グロービス・ライブラリー

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2018年11月16日

2018年11月16日

テクノベートが創り出す未来~リーダーが今やるべきこと~

モデレーター

小泉文明氏
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO

パネリスト

高橋智隆氏
株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長、東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授
髙橋政代氏
理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー
安宅和人氏
ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)

※あすか会議とは


経営者、政治家、学者、メディアなどのトップリーダーと、グロービスのMBAプログラムの学生(在校生・卒業生)および教員が一堂に集い開催する合宿型のカンファレンスです。第1回あすか会議は2005年、奈良県飛鳥荘にて80人の参加者を迎えて開催。第14回目となる2018年のあすか会議には、東京、大阪、名古屋、仙台、福岡、オンライン、英語MBAの学生1,400名が京都に集い開催しました。

テクノベートが創り出す、今後10年の変化のトレンド

AIの進化はとどまるところを知らない。将棋やバトルゲームでは人間を負かし、家庭ではスマートスピーカーがさまざまな雑務をこなし、医療分野では手術や創薬を担う。AIのみならずあらゆるテクノロジーが急速に進化する現代社会において、私たちが認識しておくべきこと、やるべきこととは何だろうか。


次の10年を見据えるうえでの重要なトレンドについて、ヤフーCSOの安宅和人氏はこう語った。


「データ×AIが多面的に広がり、ものづくりが分子レベルになり、データとライフサイエンスが融合。文系官僚的マネジメントは崩壊しつつある。これからはテクノロジー・アーキテクト(ITテクノロジーのスペシャリスト)の時代。また、世界的に人口調整局面に入っていることも大きなトレンド。全世界的には人口は増えるが、先進国および中国の生産年齢人口の減少は向こう数十年続くだろう。一見増加基調の米国も移民を止めれば遠からず縮小曲面に入る。」


それをふまえ、富の生まれ方が根底から変わったことにも言及。


「今はスケールよりもこれらの技術革新をテコにした刷新が価値を生む。付加価値の総和、GDPよりマーケットキャップ(時価総額)で先に富が生まれる。そのためには夢を技術とデザインで形にする必要がある。そのためには、ひとつのことを突き詰めるより、領域を超えてつなぎ妄想を形にできるかが重要になる。結果、ほぼ全産業セクターで巨大な伸びしろが生まれ、下克上が起きつつある。革新期であり、R&D投資ゲームに突入。未来に向けて張るか張らないか、の時代が来ている」

スーツの胸ポケットに自社のロボットを入れて登壇した、ロボ・ガレージ社長の高橋智隆氏は、ロボティクス分野における日本の強みと弱みをこう分析した。


「去年、孫さんが買収したボストン・ダイナミクス社は、宙返りロボットで世界を沸かせた企業。日本のASIMOが、転ばないようにバランスを保ちながら徐々に走れるようになったのに対し、ボストン社のロボットは転んで直して転んで直して…を繰り返して、そのうちに宙返りができるようになった。大量の失敗の中に大成功が出るのがこの分野」


「日本は産業ロボットに強いが、以前アマゾンが買収したベンチャーの倉庫内ロボットは日本人の発想を超えた。どの商品をどの棚にしまっても認識できるのがロボットなので、そもそも入荷商品を決まった場所に整頓して収納する必要はない、というもの。日本人はそういう発想がなかなか出てこない。一方で、コミュニケーション用の人型ロボットは、『キャラクター』『愛着』『感情移入』など日本人の得意分野が活きるジャンル。一矢報いることができるのではないか」

AIの進化で、私たち人間はどう変わるべきか

AIと共存する未来についてコメントしたのは、iPS細胞での治療研究に取り組む理化学研究所の髙橋政代氏。


「よく『AI 対 人間』のように言われるが、そうではないと思う。私の研究所にもラボドロイドが導入されているが、お互いが学び合いながら進化している。医療現場でも診断などはAIの管轄になっていくだろう。でも、診断結果を患者の生活や知能をふまえてわかりやすく伝えるのは医師の仕事。将来的にはそれもAIに任せられるようになるかもしれないが、倫理をどこに引くかなど、人間にしかできない役割はある」


安宅氏もまた、AIとの共存を「そんなに心配しなくていい」と断言した。


「ビジョンを描いて、それを実現しようと思うのは人間の役割。見えている未来が嫌だったら変える。それがリーダーの仕事だ。テクノロジーの進化に理解がないとリーダーは務まらないので、雑誌を読むだけではなくテクノロジストと付き合ったほうがいい。これから私たちは凄い知恵に触れることになる。これは相当おもしろいことだと思う」

AI、ロボティクス、再生医療…。さまざまな分野で革新が起こるテクノベート時代だからこそ、ますます問われるようになるリーダーの真価。「未来に向けて張れ!」という安宅氏の力強い言葉を胸に、未来のために今すべきことを改めて見つめ直したい。

編集後記

登壇者による講演またはパネルティスカッション形式でのセッションが終了後、夕食会で参加者同士での交流を楽しんだ後、「ナイトセッション」が開催されました。


ナイトセッションとは、各界のリーダーや著名人、講師たちとインフォーマルな雰囲気の中、少人数でテーブルを囲み、議論し語り合える時間です。普段の講演会やクラス等では知ることができない、登壇者の今の関心や熱い想い、これから成し遂げようとしている事など、この場でしか聞くことができない話をしていただきました。


当日の様子を写真で紹介いたしますので、ぜひご覧ください!

  • (小泉文明氏/株式会社メルカリ 取締役社長兼COO)

    (小泉文明氏/株式会社メルカリ 取締役社長兼COO)

  • (髙橋政代氏/理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー)

    (髙橋政代氏/理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー)

  • (安宅和人氏/ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー))

    (安宅和人氏/ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー))

「あすか会議」は、グロービス経営大学院の教育理念である、能力開発、ネットワーク、志を培う場を、在校生・卒業生に継続的に提供することを目的として、各界で活躍する経営者や政治家、学者および教員などを招待して開催するビジネスカンファレンスです。

モデレーター

小泉文明氏

株式会社メルカリ 取締役社長兼COO

パネリスト

高橋智隆氏

株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長、東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授

髙橋政代氏

理化学研究所 生命機能科学研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー

安宅和人氏

ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)