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仲間が集ってくるたびに、世の中が照らされていく。
希望は、いつも、誰かの志から生まれるんだ。
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さぁ、未来の話をしよう。
グロービス経営大学院
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私たちはなぜ、志を大事にするのか。

書籍『志を育てる』執筆メンバー鼎談

2011年に刊行されて以来、グロービス経営大学院の必読書になっている書籍『志を育てる』。志とはそもそも何か、どのようなプロセスで醸成されるのかを、多くのビジネスパーソンへのインタビュー調査から解明しようと挑んだ書籍です。その内容は、当時の在学生と教員の「研究プロジェクト」の成果がもとになっています。プロジェクトに参加したメンバーから二人の卒業生を招き、当時の思い出や、あらためて志を持つことの意味について、話していただきました。
  • 2010年大阪校卒業
    野本 周作さん(写真右)
    株式会社エー・ピーホールディングス 取締役 執行役員 COO
  • 2010年大阪校卒業
    森 勇樹さん(写真左)
    スリーエム ジャパン株式会社 マーケティングマネジャー
  • グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長
    田久保 善彦(写真中央)

志ってなんだ。
始まりは雲をつかむような
議論からでした。(田久保)

  • ーーあの書籍の始まりは「研究プロジェクト」という科目からだったのですね。
    田久保 そうです。2009年は「志」をテーマにした研究をしようと学生から参加者を募ったんです。参加してくれた6人の中に、この2人がいました。
    野本 田久保さんは当時、38歳くらいですよね。ということは、今の僕らより若かったんだ。
    森 信じられない。
    田久保 年齢も近くて、友だち感覚でワイワイガヤガヤ言いながらやってたのが当時だったなぁ。
    野本 卒業研究みたいな位置づけで、2009年の10月から2010年の2月まで、半年くらいのプロジェクトでした。
    森 プロジェクトが終わってから研究内容を書籍にするということになって、さらに活動を続けたんですよね。
    田久保 そうだった。面白い結果になったので本にしたいと話したら、東洋経済新報社さんがいいよと言ってくれたんだよね。科目としての半年の期間が過ぎても、2人は執筆や編集にコミットしてくれて、そこから1年ぐらい議論したり取材したりして、2011年の10月に出版できたんだ。
    野本 「研究プロジェクト」の段階で、実績をあげている40人のビジネスパーソンの志のあり方についてのインタビュー調査を手分けして行って、分析シートをまとめていたんです。そこから8人の方を書籍では取り上げることにして、それぞれが自分の取材したい人を追加取材して書いていく感じでしたね。追加取材は自分自身がモデルにしたい人を担当したので、すごく楽しかったです。
    田久保 普通は会えない人が、本にしますと言うと、会ってくださったね。
    野本 そうです。けっこう根掘り葉掘りお話を聞かせていただいて。
    田久保 ひとりセミナー状態。
    森 ほんと、そうでした。私は当時、自分の会社の取締役だった昆政彦さんにインタビューさせてもらったんです。それがきっかけで、その後も昆さんとお話しするようになって。最後、社長にまでなられましたけど、社長というよりずっとメンターみたいな感じで相談にのってくださいました。
  • ーー研究の方向性は田久保先生からディレクションがあったのですか。
    田久保 いや。ほんとに雲をつかむような話から始まったんです。いちばん最初は「志」という言葉も人によって全員定義が違うので研究にならないですよね。定義を決めなきゃっていうだけで3ヶ月ぐらい議論していた。ああでもないこうでもないって、だいぶ揉めてましたよね。
    野本 大変でした(笑)。田久保さんも、研究のサポートに入ってくださっていた副研究科長と、言葉で殴り合うような激しい議論をしてましたよ。僕とか森くんとかは「あーあ」みたいな感じで見ていて、「こういうことですよね」「そろそろ時間なんで、やめたほうがいいんじゃないですか」みたいな(笑)。
    森 そうそう。それが楽しかった。
    野本 最近でも、本を読んだ人が、執筆に私が関わっていることを知って、「小さな志でも大丈夫なんだ、目の前のことをちゃんとやることの大切さを知りました」と言ってくれたり。「志」がここまで普及してきた源流の一つにはなれたのかな。
    田久保 ありがたかったですよ。学長の堀さんが、志が大事だとずっと言ってたんだけど、具体的にどうしたらいいのか、どう考えたらいいのか、誰もが悩んでいた。この本を出版してからは、本科生として入学した人は原則、一回は読んでいるはず。グロービスで学ぶ人たちの基本的な考え方をつくることができてよかったと、ほんとにそう思います。

この10年を頑張ってこれたのは、
志を考え抜く、
あの経験があったから。(森)

