リーマン・ショックによる業績不振から這い上がるべく、真剣に経営を勉強し始めた石原さん。学びを活かしてさまざまな改革に踏み切った。
石原氏:当時は名古屋と東京で組織構成が異なっていました。東京の店舗ではスタッフ皆がどの分野の商品もマルチに扱うことができ、店長がすべての権限を持っていました。一方、昔からのやり方が定着していた名古屋では、スタッフの担当が分野ごとに分かれており、それぞれの権限を現場ではなく各部長が持っていたのです。
そこで、名古屋の組織改変を行い、お客様により近い現場担当者の責任権限を強め、早急な対応が出来るようにしました。さらに、買い取った商品をメンテナンスして商品化する業務を、店舗ではなく商品センターに集約して行う形に変えました。商品センターには鑑定経験の豊富なベテランを配置することにし、立ち仕事が辛い年齢になっても効率的にスキルを発揮できる環境を整備。その分若手には店舗を任せ、商品化業務にとられていた時間や労力を接客にあてられるようにし、意欲次第で店長にキャリアアップできるチャンスも増やしました。
粗利率が改善されてきてからは、ポイントカードの導入にも着手。実をいうとそれまで弊社には顧客データベースがなく、DMすら送ることができない状況でした。リユース品に対する負のイメージにより、来店後に連絡されることを拒むお客さまがいらっしゃるなどの根深い理由があったのです。
必要なのは「コメ兵は信頼できる」というブランディング。陳列商品の数を7割程度に抑えてディスプレイにこだわったり、スタッフの身だしなみや接客マナーを徹底的に向上させたりと、百貨店に引けを取らない店舗づくりを行いました。そのうえでポイントカード制度を導入してCRM戦略を実践するなど、改革は多岐にわたりましたが、グロービスで学んだ経営知識と従業員との密なコミュニケーションにより業績は着実に改善されていきました。