グロービス・ライブラリー

  • 会計・財務

2019年05月15日

2019年05月15日

土地を売却したら売上になるの?

溝口 聖規
グロービス経営大学院 教員

会社所有の土地を売却した場合、売上になるのでしょうか?答えは、売上になる場合、ならない場合の両方があります。


P/L上の売上高は、継続的、日常反復的に繰り返される商取引から生ずる収益です。資産の売却のような一時的、臨時的な取引による収益は売上にはなりません。例えば、会社の遊休土地を売却するような場合は臨時的な取引と考えられますので、売上高には該当せず、特別損益として処理されることになります。この場合、売却による収入額と土地の帳簿価額の差額を特別損益として計上します。


例:土地売却額150 土地帳簿価額100の場合、特別利益50(150-100)


しかし、継続的に行われる取引であれば全て売上高になるかというとその限りではありません。継続的に行われる取引の内、会社が事業として行っている取引から生ずる収益のみが売上高となります。例えば、不動産業を営む会社が、事業として土地を売却するようなケースでは、これにより得られる収益は売上高となります。しかし、事業以外の取引から得られる収益の場合は営業外取引となります。なお、営業外取引となる場合、土地の売却による収入が営業外収益とされる一方で、土地の帳簿価額は営業外費用として処理されます。


例:土地売却額150 土地帳簿価額100の場合、営業外収益150、営業外費用100

対象となる取引が会社の事業に該当するかどうかは、定款に会社の事業目的として掲記されているか否かで判断するのが一般的です。会社の定款には、会社が現在及び将来営む主な事業内容が列挙されています。会社の成長と共に事業を多角化することも考えられます。定款を変更するには株主総会での特別決議が必要になりますから、頻繁な定款変更は避けたいところです。そこで、定款の事業目的には「前各号に付帯関連する一切の事業」と付け加えるのが通常です。どこまでが定款に記載された事業に付帯関連する事業と考えるかは見解が分かれるところです。


あくまで私見になりますが、対象となる取引が会社の事業、すなわち売上高として計上されるかどうかは、対象となる取引が定款に記載されているという形式的な要件だけでなく、会社が実際に事業として営んでいるかどうかの実質的な状況を併せて考えます。実質的な状況とは、例えば会社が事業として行っている場合、会社の組織上担当部署が存在しているか、事業計画、予算設定、適切な人員配置がなされているかどうか等です。

溝口 聖規

グロービス経営大学院 教員

京都大学経済学部経済学科卒業後、公認会計士試験2次試験に合格し、青山監査法人(当時)入所。主として監査部門において公開企業の法定監査をはじめ、株式公開(IPO)支援業務、業務基幹システム導入コンサルティング業務、内部統制構築支援業務(国内/外)等のコンサルティング業務に従事。みすず監査法人(中央青山監査法人(当時))、有限責任監査法人トーマツを経て、溝口公認会計士事務所を開設。現在は、管理会計(月次決算体制、原価計算制度等)、株式公開、内部統制、企業評価等に関するコンサルティング業務を中心に活動している。


(資格)
公認会計士(CPA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、公認内部監査人(CIA)、地方監査会計技能士(CIPFA)、(元)公認情報システム監査人(CISA)