  • ーーお二人にとっても、書籍化までの活動は志を育む上で有益なものでしたか。
    森 当時の自分は志なんて持っていなかったし、どういうのが志かっていうことすらよくわかってなかった。いろんな人とお話をさせていただいて、志を育むステップがわかったことで、自分が今、どこにいるかとか、キャリアを考える道筋がついた。書籍化プロジェクトも含めて、自分の志を考え抜く、あの経験があったおかげで、この10年間、頑張って来れたかなと思います。マーケターになったばかりだった自分が、新商品のリリースプロジェクトを立ち上げる中心的な存在になれて、その後、全社目線で見るポジションを獲得できて、そして今、グローバル事業展開をするビジネスの中でマーケターになることができました。2018年には8000人くらいのマーケターの中から25人だけ選ばれるグローバルアワードを受賞できたんです。
    野本 それは相当、凄いね。
    森 SNSとかで野本さんや同級生や先輩が活躍している姿を見たり、その後も田久保さんが志の大事さを熱く語り続けているのを見るのが支えになりましたね。ちょっと話はずれますが、私は3ヶ月に1回、グロービス時代の仲間と振り返りをする「互援ネット※」という会にも参加しているんです。今回、この鼎談に参加することになって、あらためて、その会で自分が書いてきた10年の振り返りシートを見返してきたんです。悩んでいる時期もありましたが、そこで相談し合いながらすごく成長できてきたことを感じました。
    ※互援(ごえん)ネット:グロービスの卒業生だけの相互支援ネットワーク。8〜10人が1グループとなり、3ヶ月ごとに集まり、グロービス独自の手法のもと、ビジネスを含む人生全般の課題や展望を共有し、お互いの成長を支えあう場。
    田久保 グロービス、ちょっといいことしてますね(笑)。
    野本 僕も今回の鼎談のために、卒業のときにどんなふうに志を宣言してたかなと見返してきたんです。卒業間際の「コミットメントセッション」で僕が宣言していたのは「日本に住む人たちが生活の中で感じる喜びをもっと増やす」でした。僕は卒業後、パナソニック電工から転職して、コンサルティングファームを経て、今は食の事業に携わっているわけですが、良かった、ズレていないって安心したんです。自分の心の拠り所というか、何のために仕事をしているか、あ、自分はやっぱりこういうことを成し遂げたかったんだなと戻れるところをつくってくれたことはすごくありがたい。
    森 「生活の中で感じる喜び」。今の食の仕事、そのままだね。
    野本 そう。やっぱり僕は普通の生活をもっと彩り豊かにすることにフォーカスを当ててるんだなぁと、あらためて思いました。
    田久保 積み上げてきたものを振り返ってみて、人生を貫く志が育っていることに気づくこともあるよね。
    野本 行き来するんでしょうね。こうなりたい、だから目の前のことを頑張ろう、そして振り返って、なんかちょっと違ってきたんじゃないかなって調整する。そしてまた積み上げていく。ふとした時に振り返る、みたいな。先を見据える、後ろを振り返る、両方をやっていくことなのかなあと、今、僕は実感しています。

志があることで、
くじけてたまるかと思える。
向き合うことで謙虚にもなれる。(野本)

  • ーー変化が大きいと言われる時代において、志の意味はより大事になっているとも言えるでしょうか。
    田久保 ここ数年の時代の変化を捉えて、これまでにないスピードでとか、これまでにないマグニチュードで、とかっていうのは本当かなって私は思うんです。明治維新のときのほうが大変だったんじゃないかなと。でも、高度成長期、ひたすら大企業にしがみついていればよかった時代とはもちろん違う。自分の方向性は見出していかないと、何をやればいいのかわからなくなりますよね。高波や強風の海にポーンと投げ出されたとき、どっちに行きたいという目印がまったくないと、ただ波に揉まれているだけになる。同じ会社にいても、ちゃんと生きる方向性がある人とない人とでは、だいぶ生き方が違ってくるとは思いますね。
    野本 そうですね。コロナが来るなんて思っていなかったし、グローバリゼーションや市場環境の大きな変化もある。心が折れそうになることもあるけど、そんなとき、何を支えにするかというと、志だなと思います。そんなに毎日見返しているわけじゃないですけど、やっぱり心のどこかにずっと置いている。こういうことをやりたいから今まで頑張ってきたのに、ここで挫折してたまるかと。
    森 私は自分の机の前に貼ってます。今年の目標とかの中に、志を貼っていて必ず見る。そうしないと壁にぶつかったときに挫けそうになるので(笑)。一方で、この10年で実現できているところもあって、もう一度、これまでの自分を客観視して、次に向かうタイミングが来ているのかもしれないという感覚もあるんです。この10年は本当に全力でした。田久保さんに「見える化リスト」をもらって、毎日英語を何時間やったかとか、コーチングをやったかとか、自分の10〜15個のルーティーンを全部見える化して積み上げるうちに、能力が高まってきて、いろんなポジションやお仕事をいただけるようになった。全力を出すことで、次の志が見えてくるのかなと思います。
    田久保 燃やした火が大きければ大きいほど次に進めるよ、きっと。書籍を『志を育てる』というタイトルにしたのも、積み上げて積み上げて、育てるものだと思ったから。ジャンプアップできるようなおいしい技はない。神の啓示でボーンと志が降ってきたなんていう人はインタビューしてもいなかった。「志が見つかりません」って表現する人って多いけど、「いやいや、見つけるものではなく、つくり込まないと! 育てないと!」と、そのたびに言っています。
    野本 まさにその通りですね。
    田久保 それからやっぱり志を達成してる人って仲間を大事にしてる人が多いと思う。仲間がいるからとか、一緒に学んだ当時を思い出してとか、この人のために耐えられるとかがないと、折れてしまいやすいのかも。
    森 ほんと仲間はありがたいです。互援ネットでも支えられてきました。
    田久保 幕末の薩摩と長州の人たちも、いろんな人のネットワークをつないでパワーにしていったところもあるじゃないですか。そういう意味では、志をほんとにやりたいんだと思えたときにこそ、一人では何もできないということに謙虚に向き合えて、素直に協力を求められたりする。そういうこともあるのかもしれないと思うけど、どう思う?
    野本 確かに、ベクトルがお金や自分に向かずに、成し遂げたい「こと」にちゃんと向かっていると謙虚になれる。それが結果として、周囲の人を惹きつけていくようになるのかもしれないと思いますね。

