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『最高の体調』『超ストレス解消法』など、数々のベストセラーを出版されている、サイエンスライターの鈴木祐さん。
代表作の1つである『科学的な適職』は、ビジネス書グランプリ2021の自己啓発部門で1位となりました。
自らを「日本一の文献オタク」と称し、年間5000本もの科学論文を読む鈴木さんは、どのような思考プロセスで『科学的な適職』を執筆されたのでしょうか?
<聞き手:本山裕輔>
どのような仕事が人間の幸福度を上げるのか?
―このたびは、『科学的な適職』自己啓発部門1位おめでとうございます。
まずは、『科学的な適職』の概要について、教えていただけますでしょうか?
ざっくりと言うと、タイトル通り「適職を科学的に分析してみたらどうなるか?」という本です。
適職を「人間の幸福度が最適化される仕事」と定義したうえで、「どのような仕事が人間の幸福度を上げるのか?もしくは下げるのか?」ということを、科学論文を元に解き明かしていく内容になります。
―圧倒的に参照データ数が多いことが、本書の大きな特徴の1つですよね。
世の中にあるキャリア本と比べ、他に異なるポイントはありますか?
世の中のキャリア論の多くは、特定の先生の学説を元にし、その延長線上にあるものです。
そのこと自体はけっして間違いというわけではありませんが、一人の先生の学説に偏ると、どうしても総合的な知見という観点では、不十分な面もあります。
なので『科学的な適職』では、キャリア論だけでなく、お金や仕事におけるパフォーマンスなど、幅広い要素を加味しながら再編成した形にしました。
編集者さんからのキャリア相談がきっかけ
―たしかに、キャリアの本かと思いきや、中身を読むと健康に与える影響などもしっかりと記載されていますよね。 『最高の体調』や『超ストレス解消法』といった書籍を出版されており、運営しているブログも健康や睡眠、運動などをテーマにしたものが多い印象です。
そうですね。
元々の専門という点では、「健康」ですね。
今回の「キャリア」というテーマの方が、自分の中では異端です。
―異端である『科学的な適職』は、どういった経緯で生まれたんですか?
実は、自分から発した問いがきっかけではなく、編集者さんのキャリア相談が元になっています。
「将来が不安」などの漠然とした悩みに対して、これまで自分が読んできた論文の中で答えとなりそうなものを渡していくうちに、「書籍として出版できるのではないか」という話になったのがきっかけです。
また、世の中的には「好きを仕事にした方が良い」とか、「給料は高い方が良い」といったことがよく言われていますよね。
でも、科学的には真逆のことを言っている論文もあったりします。
そうした世間の誤解を解いていくという点でも、新たなキャリア本を作るというのは、意義があると思いました。
―鈴木さんは、自らを「日本一の文献オタク」と称されていますよね。
情報収集がなかなか大変なように思います。
コツや意識していることはありますか?
文献に関しては、自動的に集まってくる仕組みを作っています。
Googleアラートに興味のあるキーワードを設定しておき、メールに新着文献の情報が届くようにしています。
また、「情報収集のためにニュースを見る」という人も多いですが、私はあまり見ません。
ニュースは制作者の思想などが反映されてしまいがちなので、情報をフラットに見るという点でも、文献から情報収集したり、トレンドをつかむようにしています。
―本を書くうえで、意識していることはありますか?
1つは、「読む人の頭に残りやすいメッセージ」を意識しています。
例えば、『科学的な適職』では、職業選択の際にしてはならないことを「7つの大罪」としてまとめています。
2つ目は、「本を面白くするスパイス」です。
『科学的な適職』のテーマの1つは「幸福の最大化」なのですが、これもスパイスとして意識的に取り入れています。
セミナー告知
―なるほど。2つとも、読み手のためのポイントですね。
それでは最後になります。
鈴木さんには2021年4月20日(火)に、ビジネス書グランプリ2021の自己啓発部門で『科学的な適職』が1位をとったことを記念して、特別セミナーにご登壇いただきます。
参加を検討されている方へ、一言メッセージをいただけますでしょうか?
当日は、適職について深堀していくのはもちろん、組織運営や人材を集めるために役立つ方法、コロナ禍でキャリアの考え方が変わってきている中、どのように適職を選ぶべきかなどについて、お伝えできればと思っています。
ご興味のある方は、ぜひ参加いただけると嬉しいです。
―鈴木さん、ありがとうございました!
<聞き手:本山裕輔>