アジアでの越境ECスタートアップ創業4年の学び

  1. HOME
  2. プログラム
  3. アジアでの越境ECスタートアップ創業4年の学び
石川 真也 株式会社人々 代表取締役
グロービス経営大学院 東京校 2011期
京都大学大学院理学研究科卒業後、2007年にソフトバンク株式会社へ入社。デジタルマーケティングに携わり、DMP運用事業立ち上げなどを歴任。2011年から2015年まで、ソフトバンクアカデミアにも在籍。2015年に株式会社人々を設立し、代表取締役に就任。

テクノベート時代における越境ECへの挑戦

創業から4年間、日本経済が外貨を稼ぐ仕組み作りをミッションとし、越境ECに関わるビジネスを行なってきました。4年間で得た経験を元に、成功事例や失敗事例の紹介およびその理由をお伝えすることで、少しでも参加者が抱える、海外市場へ進出する際のマーケティング・商習慣・法制度などの悩みを解決するヒントになればと思いました。また、現在、越境ECのメイン市場であるアジアにおいて商習慣となっている、ソーシャルコマースの具体的な概要および手法を紹介。これまでは人手で運用してきた業務にAIを活用することで、テクノベート(テクノロジーがもたらすイノベーション)を起こそうとチャレンジしている様子もお伝えしました。


まず、成功事例と失敗事例を紹介し、その経験を元にテクノロジーを活用して、いかに事業を伸ばしていこうとしているかをお伝えしました。その後、参加者の相談や質問(たとえば、商材Aをタイで売るにはどうしたらよいか、など)もいただき、有意義な意見交換ができました。


 成功事例の一つとしてご紹介したのが、クライアントの台湾での売上を最大1,000万円/月まで伸ばしたことです。日本で磨いてきたECのWebマーケティング手法がうまく適用できたことや、物流および決済方法を変更することで注文率が劇的に飛躍しました。一方、失敗事例では、たとえば日本ではWebマーケティングで獲得したユーザーに対し、定期販売に繋げようとしますが、アジアではそういった習慣がないため継続率が思うように伸びなかったり、場合によってはクレームに発展してしまったりすることもありました。また、FDA(タイ国食品医薬品承認局)の認可が下りず、物流網を海外現地で構築できなかったため、注文率が伸び悩むこともありました。

アジアでの良質な雇用機会創出に向けて

これらの失敗事例を糧に、現在、力を入れて取り組んでいるのがソーシャルコマースです。クライアントが抱えるブランドのSNS(LINE)アカウントを使い、集まったユーザーに対して、リアルタイムで会話を行いながら定期販売へと繋げています。これまではソーシャルコマースを人手で運用してきましたが、LINE上での会話を自動的に行うAIソーシャルバイヤー(AIコンシェルジュ)を開発し、試験的に運用を開始しました。開発はまだ初期段階にすぎませんが、すでに販売実績も出始めています。しかし、受注率はまだまだ人間に及ばないため、今後、深層学習でいかに会話の精度を高め、注文率を改善していくかが課題です。

今後、ソーシャルコマースという手法において誰よりも早くAIの実装を成功させ、日本経済が外貨を稼ぐ仕組みを作り、同時にアジアにおいて良質な雇用機会を創出することが今後の目標です。そのためにも、私自身がAIを駆使するデータサイエンティストとしてのスキルを鍛錬していかなくてはならない、と感じています。

石川 真也株式会社人々 代表取締役
グロービス経営大学院 東京校 2011期
京都大学大学院理学研究科卒業後、2007年にソフトバンク株式会社へ入社。デジタルマーケティングに携わり、DMP運用事業立ち上げなどを歴任。2011年から2015年まで、ソフトバンクアカデミアにも在籍。2015年に株式会社人々を設立し、代表取締役に就任。