ヘルスケアスタートアップ創業5年の激動

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喜納 信也 株式会社ミナカラ 代表取締役
グロービス経営大学院 東京校 2011期
北里大学薬学部卒業卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズへ入社。開発・コンサル・営業、事業部立ち上げ等、幅広い業務に従事。また、同時期に保険調剤薬局にて薬剤師として従事。2013年株式会社ミナカラを創業。事業開発、採用・組織開発、資金調達等を主導。他、積極的なロビーング活動により国家戦略特区における遠隔服薬事業等も実現。内閣府 第7回医療・介護ワーキング・グループ、首相官邸 未来投資会議 産官協議会「次世代ヘルスケア」会合(第1回)等。タグ:IT×薬剤師・医療×起業。

「スタートアップあるある」と言われる数々の失敗を経験

起業をする過程で、会社設立時の資本政策のミス、共同創業者の離脱、創業時のチームの解体、CXOの変更・解任に伴う示談、事業の方向転換など、「スタートアップあるある」と言われがちな数々の失敗を経験し、地雷もたくさん踏み、苦しんできました。一方で、実際に起業したからこそ学べたこともありました。たとえば、企業の成長において経営者自身が成長していくことや事業に共感してくれる仲間を集めることがいかに重要か、などです。起業していなければ決して得られなかった喜びや幸せも、何度も味わうことができました。これから起業を志す方やすでに起業している方に、少しでも私自身の経験をお伝えすることでお役に立てたらと思い、3つの目的を持って今回のテーマを設定しました。


1.起業・共同創業に関心がある人の背中を押す


2.創業直後で奮闘している方に自らの経験から得た学びを共有する


3.長期に渡って走り続けるうえで支えとなる「志」と「志のアップグレード」の大切さを伝える

一人でも多くの方が次の一歩へと踏み出すきっかけに

参加者には、創業してから現在までに起こったことまとめた資料を事前に配布し、一つ一つの経験から私が得たことを共有しました。あすか会議の当日は、参加者が抱える生々しい悩みについての意見交換やスタートアップに携わっているからこそ得られる喜びについて語る時間となりました。


リーダーズディスカッションで、私が一番伝えたかったことは、経営者としてのあり方を成長させていくことの重要性でした。会社の成長には創業者の成長が不可欠なものだと考えています。これは、コンピューターでいうOSのインストールとアップデートに近いといつも感じています。


OSとは「言葉や行動の水面下にある、自分自身が持つ意識」のことです。意識によって、一つ一つの言葉や行動が変わってきます。成果や結果を出し続けるためには、自身の行動を変え続けなくてはなりません。しかし、行動を変えるためには、根本にある意識が変わらない限り、本質的な行動の変化にはつながらないのです。


会社員から起業を志すのであれば、会社員としてのOSがインストールされたままでは、成功するのは難しいと思います。起業家としてのOSをインストールし、起業家としての言葉を使い、起業家としての行動をする必要があります。ただ、起業した後もずっと同じままではなく、たとえば、はじめて社員を雇った時や事業立ち上げから成長軌道に乗せる時など、その時々に相応しいOSをインストールし、使う言葉や行動を変えていかなくてはならないのです。


置かれた状況に適したOSを自分の中に取り込めていると、自然と周囲の人に与える影響が変わっていきます。その変化に気づけた時、私ははじめて成長を実感し、さらなるモチベーションへと繋がっています。しかし、私ひとりでOSのインストールやアップデートを行うことは、忙しい日々の中ではなかなか難しいものです。学び続け自分自身で変わる努力をすることは必要不可欠ですが、時には他人の力を借りてみることも新たな気づきを得るためには重要です。


たとえば、心技体で分けて考えてみた時、心については経営者のためのコーチングを受けています。「心」については、コーチの力を借りることで、幼少期にどんな経験があったのか、親との関係はどうだったのかなど、一人で内省していたときには目を伏せていたようなことに向き合うことができ、価値観を見つめなおす機会になっています。「技」については、ベンチャーキャピタルから派遣されている役員の方との週次MTGのお陰で、妥協や甘えを取り除くことができ、ビジネスマンとしてのスキルを高めることができています。さらに、「体」については、パーソナルトレーナーの方にいつも肉体の限界近くまで負荷をかけてもらっています。このように、他人の力を借りることで、一人でやっていた場合には辿り着かないような姿になれるのです。


多大な時間とお金をかけて、自己研磨に励んでいる志高いグロービスの学生の皆さんが、何か新しい価値を生み出そうと起業にチャレンジすることは、社会にとって意義があることだと思います。私のお話を機に、一人でも多くの方が次の一歩へと踏み出すきっかけになったのであれば嬉しく思います。

喜納 信也株式会社ミナカラ 代表取締役
グロービス経営大学院 東京校 2011期
北里大学薬学部卒業卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズへ入社。開発・コンサル・営業、事業部立ち上げ等、幅広い業務に従事。また、同時期に保険調剤薬局にて薬剤師として従事。2013年株式会社ミナカラを創業。事業開発、採用・組織開発、資金調達等を主導。他、積極的なロビーング活動により国家戦略特区における遠隔服薬事業等も実現。内閣府 第7回医療・介護ワーキング・グループ、首相官邸 未来投資会議 産官協議会「次世代ヘルスケア」会合(第1回)等。タグ:IT×薬剤師・医療×起業。