社会課題をビジネスで解決する

スペシャリストとして、世の中に働きかけていく

ノウハウの仕組み化で
広がるビジネス。
パフォーマンスアップで
日本を元気に。

株式会社PCP

代表取締役CEO

吉田 輝幸さん

グロービス経営大学院2021年卒業

メジャーリーガーをはじめ、これまで数多くのトップアスリートやアーティスト、経営者たちのパーソナルトレーニングを指導してきた吉田さん。EXILEフィジカルコーチとしてもよく知られています。そんな吉田さんもグロービス経営大学院卒業生のひとり。MBAとトレーナー、一見するとかけ離れて見えますが、吉田さんはMBAで学んだことを活用することで、これまで自分の中にしかなかったトレーニング指導のノウハウを仕組み化。ジムの多店舗展開やトレーナー養成スクールを立ち上げるなど、「パフォーマンスアップで日本を元気にしていく」というビジョンを目指して、活動を広げています。

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ケガに泣いた現役時代、
トレーナーとして夢の続きを

吉田さんは、有名なアスリートやアーティストの方のトレーニングを数多く指導されていますが、そもそも、どうしてトレーナーになろうと思われたのでしょうか。

僕は中学から大学まで陸上競技をしていました。自分で言うのも何ですが、小さいころから足がすごく速くて、中学に入学してすぐに陸上部の顧問の先生にスカウトされたんです。中学3年生のときに走り幅跳びと100mで埼玉県トップになって、インターハイや日本選手権では4x100mリレーで3位に入賞しました。人生を賭ける思いで必死に練習して、本気でオリンピックを目指しましたが、大事な試合の前になるといつもケガをしてしまって。個人種目では良い成績を残せず、その夢には届きませんでした。

ケガが多かったこともあって選手時代からトレーニングについては人一倍研究して、大学2年生の途中からチーム全体の練習メニューを任されるようになりました。当時、僕はフィットネスクラブでアルバイトをしていたんですが、そこの社長がパーソナルトレーナーの先駆者のような方で、最先端のトレーニングについていろいろと教えてくれたんです。ジムで教わったことを大学のトレーニングに取り入れていくと、高校まで無名だった同級生が国体で優勝したり、日本選手権の200m決勝に残ったり、周りが次々と記録を伸ばしていきました。「ケガさえなければ俺だって」と内心は複雑でしたけれど。それでもトレーニングひとつでこれほどパフォーマンスが変わるという事実に、強く興味をそそられました。

もっとトレーニングを追求して、世界で活躍するアスリートを支えたい。そう思ったことがトレーナーになったきっかけです。自分の夢を諦めきれず、誰かに託したいという気持ちも大きかったですね。

最先端のトレーニング
理論を、アメリカから
日本へ

アスリートが世界の舞台に立てるようトレーニングをサポートすることで、ご自身の夢を叶えようと思われたんですね。トレーナーから経営者になったのには、どういう経緯があったのでしょうか。

大学を卒業した後はアルバイト先にそのまま就職しました。ここではすごくいろんな経験を積ませてもらいました。中でも大きな経験だったのは、アメリカでのインターンシップです。アリゾナ州に「アスリートパフォーマンス(現EXOS)」という世界トップクラスのアスリート専用施設があるんですけど、僕はアルバイトのときから、そこの創設者であるマークさんが日本でセミナーを開く際のアシスタントを担当していました。そうした縁もあって、2000年ごろにマークさんから「人手が足りないから手伝いに来ないか」と誘われて、3ヶ月間インターンシップ生として働かせてもらうことになったんです。

現地での主な仕事はマークさん専属のビデオ係。毎日マークさんに付きっきりだったので、世界トップレベルのトレーニングを最前席で学ぶことができました。驚いたのは、日本とまったく違う理論でトレーニングが成されていたことです。

当時の日本では「パフォーマンスを出すにはとにかく体を大きくする」というのが常識でしたが、マークさんの指導は呼吸や体幹から鍛える「ファンクショナルトレーニング」がベースで、筋肉よりも体のつかい方や動かし方を鍛えるものでした。あまりの違いに最初は戸惑いましたが、実際にその指導のもと、体重100kgを超えるNFLの選手が体を巧みに動かして50mを5秒台で駆け抜けたりする姿を目の当たりにするうちに、「このトレーニング理論を追求して、日本のアスリートにも提供したい」と考えるようになりました。帰国後は、アメリカで学んだ理論をベースに数年かけて「PCP(プロフェッショナルコアパフォーマンス)理論」を構築し、2007年に独立。2009年に株式会社PCPを設立しました。

アスリートから
ビジネスパーソンまで、
パフォーマンスアップを支援

現在はアスリートの方以外にもさまざまな方のパーソナルトレーニング指導をされていますが、どのような想いを持って、どのような活動をされているのでしょうか。

会社設立当初から「身体を変え、常識を変え、世界を変える」という理念をベースに活動をしていて、今は「パフォーマンスアップで日本を元気に」というビジョンの実現を目指しています。事業としてはアスリートやアーティスト、あとは経営者の方などにトレーニング指導をしているほか、都内でパーソナルトレーニングジムを3店舗運営しており、最近はトレーナー養成スクールも始めました。

