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投稿日:2024年04月16日

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ユニコーン企業とは?日本に少ない理由とその条件

ユニコーン企業とは

ユニコーン企業とは、評価額が10億ドル以上で、設立から10年以内の未上場のテクノロジー関連のスタートアップのことです。さらに企業価値が100億ドル以上の未上場企業は「デカコーン」、1,000億ドル以上の場合は「ヘクトコーン企業」と称されます。

ユニコーン企業の条件は?

ユニコーン企業は、次の4つの条件を満たす企業と定義されます。

  • 設立から10年以内であること
  • 評価額が10億ドル以上であること
  • 未上場の企業であること
  • テクノロジーを扱う企業であること

「テクノロジーを扱う企業」という点については、厳密な条件とはいえないものの、現代の急成長企業の大多数がテクノロジー関連であることからこの条件が考慮されます。また未上場であることが重要な要素であり、上場するとユニコーン企業の定義から外れます。例えば日本の「メルカリ」はかつてユニコーン企業として知られていましたが、2018年に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、ユニコーン企業の定義からは外れたと言えます。

ユニコーン企業の言葉の由来とは?

「ユニコーン企業」という用語は、ベンチャーキャピタル「カウボーイ・ベンチャーズ」の創業者であるアイリーン・リー氏によって2013年に提唱されました。当時、評価額が10億ドルを超え、設立から10年以内の未上場のベンチャー企業は非常に稀でした。大規模な利益を生み出し成長する様子から、伝説の生き物である「ユニコーン」に喩えられ、条件を満たすベンチャー企業を指して「ユニコーン企業」と呼ぶようになりました。

ユニコーン企業とデカコーン企業・ヘクトコーン企業の違いは?

「ユニコーン企業」とは、上述したように評価額が10億ドル以上で設立10年以内の未上場ベンチャー企業のことを指し、2023年時点で約1200社が存在します。一方で「デカコーン企業」とは評価額が100億ドル以上の未上場企業を指し、世界中で約61社がこのカテゴリーに属します。「デカ」という用語は10倍を意味し、「ユニコーン」の「コーン」と組み合わせて作られた言葉です。

さらに「ヘクトコーン企業」とは評価額が1,000億ドル以上の未上場企業を指します。TikTokを運営するByteDance社、イーロン・マスク氏が率いるSpaceX社、越境アパレルECを手がけるSHEIN社などがこのカテゴリーに該当します。これらの企業の多くはインターネット関連事業を展開するスタートアップです。ただし赤字経営を続ける企業も存在し、上場後に評価額が低下するケースもあります。また、日本では残念ながらまだデカコーン企業やヘクトコーン企業は誕生していません。

世界のユニコーン企業数(国別)

世界の「ユニコーン企業」「デカコーン企業」「ヘクトコーン企業」の数を見てみましょう。

世界の「ユニコーン企業」「デカコーン企業」「ヘクトコーン企業」の数

世界でユニコーン企業が増え始めた背景とは?

ユニコーン企業の数は年々増加傾向にあります。この背景には、ベンチャーキャピタル(VC)の普及が大きく影響しており、これにより企業は上場せずとも多額の資金調達が可能になりました。VCは、成長が期待される未上場のベンチャー企業への投資により、企業の成長に伴う大きなリターンを狙います。アメリカでは2021年に、VC投資総額が過去最高の3,153億ドルに達しました。また、大手企業がスタートアップの買収を積極的に行うことも、評価額の上昇とユニコーン企業の増加に寄与しています。

世界でユニコーン企業が増え始めた背景

さらにIT技術の進化がインターネットやクラウドサービスの普及を促し、起業やビジネスの初期投資のハードルが低くなりました。IT関連のベンチャー企業は、以前に比べて低いコストで事業を展開できるようになり、多くの企業がユニコーンへと成長するチャンスを得ています。

日本にはユニコーン企業が少ない?その理由は?

