囲と積極的にコミュニケーションをとる
さまざまな人と積極的に関わりながら、情報感度を高めていきましょう。
自分が置かれている状況や仕事の背景を押さえることで、適応しなければならない理由を論理的に理解できるようになります。
納得度が高い状態で、前向きに自分がやるべきことに取り組めるでしょう。
多様性を受け入れる
職場やチームなどのコミュニティに適応する上で、多様性を受け入れる姿勢が欠かせません。
相手の価値観や考えを受け入れられなければ、信頼関係を築いていくのは難しいでしょう。
相手の話を傾聴し、意見を尊重することで、コミュニティ内で協力しやすい関係性を作ることができます。
まとめ
さまざまな変化が目まぐるしく訪れる現代では、「変われない」ということがストレスの原因にもなり得ます。
だからこそ適応力は、VUCA時代において重要な能力のひとつと言えるでしょう。
「なかなか自分を変えることができない」「環境が変わることに対して苦手意識がある」という方は、新しいことに挑戦してみたり、チャンスがきたら思い切って手を挙げたりしてみてはいかがでしょうか。
著者情報
村尾 佳子(グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長)
関西学院大学社会学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。高知工科大学大学院工学研究科博士(学術)。大手旅行会社にて勤務後、総合人材サービス会社にてプロジェクトマネジメント、企業合併時の業務統合全般を経験。現在はグロービス経営大学院にて、事業戦略、マーケティング戦略立案全般に携わる。教員としては、マーケティング・経営戦略基礎、リーダーシップ開発と倫理・価値観、経営道場などのクラスを担当する。共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。