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キャリアプランの書き方と押さえておくべき6つのポイント

キャリアプランの書き方と押さえておくべき6つのポイント

目次

前回の記事では、何が起こるか予測不可能なVUCA時代において、キャリアプランを立てるメリットと考え方についてご紹介しました。
今回は、実際にキャリアプランの書き方とコツについてご紹介します。

キャリアプラン作成前の心構え「主観を大切にする」

まず、作成に着手する前に、キャリアについて心にとめておいていただきたいことが2つあります。

  • ポイント1:客観的な正解はない。

キャリアには、誰もが目指すべきゴールや画一的な評価基準はありません。
客観的な基準がなければ、「自身にとっていかに納得度の高い選択をしていくか」が重要となります。

  • ポイント2:終着点(ゴール)はない

ゴールだと思っていた到達点は、到達すると通過点となっていきます。
なので、キャリアプランは一度作成したら終わりではなく、随時アップデートしていく必要があります。

自分の判断軸を把握する

正解もなく終着点もないとなれば、主観で判断し選択していかなければなりません。
そして、客観的な意見(世間で良しとされているものなど)に流され、後になってから不満を感じるような就職や転職をしてしまわないためにも、自分の価値観を知っておくことは非常に重要です。
キャリアや働き方を選択するうえでの判断軸を知るためには、自身の「キャリアアンカー」のタイプを把握することが有効です。

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キャリア選びの軸となるキャリアアンカーとは?8つの分類と知るメリット 「若いうちに自分の軸を持ちたい」そう思っている方は多いのではないでしょうか。将来にわたって自身の判断軸を見つけるきっかけとなるキャリアアンカーについてお伝えします

キャリアプラン作成の3ステップ

キャリアプランは、なりたい自分(目標)と今の自分のギャップを埋めるため「アクションプラン」です。
キャリアプランを作成するためのプロセスとコツについてご紹介します。

  • ステップ①:なりたい自分を描く
  • ステップ②:今の自分とのギャップを明らかにする
  • ステップ③:達成手段と中間目標を考える

/キャリアプラン作成プロセスの全体図。なりたい自分(目標)と今の自分のギャップを埋めるため「アクションプラン」を考える。

【ステップ①】理想像(なりたい自分)を描く

キャリアプラン作成プロセスにおいて、もっとも重要なステップです。
なりたい自分を描くことができれば、キャリアプランの8割は完成したようなものです。
簡単に描けるものではありませんが、以下の4つのポイントを押さえつつ考えてみてください。

ポイント1:今の延長線で考える必要はない

キャリアセミナーに登壇していると、組織から提示された社内キャリアパスのような、なりたい自分を描く方がいらっしゃいます。
なりたい自分は、必ずしも現在のキャリアの延長線上である必要はありません。
キャリアの選択肢や自身の可能性の幅を狭めないためにも、まずは「今の延長線でなくても良いのならば、どんな自分になりたいか」をフラットに考えてみてください。

ポイント2:実現可能性も考慮する

一方で、漠然とした夢のままで終わらせないためには、実現可能性も考慮しなければなりません。
フレームワークを使って多面的に考えていくことをおすすめします。
3つの視点「①何ができるか(Can)」「②何がしたいか(Will)」「③経済的に成り立つか」から、なりたい自分を考えてみてください。

/キャリアの方向性を考える「3つの円」。この3つを満たしていると、仕事としてうまくいく。

この3つを満たしていると、仕事としてうまくいくので、キャリアの選択肢としてもぐっと現実的なものになります。
ただし、「①何ができるか(Can)」はスキルアップで増やすことが可能なので、ここではとくに②③に重点を置いて考えてみましょう。

3つの円の詳しい考え方については、こちらの記事で説明していますので、参考ににしてみてください。

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人生や仕事において、自分の強みとやりたいことを見つけるには? キャリアの方向性を考える「3つの円」を基に、自分の強みとやりたいことを見つける方法をご紹介します。

ポイント3:言語化してみる

ポイント2に関連するのですが、なりたい姿のイメージが具体的であればあるほど、アクションプランも考えやすくなり、目標も達成しやすくなります。
具体的にしていくためには、とにかく言語化することが重要です。
その過程で、うまく表現できない曖昧なことにも出くわすかもしれません。
「なぜうまく言語化できないのか」を明らかにしていくことも、思考を深める助けとなります。

