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社会人にとってプレゼンテーションは、自分が立案した企画や、開発した新商品・サービスを実現できる大きなチャンスです。
本記事では、プレゼン資料作成と発表時の話し方のコツを紹介します。
プレゼン資料作りで意識すべきポイント
プレゼン資料を作成する上で重要なのは、スライドのメッセージを聞き手にとって読み取りやすいものにすることです。
スライドが見づらいと、聞き手は内容を理解しようと画面に集中しすぎてしまい、肝心の話から注意がそれてしまいます。
相手が理解しやすい資料を作るうえで、重要な3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:聞き手はどのような人か押さえる
プレゼンで最も大切なのは、「上手く話す」ことよりも、聞き手の「知りたい情報」を伝えることです。
そのため、まずは聞き手のことを理解しなければなりません。
- 聞き手はどのようなポジションや立場なのか?
- どのようなKPIや価値観をもっているのか?
- 相手の興味関心ごとは何か?
- 業務上で課題を感じていることはあるか?
- プレゼン内容について、どこまで理解しているか?
- 提案に対してどのような反応をしそうか?
これらをしっかりと分析することで、資料にどんなメッセージや情報を盛り込めばよいのかを絞り込むことができます。
ポイント②:1スライド1メッセージ
伝えたいメッセージがスライドの中に複数入っている場合、聞き手は「結局何が言いたいの?」と感じてしまいます。
メッセージはシンプルであればあるほど、ぐっと惹きこまれるプレゼンになります。
このスライドで、「最も伝えたいことは何なのか?」「相手の知りたいことに答えることができているか?」を常に自分に問いかけながら、余分な情報を削ぎとし「1スライド1メッセージ」のシンプルなものにしましょう。
ポイント③:フォントの大きさ、色のシンプルさ、図の見やすさ
資料のフォントが小さいと、聞き手は読み込むのに負荷がかかってしまいます。
フォントの大きさは、18ポイント以上をおすすめします。
カラーは多すぎると重要なポイントが分かりづらくなるため、使用するカラーは「3色前後」を基本として、強調したいポイントを鮮やかな色で目立たせるようにしましょう。
文字を立体的にしたり、グラデーションや装飾したりするのは、極力避けてください。
グラフや図を使う場合は、そのままだと聞き手が意味を理解するまでに時間がかかるため、そのグラフや図から何が言いたいのかをシンプルなメッセージで添えると、聞き手の理解度がぐっと増します。
プレゼンを成功させる話し方のコツ
プレゼンの構成をおさえ、資料が完成したら、いよいよ次は発表です。
プレゼンでは、話す技術のことを「デリバリースキル」と呼びます。
「スピーチ」は単に相手に話すことを指しますが、大切なのは相手に届ける「デリバリー」であるという意識です。
相手に届けるという観点から3つのポイントをおさえておきましょう。
ポイント①:ゆっくりと声に抑揚をつける
プレゼンをしていると、自分が思っている以上に聞き手に早口だと感じられているということがよくあります。
いつもよりゆっくり話すように心掛けてみましょう。
声は、基本的には大きめが良いのですが、ずっと同じトーンではなく、抑揚をつけて話すようにしてみてください。
例えば、強調したい箇所はより大きな声にしたり、「ここだけの話ですが」といった時には小さめの声にすることで、聞き手をプレゼンに引き込むことができます。
ポイント②:時折ジェスチャーを取り入れてみる
聞き手を注目させたい部分では、ジェスチャーを上手く取り入れてみましょう。
例えば、「今日のプレゼンでお伝えしたい重要なポイントは3つあります」と言って、指を3本立てることで聞き手に印象づけることができます。
ポイント③:間(ま)を恐れず効果的に使う
プレゼンをしていると間(ま)があると怖いと感じてしまい、ノンストップで話し続ける方がいますが、これは逆効果です。
プレゼンではメリハリが大切になるため、間(ま)を恐れずに効果的に取り入れていく必要があります。
例えば、「〇〇に関して皆さんはどのように感じていますか?」と質問を投げ掛けた後、少し間(ま)を置いてみます。
そうすると、聞き手は自分の中で考えを整理し始めます。
聴き手に「もしかしたら、指名されるかも」という適度な緊張感を持ってもらうこともでき、プレゼンに引き込むことができるのです。
ただし、質問をする際には "上から目線"にならないように注意が必要です。
見た目にも気を配ろう
話し方に加え、見た目にも意識を向けてみましょう。
聞き手が最初に得る情報は、プレゼンの構成でも資料でもなく「スピーカーの見た目」です。