能力、志、人的ネットワークの
成長をさらに加速させる場所へ。
(田久保)

  • 田久保 最近、ある方に言われたんです。グロービスがコミュニティをしっかりつくれているのは、キーワードでのつながりがあるのが大きいんじゃないかと。確かに、それぞれの科目のなかで教員陣が何度もしつこく繰り返し語るキーワードがあって、その言葉を聞くとグロービスの卒業生はピンとくる。そのいちばん大きなのが「志」かなと。「志」という言葉が出てくると、みんながニヤッと笑って、だよねって思える。こうしたキーワードが校風みたいなものになっているのかなあと思いました。
    野本 確かに卒業生というだけで、僕らが何かつながりを感じているのは、キーワードを共有しているからなのかも。新幹線の中でグロービスの教材を読んでいる人を見ると、声はかけませんけど、頑張れって思う。そういう親近感はいつも湧きますよね。
    田久保 安心感なのか、信頼感なのか、そういうつながりがもっと広がってくといいね。
  • ーー今後のグロービス経営大学院には、こうあってほしい、こうありたいという想いはありますか。
    森 私たちのときよりも強化されていますが、グローバルなダイバーシティのなかで英語で議論したり、グローバルリーダーとしてどうあるべきかをさらに学べる場になっていってほしいと思います。
    野本 インターナショナルプログラム※を始めたり、オンラインクラスを始めたり、いつも時代に合わせて進化している感じは、見ていて正直、すごいなと。これからも時代の変化に合わせた「創造と変革の志士」を輩出し続けてほしいです。
    ※2009年から「英語MBAプログラム」をフルタイム、パートタイム、オンラインで提供。世界各国から学生を迎え、インターナショナルな学びの環境を実現している。
    田久保 そうですね。コンテンツを提供する場所や形態は時代に応じてこれからもどんどん変わっていくと思います。ただ「能力開発」「志」「人的ネットワーク」というグロービスの3つの教育理念は、それ以上でもなくそれ以下でもなく、変わらないものだと思っています。最近は、その3つの教育理念はそれぞれ独立した事象ではないなあと、私は強く思うようになっています。能力が高まると、そういうレベルの人たちのネットワークに入る機会が生まれるし、この人たちと知り合えたからより視界が開けて、向き合う範囲が広くなる。より大きなことを実現させたいとなったときに、また能力が上がる。つまり、「能力」と「志」と「人的ネットワーク」って、三つ巴になってぐるぐる回りながら成長していく。ANDでつながっていて、絡みあって大きくなっていく。それを加速できる場になったらいいなって考えています。
    野本 ジャングルを切り開きながら進んでいくために必要なものの、すべてがここには揃ってる感じですよね。
    森 私が入学したのは30歳ぐらいでしたけど、そこから人生が楽しくなったように思いますね。
    野本 僕も人生が変わりました。世の中に貢献している手触り感がすごく増した。僕らも、グロービスを出て世に放たれるとこんなふうに活躍できるんだと思われる卒業生であり続けられればと勝手に思ってます。
    田久保 ぜひ! 卒業生の活躍は、在校生に間違いなく勇気を与えるので。

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