ポイント4:120点の理想に修正する

なりたい姿が描けたら、一度「120点の理想に修正するとしたら?」と自問してください。
もしかしたら、無意識に手の届きやすい目標を選んでいるかもしれません。
キャリアの選択肢の幅を狭めないためにも、最初から守りに入るのではなく、少しストレッチした理想像で考えてみましょう。

【ステップ②今の自分とのギャップを明らかにする

なりたい自分を描けたら、これまでの経験や獲得した知識、スキルなどを棚卸してみてください。
そして、なりたい自分になるためには、何が不足しているかを洗い出してみましょう。
ここでのポイントは「現状の自分を盛らない」ことです。
自分の足らない部分に向き合うことは辛い作業でもありますが、目的は自分を慰めることではなく、ギャップを知ることです。
目を背けず、正しく(やや厳しめに)差分を明らかにしましょう。

【ステップ③達成手段を考える

最後に、ギャップを埋めるための具体的なアクションプランを考えていきます。
スキルが足りないなら能力開発計画を、特定の知識が足りないのであれば学習計画を、経験が足りないのならばどうすれば経験を積む機会を得られるかを考えてみましょう。

より良いアクションプランを作成するためには、ポイントが2つあります。

ポイント1:手段は複数オプションあげる

ぱっと思いついたものが、必ずしも最適な手段とは限りません。
積極的に情報収集し、手段は複数オプション考えておきましょう。
そして、複数のオプションの中から、自分の性格に合っているものや、楽しみながら取り組めそうなもの、コスト感(時間、費用)など様々な観点から、最適と思えるものを選択してみてください。
複数の選択肢をあげておくことで、実行した手段Aが不発だった場合、クイックに手段Bへと乗り換えることもできます。

ポイント2:中間目標を立てる

成果を得られるまで長い目標や大きな目標を立てた場合、モチベーションの維持が難しく、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。
モチベーションを保つためには、目標を分割して中間目標を立てていき、こまめな達成感を得ていくことが重要です。
そして、中間目標をクリアしていくことで、自分が着実に前に進んでいる感覚も得ることができます。

実際に行動してキャリアプランをアップデートしていく

こちらの記事で詳細は紹介していますが、キャリアプランはあくまで現時点で考え得る仮の答え、つまり「仮説」に過ぎません。
途中で軌道修正しアップデートしていくものです。
実際に行動してみて初めて分かることや見えてくる世界もあるので、一度作成したキャリアプランは「β版」と捉え、まずはそれを正としながら動き始めてみることをおすすめします。
動き始めると、考えるための材料も集まりますし、自己理解も深まっていきます。
仮説が検証されていく過程で、より納得感の高いキャリアプランに修正するためのヒントも得られます。

考えながら動き、動きながら考える。
この繰り返しでキャリアプランはバージョンアップされ、その積み重ねによって皆さんの人生は形成されていきます。

まとめ

先行きの見えない時代のため「キャリアプランは不要だ」という意見もありますが、私はこのような想定外のことが起こる時代だからこそ、キャリアプランを立てる必要性があると思います
キャリアプランの作成は時間がかかりますが、より良い人生を歩むうえでとても重要なものなので、ぜひトライしてみてください。

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著者情報

中村直太(グロービス経営大学院 教員)

中村直太(グロービス経営大学院 教員)

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修士課程(工学)修了。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)にて約1,000名のキャリアコンサルティングを経験した後、事業企画にてサービス企画、営業企画、BPRなどを担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院のマーケティング(学生募集)企画、名古屋校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、アルムナイ・キャリア・オフィス(卒業生向けサービス企画)や学生募集チームの責任者などを経て、現在は顧客コミュニケーション設計やセミナー開発・登壇、WEBコンテンツ企画・執筆など様々な事業推進活動に従事。同時に個人としては、人生の本質的変化を導くパーソナルコーチとして活動。グロービス経営大学院の専任教員としては、思考系科目『クリティカルシンキング』、志系科目『リーダーシップ開発と倫理・価値観』に登壇。また、キャリア関連プログラムのコンテンツ開発及び講師を務める。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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