見た目の重要性は、「メラビアンの法則」という概念でも示されており、相手に与える印象の割合は、見た目や表情などの視線視覚情報が55%、次に声の大きさや速さ、口調などの聴覚情報が38%、話の内容などの言語情報は7%と言われています。
そこで、相手に良い印象を与えるために意識すべき3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:服装は「清潔感」を意識する
身だしなみにおいて「清潔感」は最も重要なポイントです。
スーツを着ていれば良いと油断することなく、大事なプレゼンの前にはシャツにアイロンがかけられているか、スーツにシワが残っていないかなども確認しておきましょう。
ポイント②:表情は「笑顔」を意識する
初対面で、相手に好印象を与える最大の武器は「笑顔」です。
人は相手に笑いかけられると無意識のうちに笑顔を返そうとします。
聞き手も笑顔になれば、スムーズにプレゼンを行うことができます。
ポイント③:姿勢は「背筋」を伸ばす
プレゼン中に猫背で下を見ていると、聞き手は「内容に自信がないのかな」と思ってしまいます。
一方で、背筋を伸ばし、堂々と前を向いて話し手いると、聞き手は安心して話を聴いてみようとなります。
また、姿勢は声にも影響を与えるため、背筋を伸ばし、胸を張っているとハキハキとした話し方にもつながります。
発表で緊張しないためのポイント
準備万端に整えたとしても、発表で緊張してしまうことを不安に感じる方もいるかもしれません。
そこで、発表で緊張しないためのポイントをお伝えします。
プレゼン前
ぶっつけ本番でプレゼンに臨むのではなく、なるべく当日話すのと同じ状況を、事前に経験することです。
誰か協力者を頼んで、実際に聞き手の位置に座ってもらい、プレゼンの練習をしてみるとよいでしょう。
そして、協力者にプレゼンのフィードバックを受けるようにできれば、なおよしです。
プレゼンする会場に事前に入れるのであれば、実際にその場に立ってみることをおすすめします。
会場の広さ、聞き手との距離感、話し手からの視野、スクリーンやパソコンの位置関係など、本番を想像しておくことで緊張を和らげることができます。
プレゼン中
いざプレゼンで話し始めたら、早いうちにこちらの話をしっかりと頷きながら聴いてくれている人を見つけると、緊張が一気に和らぎます。
その人の目を見て語りかけるようにすると、周りの聞き手もつられて話に集中してくれることが期待できます。
ただし、その人ばかりに語りかけるのではなく、周りの人にも目線を配りながら徐々に会場全体に語りかけるようにしていきましょう。
スキル向上のため、プレゼン講座を受講するのも1つの手
プレゼンスキルを本当の意味で上げていくには、実践が不可欠です。
書籍や動画学習などの知識偏重の学びでは、やはり限界があります。
実践レベルで習得したいという方は、外部の機関を上手に活用して学ぶというのも1つの手です。
例えば、国内最大のビジネススクール・グロービス経営大学院には、『ビジネス・プレゼンテーション』という講座があります。
講座では、実際に資料を作成した上でプレゼンを行い、「構成・資料・伝え方」の3点について受講生同士で相互フィードバックをしていきます。
利害関係のある会社の上司や同僚もいないため、まっさらな目線で素直にお互いに意見し合うことができます。
講座は2週間に一度、計6回の開催。
3ヵ月でかなり思考の仕方が変わりますので、ぜひ検討してみてください。
(▼講座の詳細はこちら)
『ビジネス・プレゼンテーション』講座
またグロービス経営大学院では、随時オンラインにてクリティカルシンキング講座の『無料体験クラス』を実施しています。
授業の雰囲気や進め方を知りたい方は、まずはこちらからのご参加をおすすめします。
(▼日程一覧はこちら)
まとめ
今回は、プレゼン資料の作成と発表のコツを紹介しました。
聞き手を徹底的に分析・理解した上で、シンプルかつメリハリを意識し、明日からのプレゼンに活かしていただけると、大変嬉しく思います。
著者情報
高原 雄樹(グロービス経営大学院 福岡校 スタッフ)
北九州市立大学法学部卒業。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。楽天株式会社にてインターネットショッピングモール「楽天市場」の出店営業、ECコンサルティング、松山支社の立ち上げ、メンバーのマネジメント等を行う。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院福岡校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、チームの責任者として従事。キャリアコンサルタント(国家資格)で得た知識・技能をもとに日々学生のキャリアと向き合っている。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。