目次
この本で解ける疑問は?
- SNSの自慢大会はなぜ起きるの?
- 生きがい、働きがいって本当にある?見つかる?
- 一流になろうと周りより頑張ってきたけど疲れちゃった...どうすれば競争から脱出できる?
『最高の生き方』って?
「なんだ、この胡散臭いタイトルは」
これが、本書を書店で見かけたときの第一印象でした。
「どうせ、偉い人の自叙伝だろ」と思ってパラパラめくっていくと、
- マウンティング・ゴリラ
- テガラノドン
- フヘイフマンドリル
...と、どれも社内で見かけたことのある動物たちが次々と登場してきました。
そう、この本、人間への洞察の深さと表現力が抜きん出てるんです。
気付いたら、このビジネス書を買っていました。
今回は、この興奮を共有したく、書きました。
もうすでに読みたくなった方は、Amazonのページに飛んでみてください。
下にスクロールすると「出版社より」のところに、本書の紹介が書いてあります。
ここに貼ってある「画像」がめちゃくちゃ面白いです。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の目的は10ページに明確に示されていました。
本書の目的は、"社会に押し付けられた思い込み"に気付き、"自分が重視する価値観を人生で体現する思考法"を獲得することだ。 本書の読後に、「なぜ自分はこんな反応をしているんだ?これは本当に自分の意志なのか?」と自問する習慣がつけば、本書の第一の目的は達成されている。 そして何か行動や意思決定をするたびに、それが"自分が選択した価値観"とどのように紐づいているのかをイメージする習慣が備われば、本書の第二の目的も達成されたと言えよう。(10ページ)
抜粋すると「"社会に押し付けられた思い込み"に気付き、"自分が重視する価値観を人生で体現する思考法"を獲得すること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
本書には、さらに「三大特徴」と題して、他の書籍には見られないユニークな点を訴求しています。
- 1.反面教師の会社動物園
- 2.賢者たちの最強の教養
- 3.価値と行動の連結
そこで、本書の目的とこの三大特徴を主軸にして、1枚の図に要約してみました。
順に説明していきます。
【?反面教師の動物園】
本書を読み始めると、まず、「承認欲求を中心に生きていくことが、どれだけ愚かか」がわかります。
この「承認欲求の愚かさ」を際立たせてくれるのが、次の会社動物たちです。
- 「果てしなき自己顕示欲」マウンティング・ゴリラ
- 「成功は私のおかげ、失敗は部下せい」テガラノドン
- 「自分の殻に閉じこもる、頑固で利己的」シェルフィッシュ
- 「ナワバリを侵すとブチ切れる」テリトリードッグ
- 「カラオケに出没」オラノウータン
- 「聞いてないよ!」社内ダチョウ倶楽部
...計15種類ほど
いかがでしょうか?
いずれも、会社で見かけた動物ばかりですね。
もしくは、自分そのものを発見した方もいらっしゃるかもしれません。
この動物たちに共通するのは、「相対的な幸せを競っている点」です。
幸せを「競った」時点で、「競争」なわけなので、必ず「勝者」と「敗者」が生まれます。
まずは、この「バカバカしさ」を認知することから始める必要があります。
さもなければ、飽くなき承認欲求を満たすべく、「勝敗を決するまで、人と比べる行為」を永遠と繰り返すことになります。
そんなことを繰り返していれば、疲弊しきり、終いには「私の人生、何だったんだ」という台詞で幕引き。
...絶対イヤですよね?
繰り返しますが、何よりも優先してやらねばならないことは、「相対的な幸せを競うゲーム」から降りることです。
【?賢者たちの最強の教養】
「相対的」の逆は「絶対的」です。
つまり、「自分の中の価値観に沿って、価値があるかどうか」で幸せかどうかを判断せねばなりません。
しかし、本当にそれでよいのか?
