第7部
「イノベーションがつくる新たな伝統~日本の食ビジネスを考える~」
分科会最後のご紹介は特別枠のプログラム。
「イノベーションがつくる新たな伝統~日本の食ビジネスを考える~」がテーマです。
パネリストは、老舗和菓子店の13代目として和菓子や日本文化の普及を進める株式会社両口屋是清 専務取締役 大島 千世子氏、実名型口コミグルメサービスを運営し食をメディアで支えるRetty株式会社 代表取締役CEO 武田 和也氏、日本料理の伝統と革新を融合した斬新なアプローチを続ける株式会社京都吉兆 代表取締役社長 総料理長 徳岡邦夫氏です。
モデレーターは、ワインマンガ『神の雫』等の原作者でもある作家の樹林 伸氏。
2018年には3,100万人を超えた外国人観光客が、訪日時に最も期待すると言われる日本食。季節感や自然を折り込む伝統と文化が今なお濃く息づく分野ですが、世界中を惹きつける食を次世代に受け継ぐため、起業家は何をすべきかを語りました。
日本食と海外の状況について徳岡氏は、吉兆の過去の例から「さまざまな検討の結果、海外展開は必要ないと気づきました。和食は水の違いがあるので再現が難しいのです。それは元々国内でも同じで、地域ごとのレシピを作って地域の人が満足する形に調整する作業が不可欠です。手間がかかりすぎるので、店舗展開よりは生活に密着した商品開発や展開を重視するようになりました。代表的なものはだしですが、鰹節は輸出入規制があるので、昆布や別の出汁に使う素材などを使ったうまみ調味料を開発して販売したこともあります」と和食のイノベーションの話まで。
また「日本の食を伝えていくために大事なことは?」という学生の質問を受け、徳岡氏は「日本人気質・日本人らしさを大事にする、次世代に伝える仕組みづくりが大事」、大島氏は「お客様の要望にできないと言わずいかに答えていくかがイノベーションに繋がる」と回答し、セッションは終了しました。イノベーターたちが語るビジネスのヒントを聞き逃すまいと、学生たちは真剣に聞き入っていました。