トレーニングの特徴としては、筋力アップやボディメイクではなく、パフォーマンスアップに特化していること。トレーナーを始めた当初からそのスタイルでやっているので、トレーナーを探している方の中では「パフォーマンスアップなら吉田」みたいなイメージが定着していて、ありがたいことにいろいろな方からご紹介をいただくんです。EXILEさんのフィジカルトレーナーを始めたのも、そのころにトレーンング指導をさせてもらっていた別の芸能人の方が効果を実感して、EXILEのメンバーに話したことがきっかけでした。当時はアーティストがトレーニングをすることが珍しい時代でしたが、年々トレーニングが身近になっていて、今ではたくさんのアーティストや経営者の方のトレーニングを指導させてもらっています。

体は人の活動の基本となる部分で、体が元気になれば、心も、脳も元気になることが最近の研究で明らかになっています。それぞれの方の目的に合わせたトレーニングメニューでフィジカルレベルを高め、パフォーマンスを発揮する人を増やすことで日本を元気にしたい。そう思いながら指導に励んでいます。

異業種参入で変わる
フィットネス業界、
自分も変わるとき

お話を聴いていると、すごく順調に事業成長されているように思います。そうした中、どうしてグロービス経営大学院に入学しようと考えられたのでしょうか。

もともとのきっかけは、異業種からフィットネス業界への参入が増えていることへの危機感からでした。フィットネス業界は職人気質なところがあって、本業のトレーニングについてはみんな勉強熱心なのですが経営は無頓着な方も多いんです。僕もトレーニング関連の資格は30個くらい持っていましたが、経営はまったく学んできませんでした。これまではお客さまからの紹介のおかげで、感覚的な経営でもなんとかやってこられたけど、このままではまずい。業界の変化に対応するためにも「経営をゼロから学びたい」と考え始めました。

そのころに、ある後輩と飲みに行きました。その後輩は飲み仲間なんですけど、別業界のビジネスで成功していて、経営にも詳しいんですよね。いつの間にそんなに詳しくなったんだと聞くと彼が「グロービスに通っている」と答え、そこで初めてグロービスの名前を知りました。すぐにホームページをチェックして、その日のうちに「クリティカル・シンキング」の体験クラスに応募しました。

体験クラスには、ビジネスの最前線で活躍している人や強い想いを持った人たちが、いろいろな業界から本気で経営を学ぼうと集まっていて、その熱量に圧倒されました。もし、こういう人たちがフィットネス業界に参入してきたらと考えると、「ここで乗り遅れるわけにはいかない」と気合も入り、すぐ入学を決めました。

ノウハウを仕組み化し、
同じ想いを持つトレーナー
育成へ

グロービスで学んだことで、PCPの経営はどう変化しましたか。

まず発見だったのは、トレーナーとMBAは一見かけ離れているようで、実は似ているところがすごく多いことですね。例えば経営では「ヒト・モノ・カネ」という経営資源がありますが、トレーニングにも「運動・栄養・休養」という考えがあります。また組織のパフォーマンスアップを考える際に用いられる「7S」というフレームワークも、僕らが普段つかっている「パフォーマンスギア」というフレームワークとすごく似ているんです。そうしたことから、経営判断を行うときも、トレーニングに置き換えるとシンプルに考えられるようになり、方向性が定まりやすくなりました。

逆もしかりで、MBAでの学びがトレーニングに活きるケースもよくあります。例えば、「クリティカル・シンキング」で学んだ論理的思考術は、自分のトレーニング方法が本当にお客さまにとって最適か、自分の得意な指導だけになっていないか判断する上ですごく活きています。

また、最も大きかったことは、さまざまなフレームワークを得たことで、これまで自分の中にしかなかったノウハウを仕組み化できたことですね。人に教えられるようになったんです。実は長年、ノウハウを100%教えきることは難しいと思っていて、クオリティーが下がってしまうリスクから事業の拡大を考えてきませんでした。でも仕組み化できたことで、パーソナルジムを複数店舗オープンさせたり、トレーナー養成スクールを開校したり、より多くの方へ僕たちのトレーニングを届けられるようになりました。

サービスの裾野を広
げて、体から日本の
未来を変える

グロービスの学びが事業拡大につながって私たちもうれしく思います。最後にこれからの目標について教えてください。

今後も「パフォーマンスアップで日本を元気にしていく」というビジョンを目指して、活動を続けていきたいと考えています。これまではアスリートやアーティスト、経営者の方のトレーニング指導を中心に行ってきました。その背景には、影響力のある方が高いパフォーマンスを発揮することで、ファンを始め日本中の人も元気にできるという考えがあったからです。でも、ビジョンの実現を加速させるためにも、さらに裾野を広げてこれからは一般の人向けにもトレーニングを広げていきたいですね。パーソナルジムやトレーナー養成スクールもその施策のひとつですし、最近は企業とのコラボレーションも増えて、届けられるサービスの幅も広がっています。また、地方からお声がけいただく機会も増えて、先日も北海道の市町村で講演をさせていただきました。

僕らのトレーニングが浸透することで体も心も元気な40代、50代、60代が増えて、国民一人一人が高いパフォーマンスを発揮できるようになれば、超高齢化社会を迎える日本の未来も明るくなる。体からこの国を元気にしていきたいです。

株式会社PCP

代表取締役CEO

吉田 輝幸さん

中・高・大学は陸上選手として活躍するも度重なるケガに泣く。大学卒業後は、果たせなかったオリンピック出場の夢をアスリートに託すべく、トレーナーの道へ。2009年に株式会社PCPを設立し、トップアスリートの指導はもちろん、アーティストからビジネスパーソンまで幅広い層にパーソナルトレーニングを提供している。グロービス経営大学院2021年卒業。

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