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「自分らしく生きたい」と思いつつも、ついつい他人と比べてしまっている瞬間はありませんか?
キャリアや生き方を他人と比べることに、どれくらいの意味があるのでしょう。
今回は、そのことについて考えていきたいと思います。
生き方や志に良し悪しはない
何か大きなことを成し遂げた人の映画や書籍を見ると、自分の存在や人生がなんだかちっぽけなものに感じてしまうことはありませんか?
前回は、「自分が生きていく方向(志)」を見つけるためのヒントをご紹介しましたが、そもそも、志の大小や良し悪しは、誰が決めるものなのでしょうか?
客観的な指標らしきものはあるかもしれませんが、実際には、誰にもそんなことは分かりません。
たとえば、「学者になりたい」という志と、「経営者になりたい」という志は、どちらが良い志なのでしょう?
どちらが良いとは言えませんよね
志や生き方は他人と比較するものでありません。
大事なことは「自分にとってどうなのか」という点です。
自分のことだけを考えて大儲けした社長の話
中には、「社会のためになる要素が含まれていない目標は、志とは呼ばない」と言う人がいます。
その人にとっては、そうした要素が志にとって必要なのでしょう。
しかし、自分のためだけに生きている人が一生懸命取り組んでいることは志ではないと、他人が決めることはできません。
たとえば、自分のことばかりを考えて大儲けした社長がいるとしましょう。
彼が儲けたということは、合法的に彼の会社が営まれている以上、たくさん納税してくれることになるので、結果的に社会のためになっています。
もちろん、「社会のため」を理念に動いている会社や団体があってもよいでしょう。
どちらが良い悪いという話ではなく、その経営者がどのように生きたいか、どのような組織を作りたいかという、「選択の問題」なのです。
人生は選択の積み重ね
生き方やキャリアにおいて大事なことは、それが「選択の問題」だというとです。
自分で選択した道だということを理解しておかないと、何でも人や環境、会社のせいにして、文句ばかり言う人になってしまいます。
自分の人生は、自身の選択の積み重ねによって形成されていることをしっかりと認識しましょう。
まとめ
一度しかない自分の人生をどのように生きていくか。
自分の心と納得するまで対話し、自分なりの生き方を選択していただければと思います。
著者情報
田久保善彦(グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長)
慶應義塾大学理工学部卒業、修士(工学)、博士(学術)、スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業・中央省庁・自治体などを中心に、調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にてマネジメント業務・研究等を行なう傍ら、リーダーシップ開発系・思考科目の教鞭を執る。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』、共著に『キャリアをつくる技術と戦略』、27歳からのMBAシリーズ『ビジネス基礎力10』『ビジネス勉強力』『リーダー基礎力10』等がある。
※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。