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投稿日:2023年06月06日

投稿日:2023年06月06日

天職の見つけ方#2 「パッションを確かめる旅」の繰り返しで天職に出会う 山中礼二

山中 礼二
KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー/グロービス経営大学院 教員

「今の生活に不満はないけど、もっとやりがいのある仕事に就けたら」「でも将来、何がしたいか自分でもわからない」。なんとなくモヤモヤ悩む日々を送っている人も多いのでは。「今の仕事は自分の使命であり、やりたいことそのもの」と言うグロービス経営大学院 教員の山中礼二氏に、「やりたいことを見つける極意」について聞いてみた。後編では、天職に出会うまでに山中氏が実践した3つを紹介する。全2回、前編はこちら。(文=西川敦子、聞き手=吉峰史佳)

「好奇心」をエンジンに「スモールアクション」をし続ける

―最初はヘルスケアに興味を抱き、ベンチャー投資の世界に飛び込まれた。そこで東日本大震災が起き、起業家に出会ったことでソーシャルベンチャー全般に関心が向いた、それがまさに天職につながっていきます。ですが、ふつう転職を繰り返してもやりたい仕事にたどりつけるとは限りませんよね。何が幸いしたんでしょう。

山中たまたま上司に恵まれましたし、教育も受けられた。そういう幸運があったと思います。それとは別として、何が幸いしたのかを考えると、大きかったのは好奇心をエンジンに「スモールアクション」をし続けたことかと思います。

たとえばヘルスケアに興味をもったから、老人ホームでインターンをしてみた。なんの貢献もできないだろうけれど、現地の人に誘われて東北の被災地に行ってみた――。

ある意味、自分のパッションを確かめるための“旅”をしていたんだと思います。現地に足を運び、リアルな情景を見て人と話していると、パッションが動き出すのを感じる。だから次にやりたいことが見えてくる。その繰り返しだと思うんですよね。もし、リアルな情景を見ても、パッションが動き出さなければ、それは芯からやりたいものじゃない、ということがわかりますよね。旅が自分の視野を広げたし、人生を変えたように思います。

天職を見つけるためにオススメの方法3つ

―そもそもパッションがなくて、モヤモヤしている人も多い気がします。毎日手ごたえが感じられず、ふと「一生、有意義な仕事ができないんじゃないか」「自分らしい人生を送れないんじゃないか」と考えたりして……。そんな人にはどうアドバイスしますか。

山中:たしかに今の仕事にあまり納得していなくて、でも何をしたらいいかわからず、漠然と不安を感じることはしばしばあると思います。

オススメは3つあります。1つめは、繰り返しになりますが、いろんな景色を見て回ること。旅でなくてもいい。目的は遊びでも趣味でもいいと思います。

パッションはなくても「好奇心」はあったりしませんか?好奇心の赴くまま動いて、ついでにあちこちに首を突っ込んでいると「あっ、これ面白そう」と思えるものが出てきたりします。「首突っ込み力」って大事ですよ。起業家に話を聞くと、最初は単に首を突っ込んだだけだったというパターンがけっこうあるんですよね。それが起業につながるわけです。

2つめは、「2枚目の名刺」を持つことです。最近、プロボノをする人も増えていますよね。職場が営利企業なら、非営利セクターの活動をすると、ネットワークが広がって人生、絶対豊かになりますよ。

オススメの3めは「学ぶ」こと。動き回ってみて、ちょっと登ってみたい山が出てきたら都度、役立ちそうな知識を身につける。そうすれば、「コーリング(天職)」が降ってきたとき「その分野ならだいたいわかる」と前向きにチャレンジできます。学ぶ過程で人脈も広がりますから、自然とチャンスをつかみやすくなるはずです。

手持ちのカードでキャリアをつくってもいい

山中:キャリアというとまず目標設定し、ビジョンドリブンでスキルや経験を積み重ねていくイメージがありますが、必ずしもそうとばかりはいえないのです。成功した起業家には、手持ちのリソースを活用しながら進んでいき、結果的に大きなことを成し遂げたタイプが多いという説もあります。これを「エフェクチュエーション(実効理論)」といいます。

キャリアについても、同じことが言えるのかもしれません。そういえば、村山昇さんが知見録に寄稿してくださったコラム「『自分の登るべき山』はどこにある!?」が名文で、ご一読をお勧めします。

―なるほど。遊び、学んで、働いてみたら進むべき道も見えてきそうですね。ちなみに、天職があるかも、と思って探すことについて、そんなのは夢を見すぎではないかという意見もあると思うのですが、どう思われますか。

山中:夢を見すぎちゃいけないなんて全く思わないです。仕事に意味を求めるのは、人間の本質的な心の動き。それがまだ見えないときに、モヤモヤするのは自然なことだと思います。ぜひ、好奇心のアンテナを伸ばし続けて、まずは一歩、新しい景色に向けて踏み出してみるのが良いのかもしれません。

山中 礼二

KIBOW社会投資ファンド 代表パートナー/グロービス経営大学院 教員