日本にユニコーン企業が少ない理由としては、特有の雇用体系、起業に消極的な社会通念、資金供給の弱さ、少子高齢化による人材不足、日本語圏市場の低成長などが挙げられます。経済産業省が2020年に発表した「起業家精神に関する調査報告書」では、日本人の事業機会認識指数が10.6%と、国際的に見て非常に低いと指摘されています。日本では新卒一括採用が主流で長期雇用が奨励され、社会通念として起業へのハードルが高いとされています。また一度の失敗がキャリアへの復帰を困難にするため、起業家が挑戦しにくい環境があります。

経済産業省「起業家精神に関する調査報告書」

さらに未上場のベンチャー企業に資金を供給するベンチャーキャピタル等の投資家の厚みが不足しています。2022年のベンチャーキャピタルによる資金調達額は他国と比較して低く、これはベンチャー企業の規模が急拡大しないことと表裏一体です。コロナ禍を除く2020年以降は年々増加傾向にあったものの、2022年には再び減少していることが確認されています。

ベンチャーキャピタル等投資動向調査(2022年度速報)

日本では少子高齢化による人材不足が社会問題となっており、特にIT人材の不足が顕著です。大手企業が高額な年俸を提示する一方で、スタートアップ企業は優秀な人材の確保に苦戦しています。また、日本の少子高齢化は国内市場の成長期待にも陰を落としており、ユニコーンを目指すことへのハードルが高くなっています。このような複合的な要因が重なり、日本におけるユニコーン企業の数が世界と比較して少ない状況が続いているのです。

日本政府によるユニコーン企業を増やす取り組み

グローバルな競争が激化する中、日本政府はユニコーン企業の創出などを目指して2022年に「スタートアップ育成5ヵ年計画」を策定しました。この計画では、2027年までにスタートアップへの投資を10兆円規模とし、将来的にスタートアップを10万社、ユニコーン企業を100社創出するとしています。この計画でスタートアップは、社会的課題を成長のエンジンに転換して、持続可能な経済社会を実現する、まさに「新しい資本主義」の考え方を体現するものと位置づけられています。以下に、同計画の3本の柱を紹介します。

  • スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築
    IT分野の若い人材をメンターが支援する事業や、海外における起業家育成拠点の創出、大学発のスタートアップ支援、研究分野での担い手拡大、知財戦略などが含まれます。
  • スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
    官民のファンド等からの出資強化やスタートアップへの投資促進措置、国・関係機関がスタートアップと取引できる制度の見直し、海外スタートアップや海外ベンチャーキャピタルの呼び込み等が挙げられています。
  • オープンイノベーションの推進
    リスキリングのための投資、M&Aやスピンオフを促進する施策などが挙げられています。

「グロービス経営大学院」でビジネスに必要なスキルを身に付けよう

将来、日本では官民一体でユニコーン企業の増加に向けた施策が強化されることが期待されます。この動きの中で「ユニコーン企業についての理解を深めたい」「将来的に起業を志している」という方々に、グロービス経営大学院での学びが役立つでしょう。

グロービスは教育事業に加えて、独立系としては国内最大規模のベンチャーキャピタル事業「グロービス・キャピタル・パートナーズ」、日本におけるユニコーン企業100社の創出を目指すアクセラレータープログラム「G-STARTUP」を手掛け、国内のベンチャー企業の輩出に貢献しています。

グロービス経営大学院では、上記グロービス・キャピタル・パートナーズによる投資から得られた豊富な経験と知識をケースに反映させ、「ベンチャー・マネジメント」「ベンチャー戦略プランニング」「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」といった科目を展開するほか、ビジネスの基本から時代の変化に適応した実践的な思考力を養うカリキュラムを提供しています。

さらに、学生の起業活動を支援する半年間におよぶ「研究・起業プロジェクト(G-INCUBATE)」、ビジネスプランコンテスト「G-CHALLENGE」、在校生または卒業生が起業したベンチャー企業を対象とする投資プログラム「G-GROWTH」など、創造の生態系をつくる仕組みを充実させています。

まとめ

国際的な競争がより激化する中、日本ではビジネスを牽引する新しいユニコーン企業の登場が強く求められています。起業や投資を促進するための環境整備が進行中であり、同時にユニコーン企業を目指す経営者やIT分野に精通したエンジニア、グローバルな競争に対応できるマーケターなど、多岐にわたるスキルを持つ人材が求められています。ユニコーン企業の増加は各業界の活性化に寄与し、より良い社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

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