本書では、この裏付けを、霊長類学、宗教学、哲学、心理学、脳科学の5つの視点から行っています。
ここでは詳しくは述べませんが、このようなことを学べます。
- 霊長類学の観点からは、集団形成のためのヒトの行動変化。
- 宗教学の観点からは、共同体形成のために宗教が発達した経緯と、人の存在意義への問いに宗教が果たした役割。
- 哲学の観点からは、人の認識能力の限界。
- 心理学の観点からは、人は理想と自分の価値への自信を持つことこそが、行動を変えること。
- 脳科学の観点からは、帰属欲求や承認欲求の強さ、および脳の報酬系への刺激や多様な脳内物質が人を動かしていること。
これらの学びを通して、「なぜ、幸せを絶対的なものだと捉える必要があるのか?」が理解できます。
-What-なにをすべきか?
【?価値と行動の連結】
では、どのように「絶対的に」幸せを形作って行けばよいのでしょうか?
答えは、自分が大事にしている価値観に沿った行動をすることです。
...当たり前ですよね。
ですが、言うは易く行うは難しです。
本書は「行うも易し」となるように、価値と行動の連結方法について教えてくれます。
まずは、自分にとっての上位の価値観を理解する必要があります。
そこで、代表的な10の価値観から、自分が大事だと思うものを、いくつかピックアップします。
こうして見ると、承認欲求は100%消すことは難しいものの、ほんの一部を占める程度に収まっていますね。
筆者はこれを、「価値観の再選択」と呼んでいます。
次に、これらの価値観に紐づく「行動」を定義していきます。
このように、「価値と行動を結びつけること」を、筆者は「バリュー・アクション・チェーン」と呼んでいます。
本書のタイトル通り「最高の生き方」を導き出すためには、「価値観の再選択」と「バリュー・アクション・チェーン」を繰り返し行うことが大事だとわかります。
本書での学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ることができました。
「志」は「バリュー・アクション・チェーン」によって形作ることができる?
最近は哲学から派生して、「生き方」や「志」といったテーマに興味がピボットしてきました。
以前、『志を育てる』という書籍を記事で紹介したわけですが。
この「志」の作り方のヒントを、今回紹介した『最高の生き方』で見つけることができました。
そこでまず、「志の醸成サイクル」を見てみます。
ずばり、このサイクルの「客観視」「自問自答」に、先述の「バリュー・アクション・チェーン」を潤滑油として使えると思うんです。
まず「客観視」のタイミングで、他社で仕事をしたり、他人の話を聞いたりしながら、「自分の仕事の意味合い」を浮き彫りにしていきます。
この「浮き彫り作業」を行うことで、価値観の再選択が可能になります。
例えば、私のように、コンサル業界から事業会社に移ると、「自分にとっての仕事の意味合い」が客観視されます。
そこで、コンサル業界のときに大事だと"思い込んでいた"価値観を、事業会社で気付いた"新しい価値観"に置き換えることができました。
まあ、この"新しい価値観"も、いつかは"古い価値観"へと変わる可能性もありますが。
次に「自問自答」のタイミングで、先ほど再選択した"新しい価値観"に紐づく行動は何か?...と自らに問いかけるわけです。
そうすると、「バリュー・アクション・チェーン」が出来上がってきます。
このチェーンを、あーだこーだ組み替えていくうちに、新しい目標=志が醸成されるのだと思います。
...とまあ、思考実験がてら、考えてみたわけですが、まだ「仮説」段階ですので、早速明日から試して、検証します。
著者情報
本山 裕輔(グロービス経営大学院 東京校 スタッフ)
慶應義塾大学商学部卒業。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。外資系コンサルティングファームにて業務改革及びシステム導入のプロジェクトマネジメント等を行う。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院のCRMチームにてDX(デジタルトランスフォーメーション)を主導。また、グロービス経営大学院のVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務める。"ビジネス書コンシェルジュ"として、選りすぐりの良書情報をお届けするブログ「BIZPERA」を運営している。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。